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広辞苑を読む 1


広辞苑(第七版)を手に入れた。ずっしりとした重みが、言葉と文化の伝統を云々カンヌン。

広辞苑を使う面白ゲーム、「たほいや」のため(?)に第六版を所持している知人がいて、カッコいいなあと思っていたのである。「本棚に広辞苑」。読書家にとって憧れのステータスじゃないか。あと最近読んだ『文にあたる』(牟田都子/亜紀書房)という本で、「辞書の重要性」が説かれていたのもきっかけの一つ。


しかし、辞書は使ってなんぼ。こんな分厚くて邪魔な鈍器(失礼)を本棚の肥やしにしてしまうのは勿体無い。ということで、読もうと思う。
ぶっちゃけ、分からん単語に出会った時に辞書を引くというのは面倒だ。文字選択してググったほうが100倍早い。ので、あえて「読む」という方向性で行こうと思う。

広辞苑第七版が出たのは、2018年。もう5年前だ。そして昨今の改訂ペースが10年周期であることを考えると、次の第8版は2028年の1月に出る可能性が高いのではないか。そうなると、もう1700日ぐらいしかないということになる。
つまり、毎日広辞苑を開いたとして、全3,181ページを読破するには一日最低1.84ページを読まなければ間に合わない。(一年で読破しようとしたら、8.7ページである。1ページ50語として435語も見ていくのはめちゃくちゃ大変だ)
なので、とりあえず1日5ページを目安にやってみようと思う。ぶっちゃけどこかで挫折する可能性のほうが高いけれど、行けるところまでは行ってみたい。



ちなみに、すでに先駆者の方がいらっしゃるようなので、この方式(印象に残った語をピックアップ)を参考にやってみたいと思う。ただ知らなかった単語というより、「そうだったのか!」的なやつを拾っていきたい。



いきなり立ちはだかる「あ」の壁

広辞苑の「あ」ページは実に124ページに及ぶ。のっけから飛ばしてんなあ。5ページ/日でも24日、ほぼ一ヶ月かかる。軽く目眩を覚えるが早速読み込んでいきたい。

最初の言葉は当然「あ」である。これは日本語の母音としての「あ」で、どのように発音するかが書かれている。

口を大きく開き、下を低く下げ、その先端を下歯の歯ぐきに触れる程度の位置におき、声帯を振動させて発する

とのことだ。文字で書かれても全然分からん。一番脱力したときの口の形ということだろうか。確かに舌が浮いていてはなかなか発音しにくい。
とまあ、広辞苑の各項目の最初の単語は発音方法が記されている。こんなペースで読んでたら一生終わらんぞ。


「あ」の諸々(P1〜5)

【阿】①人を呼ぶのに親しみを表して冠する語。「—Q」
阿Q正伝の「阿」って親しみのやつだったのか。でも阿Q以外の例が全く思い浮かばん。

【アーク】
アークっていうと虹を連想するけれど、広辞苑はアーク放電の項目が中心。

【アーチ】窓・門・橋などの開口上部を、くさび形の石や煉瓦を組み上げて曲線状に構築したもの。
なるほど、建築的にはくさび型の石で組み上げてあるもののことなのか。ちなみにここで最初の図版が。フラットアーチを初見で「アーチ」と思えるかどうか。

【アーバニズム】都市を志向する社会的・文化的な傾向。
それを表す単語があったのか。近代化以降の出稼ぎ文化もアーバニズム?

【アーミー】軍隊、特に、陸軍。
陸軍なのか。海軍はネイビーであってアーミーではない?

【アーミン】オコジョ。
逆にオコジョって何語やねん、と思ってそっちの項目を見たけど漢字もないし(白鼬はどう頑張ってもオコジョとは読めない)、語源は謎。ネットでざっと調べても分からない。謎すぎる。

【アームストロング】
ジャズの神様と月に立った人とアームストロング砲の人。3人並ぶと強い。

【アーメン】ヘブライ語で「まことに」「たしかに」、後に「かくあれ」の意
やっぱアーメンって「それな」って感じなのか

【RC造り】鉄筋コンクリート造りのこと。
聞いたことあるような、ないような。でも使えたらかっこいい。

【RV】野外のレジャー・レクリエーションに使う多目的用途車。
recreationのRだったのか。

【あい】(アユの転)東北ないし北の風。
「あいの風とやま鉄道」のあいってそれか。青春18きっぷNGゾーンですね。

【愛】
大体好意的な意味だけど、仏教だけ「迷いの根源として否定的」と。そういうとこあるよね。

【IR】
最近良くも悪くも話題になっている複合リゾート(Integrated Resort)はまだ掲載されていない模様。第8版で掲載なるか。

【相合】共有・共用すること。
「相合傘」に並んで「相合牛」が。牛もシェアしていた時代があるのだなあ(今なら相合車といったところか)

【哀韻】あわれなひびき。詩や音楽のかなしげな調子。
これは使えたらかっこいい。「〜韻」って割と汎用性高いのでは? アイーンではない。

【あいうち】
面白いのは「相撃ち」と「相討ち」があることで、西部劇でガンマンが同時に発砲するのは「相撃ち」だが大抵一方は生き残るので「相討ち」にはならず、時代劇で武士が差し違えるのは「相撃ち」で「相討ち」である、と言えることか。(「撃つ」武器で倒すことらしいので、刀で倒すのも撃つと言えるか)

【IAEA】国際原子力機関。
これは現代の必須語彙。

【哀歓】かなしみとよろこび。
何気にその語彙はなかった。「喜怒哀楽から怒と楽を抜く」っていうより便利だ。


とまあ「合言葉」まできたけれど、読み始めてからすでに一時間ぐらい経っている。思った以上に時間がかかる。毎日一時間、読むのは流石にしんどい。
もう少し軽く読み飛ばしながら行きたいところだが、知ってるつもりの言葉ほど意外に間違った意味で覚えている。慎重に読みたい。
やっぱ一日3ページぐらいにしとこうかな。



昔々、あるところに読書ばかりしている若者がおりました。彼は自分の居場所の無さを嘆き、毎日のように家を出ては図書館に向かいます。そうして1日1日をやり過ごしているのです。 ある日、彼が座って読書している向かいに、一人の老人がやってきました。老人は彼の手にした本をチラッと見て、そのま