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【読書記録】2023年10月22日〜10月28日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 本好きの皆様、読書の秋満喫してますか?
…って、よく考えると読書が好きな人って、春夏秋冬関係なく本を読んでるから、読書の秋だから特別何かがあるってわけじゃないのかなぁなんて思ったりもしますが。

早速、今週出会った本たちをご紹介します。

【2023年10月22日〜10月28日に出会った本たち】

⚪️流れ行く者〈守り人短編集〉

著者 上橋菜穂子

【内容紹介】
 王の陰謀に巻き込まれ父を殺された少女バルサ。親友の娘である彼女を託され、用心棒に身をやつした男ジグロ。故郷を捨て追っ手から逃れ、流れ行くふたりは、定まった日常の中では生きられぬ様々な境遇の人々と出会う。幼いタンダとの明るい日々、賭事師の老女との出会い、そして、初めて己の命を短槍に託す死闘の一瞬ー孤独と哀切と温もりに彩られた、バルサ十代の日々を描く短編集。

裏表紙より

【収録作品】
浮き籾
ラフラ(賭事師)
流れ行く者
寒のふるまい

【感想】
 本伝よりも前、タンダが11歳、ジグロとバルサが旅をしていた頃の4編の短編集。
 第一話の〝浮き籾〟と第四話の掌編〝寒のふるまい〟はタンダの優しさとバルサへの一途な想いに心が温まり、第二話の〝ラフラ〟は一本芯の通った人間の生き様を、そして第三話の〝流れ行く者〟ではバルサが歩む路の険しさを改めて感じました。
 ジグロが言った「自分の居場所は、自分で作ってこい」が心に沁みます。それから人生において何一つムダな経験はないということも。

⚪️炎路を行く者〈守り人作品集〉

著者上橋菜穂子

【内容紹介】
 『蒼路の旅人』、『天と地の守り人』で暗躍したタルシュ帝国の密偵、ヒュウゴ。彼は何故、祖国を滅ぼし家族を奪った国に仕えるのか。謎多きヒュウゴの少年時代を描いた「炎路の旅人」。そしてバルサは、養父と共に旅を続けるなか、何故、女用心棒として生きる道を選んだのか。過酷な少女時代を描いた「十五の我には」-やがてチャグム皇子と出会う二人の十代の頃の物語2編。シリーズ最新刊。

裏表紙より

【収録作品】
炎路の旅人
十五の我に

【感想】
 「守り人シリーズの推しキャラは?」と聞かれたら私はバルサでもチャグムでもなくヒュウゴと答えます。
 初登場は〝蒼路の旅人〟。タルシュ第二王子の密偵としてチャグムを拐った人。実は野心家。タルシュの宰相になり豊かな国を作りたいという野望を秘めたクールな男。タルシュに滅ぼされたヨゴ皇国の帝の護衛「帝の盾」の父の元、自分も父と同じ路を歩むべく勉学と武術に精を出すプライドの高い少年が、どうしてタルシュの密偵になったのか?中編ですが読み応えがありました。
 後半のバルサが用心棒として生きていくことを決めたエピソードもgood.

⚪️風と行く者〈守り人外伝〉

著者 上橋菜穂子

【内容紹介】
 つれあいの薬草師タンダと草市を訪れた女用心棒バルサは、二十年前、共に旅した旅芸人サダン・タラムの一行と偶然再会する。魂の風をはらむシャタ“流水琴”を奏で、異界“森の王の谷間”への道を開くサダン・タラムの若い女頭エオナは、何者かに狙われていた。再び護衛を頼まれたバルサは、養父ジグロの娘かもしれないと気づいたエオナを守るため、父への回顧を胸にロタ王国へと旅立つが。

裏表紙より

【感想】
 新ヨゴとタルシュの戦争から1年が経過し、バルサとタンダか一緒に暮らしていて、なんかそれだけで心が温かくなります。
 物語はバルサが成り行きで旅芸人サダン・タラムの護衛を請け負うことになるところから始まりますが、このサダン・タラムは20年前の、バルサが15歳の頃の話〝十五の我に〟とリンクしています。
 物語の大枠はロタ王国の地方貴族の争いみたいな感じで、イマイチ乗り切れなかった部分はありましたが、バルサとジグロの関係というか、ジグロがバルサに注ぐ愛情の深さと強さにはグッときました。

⚪️増補改訂版「守り人」のすべて
 「守り人」シリーズ完全ガイド

著者 上橋菜穂子

【内容紹介】
 日本を代表するファンタジー作品「守り人」シリーズ、その物語世界を案内するガイドブックの増補改訂版を刊行します。
 バルサとタンダの日常を描く、書き下ろし短編「春の光」、 「守り人」シリーズの登場人物事典や百科事典から、 作家・佐藤多佳子さんや、翻訳者・平野キャシーさんとの対談、 上橋菜穂子著作紹介まで、一挙収録!
 増補版では、さらに 旅の日々のバルサを描いた書き下ろし短編「天への振舞い」、 NHKドラマ「精霊の守り人」の美術をつとめる山口類児さんとの対談も 収録しています! ! !
 これから読もうと思っている人も、すでにハマっている人も必読です。

Amazon書誌情報より

【感想】
 「守り人」シリーズファンなら手に取って損なし!
 人物辞典、世界案内、料理の再現はもちろん、アニメ、ドラマそして外国語版やそれらに縁のある人たちとの対談やインタビュー、おまけに短編が2編と盛りだくさんな内容。
 特にドラマの美術を担当した山口類児さん、英語訳を担当した平野キャッシーさんとの対談がとても面白くて、英訳版を読むスキルがないので、とりあえずドラマ版を観てみようかと。ただ一つだけ残念だったのが、イラストギャラリーがなかったこと。なぜなら自分は新潮文庫版で読んだので、単行本に収録された挿絵をぜひ見たかった。

⚪️バルサの食卓

著者 上橋菜穂子
チーム北海道

【内容紹介】
 バルサとチャグムが熱々をかきこんだ“ノギ屋の鳥飯”、タンダが腕によりをかけた“山菜鍋”、寒い夜に小夜と小春丸が食べた“胡桃餅”、エリンが母と最後に食べた猪肉料理…上橋作品に登場する料理は、どれもメチャクチャおいしそうです。いずれも達人の「チーム北海道」が、手近な食材と人一倍の熱意をもって、物語の味の再現を試みました。夢のレシピを、さあ、どうぞ召し上がれ。

裏表紙より

【感想】
 ガイドグック〝「守り人」のすべて〟に少しだけ収録されていた料理の再現レシピ。
 この本は著者の上橋さん監修のもと、南極料理人の西村淳さんを中心とするプロたちが、現代の食材を使って「守り人」シリーズに登場する料理を全力で再現!しかもレシピとカラー写真付き!!
 実は守り人シリーズだけではなくて〝獣の奏者〟と〝狐笛のかなた〟に登場した料理もいくつか収録しています。
 再現した料理は25品以上。全てにその料理の登場シーンと、上橋さんのエッセイが添えられています。
 何が凄いって、上橋さんの頭の中にある料理を実体化した人たち。
 せっかくなのでこれでコラボカフェとかどうでしょう。

⚪️イグジット

著者 相場英雄

【内容紹介】
 出版社の営業・池内貴弘は急な異動で月刊誌の経済担当に。新たな職場に戸惑う最中、叔母から不動産運用に関して相談を受ける。執拗に融資を持ちかける担当者は、なんと仙台の地銀に勤務する池内の元恋人だった。池内と面会した直後に、彼女は自殺してしまう。一体なぜ?周辺取材から見えてきたのは苦境の地銀と、過酷なノルマだった。彼女はその処方箋を求めて、ある男に会っていたという。古賀遼、人は彼を金融界の掃除屋と呼ぶ。政界の重鎮の命を受け、日銀総裁人事にも関与していたようだ。池内は、古賀の暗躍を白日のもとに晒そうと奔走するがー。

裏表紙より

【感想】
 約3週間ぶりに現代日本に帰ってまいりました!!
 日本の金融危機とか財政破綻が叫ばれて久しいけれど、コロナという大病をしても未だなんとかかろうじて自力で立っている日本。
 返しきれない借金を抱えながら、「開発途上国に○十億円の融資」なんてニュースを見るたびに「そんなことをしてる場合か!?」と思ったりもするけれど、実際に何か行動を起こすことはない。なにせ私、物語の中で語られる「この国には、考えることを放棄した人が多すぎる」の代表ですから。
 リーマンショック後に中小企業金融円滑化法なんて法律が制定されたことも知らず。
 結末はやっぱり〝トップリーグ〟と同じ感じで…。
 これからどうなる日本、どうする日本!

⚪️レインメーカー


著者 真山仁

【内容紹介】
 高熱で病院に運ばれた二歳九カ月の男児が懸命の救急治療も及ばず亡くなった。悲嘆に暮れる両親は医療過誤だと病院を提訴。そこで病院から弁護の依頼を受けたのが、この手の裁判に勝ち続けてきた雨守誠だった。救えなかったら医師が悪いのか。法律は悲しみを癒す道具じゃないー信念に基づいて、雨守は医療現場の矛盾や不条理に切り込んでいく。

裏表紙より

【感想】
 昔に比べて医療訴訟が増えたのは、患者家族の意識が高くなったからというより、弁護士の数が増えすぎたのが原因の一つと言えるかもしれない。だから訴訟を恐れて医師を志す人も減るし、たとえ医者になったとしても命と直接向き合うことが少ない診療科に集中してしまったりするとか。
 高熱を出して夜間救急を受診した幼児が亡くなり、両親が医療訴訟を起こすという物語。
 もちろん一番の読みどころは法廷でのやり取りですが、物語のキーパーソンの一人で、自分がのしあがるために裁判を利用する日向律子弁護士には腹立たしさを覚えました。
 テーマは「病院経営に、経済的合理性はなじむのか?」。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか?
 今週もほぼ「守り人」シリーズ。
 外伝3冊とガイドブック、そしてレシピ集。
 約3週間かけて「守り人」シリーズ合計15冊を読破しました。
 いやぁ、本当に、充実した、そして良質な読書体験でした。
 登場する動物以外、国、文化、歴史や伝承、宗教、建築物、衣服、料理まで、一から十まですべてが上橋さんの頭の中で構築されたオリジナルな世界。そこには便利な道具も魔法もなく、特別な力を授けてくれる秘宝もありません。もしかしたら本当にどこかにある、いやあったかもしれない世界で、ご都合主義的な設定も展開もないからリアリティを感じられるのかもしれません。
 これを機に上橋さんが檻に触れて語っておられる〝ゲド戦記〟や〝ナルニア国物語〟などの児童文学の名作にも手を伸ばしてみようかな。
 後半の2冊は、金融問題、医療裁判と、ファンタジー世界からいきなり現代に転生したような感じで、少し戸惑ってしまいましたが、これはこれでかなり読み応えがありました。
 さぁ、来週は乱読オヤジの本領発揮といきますか。

最後に
 読書っていいよね。


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