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コミュニケーション能力は、「〇〇力」だと改めて感じた話


コミュニケーションで困っている人が増えている?


最近、「コミュニケーションが苦手なんですよ」「コミュニケーションってむずかしいですよね」という声をよく聞きます。実際、本屋さんのコミュニケーション系の棚に行っていただくと、話し方や聞き方、雑談の仕方といった本で棚がいっぱい埋まっているんですね。それぐらいみなさん、コミュニケーションにお困りなんだなと思っています。

この2日間、僕は催眠のワークショップを開いていました。僕がやっている催眠は「エリクソン催眠(現代催眠)」と言われているもので、ふつうのしゃべり方をしながら相手をトランス状態・変性意識状態に誘うやり方で、これが非常に日常生活に使えるわけです。

端的に一言でいうと、相手の心の抵抗を0にする。ちょっとむずかしく言うと、心理的リアクタンスを0にしていく話し方が日常でできるようになります。

そのために大切なことが、今日伏せ字で「○○」と書いたところなのですが、それは「相手を見る」ということです。相手に注意を向け続ける。「なんだ、そんなことか」、「簡単じゃないか」と思われる方もいらっしゃると思いますが、なかな難しいですよ。相手に注意を向け続けるのって。

なぜかというと、人は自分のことを考えてしまうからです。これは仕方がないと思います。そうできていますから。

僕は様々なところでお伝えしていますが、動物の第一義は個体の維持であり、自分を守ることです。これが現代社会になると、経済的に自分を守ることになります。たとえば自分の商品・サービスを売らなければいけませんし、社会生活を営んでいる中でいうと自分の所属を確定する、自分の存在意義があるように振る舞う、みたいなことがこの世界、今の日本でいうと生きていく・固体を維持していくことに密接に結びついていると思うんですね。なので、自分のことをしゃべりたい、あるいは自分をアピールしなければいけないというところが大きくなっていると思うんですよ。

その一つにSNSがあると思います。SNSというのは発信をして、「いいね」を押してもらうことによって自分の存在意義や、存在価値といった承認欲求が満たされてくる。「僕はこう思っている」、「私はこう感じている」、と自分からアウトプットをする。それに対して見た人が「いいね」をする。このコミュニケーションスタイルがかなり浸透してきていますよね。

SNSとリアルコミュニケーションの違い

けれど、人と人がリアルに話をするときはこんなコミュニケーションスタイルじゃないですよね。誰かが何か言ったときに「いいね!」で終わって、また「次は僕のターンね! ~ということです」、「いいね!」、「じゃあ次はあなたのターンね」ということはないですよね。「会話はキャッチボール」と言われることもありますが、球が行ったり来たりするのがコミュニケーションです。

出典:ACイラスト

SNSの一方通行型のコミュニケーションに慣れてしまい、「会話苦手だ」、「コミュニケーションどうしたらいいかわからない」と悩みを抱えていらっしゃる方が増えているのではと僕は思います。

ではどうしていけばよいか。それが、相手に注意・関心を張りつけるということです。本当にむずかしいです。催眠でも、自分のやり方で誘導をしたり、話したいことを話しても、相手の無意識がざわっとして拒否するんですね。もう本当に顕著にわかります。

次第に焦りだして、「こういう言い方はどうだろう」「声があれなのかな?」と自分にフォーカスが向いてくる。そういう場合、往々にしてあるのが、相手を見ていないということであったり、相手が相手じゃなくてもいい状態、そこに山田さんという人だったら、山田さんという人が座っていなくても、カカシやぬいぐるみだとしても、変わらない声かけをしてしまっているということがあります。目の前にいる人は、唯一無二の「その人」なんですよ。会話は「その人」と「僕」との会話です。

よくセールスでありますよね。立て板に水のようなセールス。誰に対しても同じことをガーッとしゃべる。これはもう耳に入ってこない時代になっているなと僕は思っているんですね。あくまでも目の前のその人に対してお話をしていく。これがコミュニケーションです。であれば、その人を見ていなきゃいけないということです。「なんか顔色が変わったな」「ちょっと眉間にシワがよっているぞ」「なんか間違えちゃったな」と気づけば、1番簡単な話を質問することができますよね。

相手を見ると質問の”質”が変わる

「ちょっと嫌な感じがしますか?」とか。「嫌な感じ」と言いたくなければ「少し僕の話し方で気になることとかありますか?」など、相手に寄り添って何か質問することができます。そうすると「ここが実は気になっているんですよ」や「ちょっと肩が痛くて」とか、様々な話が返ってきますよね。そうしたらそれをもとに会話をすることができるわけです。

気づくこと。そして気づいたらすぐ質問ができること。ここが僕はコミュニケーションの一番大事になってくることではないか、と。そのためには相手を見ることですね。顔色を見る。あるいは態度。「肩に力が入っているぞ」とか、体が後ろの方にさがっているのを見たら、ちょっとこれは乗り気ではないんだろうな、など。何かあるんだろうということが察知できるはずです。そうしたらすかさず「何か気になることはありますか?」「説明不足で前に進んじゃっているような感じするんですけれど、どうですか?」といったブレイクを入れながら相手に「なぜそうなっているのか」を聞くことができるわけですよね。

明日一日で結構ですので、相手を見ながら会話をする。自分が何をしゃべるかより、相手がそれをどう受け取っているかに注意・関心を払いながら会話をしていただくと、今までの自分の話していた感じと全然違うものを感じていただけると思います。そこが第一歩だし、僕はコミュニケーションの一番の肝だと思っていますので、ぜひ試してみていただけると幸いです。


出典:ACイラスト

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