再開の裏側。
ゲーム実況を再開した。彼女にしか望まれていない、誰も見ない動画だ。誰も見る人がいないなら動画にする意味がない。誰も見ないなら一人で遊んでいるほうがマシだろう。楽だしね。
それをわざわざ、間違いがないよう確認してから画面を収録して、ゲームをプレイしながらたくさん喋って、世界で一番嫌いな声を何度も聞きながら編集をして、それを全世界に公開する。
なかでも自分の声を聞かなくてはいけないこと、自分の声を公開しなくてはいけないことは苦痛でしかない。小学二年生の頃、声をバカにされるようになったのが、私がその後ずっとずっとイジメられることになる最初のきっかけだったのだから。
動画投稿を再開し、ある程度習慣化されてきたので、そのことをブログに書いた。単なる記録、備忘録のようなものだけど、それでもブログを書いたのは久しぶりだった。動画もブログもやらずに、毎日何をしていたのかというと、特に何もしていない。死ぬのを待っていただけだ。
ブログは四ヶ月、動画は一年三ヶ月ぶりだった。それだけ待っても死ななかった。そんな折、彼女に「あなたの動画が見たい」と言われたので、久しぶりにやろうかなと思った。
再開してみると、地獄だ。
誰にも見られず、お金にもならないことを、一日の大半の時間をつかってやっている。まるでコンクリートの分厚い壁を、ろうそくの火を消すときみたいにふうとやって吹き飛ばそうとしているような毎日だ。本気で吹き飛ばせると思っているならまだ希望はあるかもしれないけど、自分はまったくそうは思っていない。ああ。無駄なことをしているな。そう思いながら、無駄なことをしている。
では無駄ではないと思えることは何だろう?
思い浮かばない。
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