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オンライン会議とリアル会議、どのように使い分けたらうまくいくの?



会議の脳科学的な影響とは

会議が多い会社や、「会議?それおいしいの?」といった感じで会議がほとんどない会社など、いろいろあると思いますが、みなさまの職場はいかがでしょうか。

僕は「MonkeyFlip」というメガネのブランドを実業でやっていますが、個別の会議は各スタッフと数ヶ月に一度行い、全体の会議は月に一回です。

うちの会議を振り返ってみてもそうですが、時間ばかりかかってしまい全然前に進まない、そういった会議はよくあるのではないでしょうか。僕もよくそんな会議に出席したりします。

特に商店街。商店街の人にこれを見られたら怒られますが、僕の「MonkeyFlip」も地元の商店街に入っています。

商店街で役がグルグルまわってきますが、その商店街の会議に出ると、なんだか発言してはいけないような空気感もありつつ、議長の人やあらかじめ役員の人たちが練ってもらったものを発表して「どうですか?」と聞かれて「いいのではないでしょうか」とか「特に問題はないと思います」みたいなことを言う。様式美というか、決まったことをなぞる。そういった会議もあったりします。ひいては、これ会社でも結構あるのではないかと思うんですね。

オンラインがなかった時代はそういった会議も必要でした。「報連相」というやつですよね。報告や連絡も会議では必要事項でした。「全体でこういうことが進んでいますよ」ということを共有していく。けれどコロナというウイルスがやってきて、そのあたりはオンラインの方が確実にまわることを僕たちは知りました。報告や連絡、今どう話が進んでいっているのか、仕事が進んでいっているのかについては、オンラインがわかりやすいですよね。みんながオンラインから接続して、表や資料をデータで共有しながらチェックしていくというのが本当わかりやすいと思うんですよ。

では、すべてオンライン会議でよいかというと、これがまた問題なんですね。僕もこれを知って驚いた研究があります。「脳トレ」のゲームを開発された東北大学の川島隆太教授と、日立のハイテク部門を担っている「NEU」というベンチャーの会社が行った、脳活動をセンサーでみる研究です。その結果、オンラインの会議をしているときの僕たちの脳は、前頭葉が動いていない。活性化していないことがわかりました。

出典:ACイラスト

オンライン会議の弱点とは

前頭葉が何かというと、感情や発想をつかさどる部分です。なので、オンラインは報告や連絡をしたり、情報の共有をすることにはすごく良いのですが、何かを生み出すとか解決策ですばらしいアイディアをひらめくとか、そういうことについてはまったく不向きなんですね。

オンラインは時間の短縮にもなりますし、距離の移動もないのでとても効率的なわけじゃないですか。けれど、何かを生み出そうとするときは、効率が悪いということがわかっています。

もう一つ、この川島隆太教授がやられている実験で少し新しい実験があります。それはzoomを使ったオンラインのコミュニケーションとリアルのコミュニケーションを東北大学の学生にやらせたわけですよ。学部や性別はまったく同じで、興味・関心も似ている人たち。5人1組にして話をさせました。そしてまた、脳のどこが活性化しているかを調べました。

すると、リアルの人たちでは脳の反応の周波数の同期現象というものが見られました。けれどオンラインでは見られなかったそうなんです。これは恐ろしいことですよ。脳の活動にくわしい方だと「うわ〜!これは恐ろしい!」と思っていただいたと思いますが、人と良いコミュニケーションがとれているときは、脳活動がシンクロしています。同じような脳の周波数になるんです。脳の活動の揺らぎが同期すると表現していらっしゃる方もいますが、ひらたく言うと心がつながっている感じです。そこで様々なことがつながったりスパークしたり増幅され、良いアイディアが出てくるし、そのチームはまとまり、会議もまとまっていく、というところがあります。

ところがzoomだとそれが起こらなかった、ということ。なので、会議をうまくやるコツとしては、その会議は何を目的にしているかをまず明確にすること。その目的が連絡や報告という情報のシェアの場合、オンラインでいいと思います。できるかぎり労力を使わずに効率的にやりましょうということですね。

そうではないもの。発想力がいるものや企画力がいるもの、あるいはチームの心を一つにまとめていく必要があるならリアルです。リアルで開催することで、前頭葉を活性化させますし、もっというのであれば、脳の揺らぎを同期させることにつながっていきます。ですから、理由をつけて「リアルでやろうよ!」としていくことが、会議をうまくいかせる最大のコツだと思います。

今日のこの会議で何をゴールとするのかを明確にすることも大切ですよね。明確にゴールがなっていれば、大体みんな同じ方に向いていきますからね。「今日はここまで考えるぞ」、「今日はここまでいこうね」という旗をつくる。

オンラインの会議は時間に区切りをしながら、連絡・報告・相談、あるいは情報の共有をやっていけば良いと思うんですけれど、アイディアを出すために、リアルの会議では、たまにはゴールを決めないというのも良いと思います。「今日はもうアイディア出しだけで終わろう。その代わり何を言っても良いことにしよう」と言って、前頭葉を活性化させる。

どこかからアイディアが降ってきた、みたいな経験はみなさんにもあると思いますが、そこを目指していくのも、たまにはいいんじゃないかなと思います。といいつつ、僕はこれから店の会議に行ってきます。

いいねやフォローをありがとうございます。この記事はVoicy 『聴くだけで「使える」心理学』から抜粋し、読むだけで使っていただける記事として掲載しています。本編音声はこちらから↓↓


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