見出し画像

寄稿#7 Fリーグ通算143試合で培ったGK理論~先読みしない構えの重要性~

こんにちは!今週の記事は寄稿の7回目です。

■今回のテーマを選んだ理由

フットサルはゴレイロの出来が勝敗に大きく影響します。ところが、都道府県リーグなどでは、ゴレイロの指導にどのチームも苦労しているのではないでしょうか(本記事では多くの方に理解してもらいやすいようにゴレイロをGKと表記します)。

F1リーグで活躍した実績を持つGKが寄稿してくれました。内容は完全に有料ですが「多くの人に読んでもらい、全国のGKを助けたい」という本人の強い希望で、例外的な「無料」になりました(今回はサポートをお願いします)。

■筆者紹介

宮竹晴紀(みやたけ・はるき)さん

Fリーグ通算143試合、10得点。2012ー13シーズンにはフットサル日本代表候補に選出。

24歳でフットサルに転向し、バンフ東京、シュライカー大阪。手と目の負傷によりFリーグを引退。現在は関西1部のジャグランカでFPとしてプレーしている。

サッカー歴では、柏レイソルU-12、U-15、成立高校を中退後、ブラジルのパルメイラス・ジュニオール、カピバリアーノFCに所属。

現在はパーソナルトレーニングと体のケアを行うLABOーNAを運営しながら、フットサル選手を続けている。FacebookTwitter

それでは本編です。

「試合の50%がGKで決まる」

サッカーやフットサルに不可欠なポジションであるゴールキーパー(GK)の重要度を示す言葉です。

僕はGKというポジションを「フットサル」ではなくGKという1つの「スポーツ」と捉えています。なぜなら唯一手を使えるポジションであり、プレーの9割はリアクションだからです。

残念ながら、別スポーツを指導できるGKコーチはまだまだ少なく、監督やコーチの方もGKを正しく、深く指導する事ができていないのが現状です。

しかし指導できないのは、当然とも言えて指導に悩まれている方も多いのではないのでしょうか。

試合の50%も決めるのに、指導を受けられない、指導できない・・・。

「なんでそんなの取れないんだ!」
「それくらい止めろ!」

止められるようにしてあげることが指導者の仕事であり、選手は止めたいと心から思っています。少しでも助けることができたらと思い「ここだけは!」というポイントを書きました。

理解して頂けたら今日からすぐに指導やトレーニングに活かせてもらえるようになると思います。

GK理論6つのメソッド

①1番大事なことは「構え」

指導する時に見る1番大事なポイントは「シュートを打たれた瞬間に何をしているか」です。これは何よりも大事です。

今までの経験で「あの選手は波がある」や「あんなの入っちゃうの?」など、パフォーマンスの優劣の言葉を聞いたり、見たりしたことはありませんか?逆に「あの選手は安定感がある」など。

これは内面的なメンタルの強弱と「構え」によるものだと断言できます。
構えや対応について書いていきます。

「あなたは正面を向いて手だけで後ろにある物を正確にとれますか?難しいですよね?」

指だけ当たったり、どこかに触れたりして、ようやくつかめる。
あなたが構える時、「手はどこにありますか?」「あなたは、なぜ手をその場所にして構えているのでしょうか?」。考えてみて下さい。

僕は「間接視野で目に見える所」に手を置いています。理由は「正確な動きをしたいから」です。人間の感覚はあてになりません。

手は上にも下にも動かせて見えている所に置くのがベスト、だと考えています。

「なぜそうなのか?」という問いに、全て答えを持った構えを作り、プレーできれば、安定につながり、どこが悪かったのかフィードバックもしやすくなります。


②50%の勝負をしない

シュートを打たれる前に、倒れてしまったり、どっちかに体重が乗ってしまったりしている「先読み」のことです。

GKは常にリアクション。相手が動いて、ボールが来て、反応して止める。「こっちかな?」という予測や「下」が入りやすくて怖いから低く構えて・・・というように、GK自身から崩れてしまう場面をよく見かけます。

右に来るかも(先読み)→右に来た→止めれた
右に来るかも(先読み)→左に来た→入った

これでは、いつまでたっても50%の確率です。
先読みで構えが崩れてしまっている可能性が高いです。

読みは大事な要素でもありますが、崩れるようになる先読みは1番やってはいけないことで、成長にはつながりません。
構えを崩さず対応するトレーニングをしていけば、止めれる確率はどんどん上がります。


③自分自身がコーチ。指導者は見るポイントをつかむ

なぜ入ったのか?構えはできていたか?どこが崩れていたか?これらは正解を知らないと教える事ができないポイントです。

逆に正解を知れば自分のビデオで振り返り、違う選手を見て「今のはあそこが良くなかった」や「今のはこれが出来ていたから防げた」と、後の結果を診断するためのスタート地点ができあがります。


失点要素はどこか

失点

構えができている

ポジショニング?→どこにポジションを取れたらいいのかトレーニング

対応法?→手か足でいくか等の最適法を出せるようにトレーニング

技術ミス?→ミスしないように正確な動きを反復トレーニング

シュートがえぐかった→できる事があるとしたら何かを考える

失点

構えが出来ていない

先読み?→反応で勝負する我慢のトレーニング

体のどこか?→構えを正確に染み込ませるトレーニング  

このように分類でき失点に対して考え、修正を自分でできるようになってきます。

シュート練習で失点して「あー、今の取れた」と上や下を向いてる選手を見かけますが、取れなかったのは、なぜなのかをすぐに分析し、いい対応ができるように切り替えることが次への成長に繋がります。

④構えの種類

ボールの位置によって変える必要がありますが、力む必要はありません。
いつでも動けるようにリラックスしておく事が大切です。

大きく分けて3種類。


1つ目は相手ボールの時や味方ボールの時、30メートル以上前にボールがある時の構えです。


この時はボールがこぼれてきたり、裏のスペースを使われそうな時にカバーリングをしたりするための「前進」に特化した構えです。「そこから打たれても絶対ゴールされない」位置まで前に行きましょう。

2つ目は、最も使う構えです。


シュートを打たれる時にこの構えができていれば止められる確率はぐっと上がります。
打たれた時に構えが崩れていると、失点率は上がります。

試合ではポジション修正のために移動がかなり多くなります。

前に出た時、後ろに下がった時、横へ動いた時。
毎回この構えを正確に作れていれば、同じ結果を出し続けやすい。失点のフィードバックが早くなり、どこをトレーニングしたら良いのか考察しやすくなります。

3つ目は、1対1等のボールが自分から1~4メートルあたりにある至近距離で使う「ブロック」という構え方です。

この距離では人間の反応を上回ってしまうシュートを打たれてしまいます。

フットサルは、これが多い。1試合で10回は使う構えになります。

絶対反応で間に合わないですからやる事は2つです。

「先読みで倒れるか」(50%の勝負)
「体に当てにいくか」(ブロック)

僕は50%の勝負が好きではないので、ブロックをさらに解説します。


このブロックは先人達から繋がってきた止め方で本当に良く考えられている構えだと思います。

ポイントはしっかり股を閉じ上体を起こし手を下に置いておく事が大切です。

至近距離は怖いですが「怖い=逃げる」ではないのでしっかりとボールを見て最後まで反応できるように。

⑤観察してほしいGK

写真に載せたように構えには種類があり、足の爪先から頭の角度まで全てに答えを持っています。

しかし僕が正解と言うわけではなく、GKは「止めたら正解」です。チームの監督や仲間やサポーターは「なんでもいいから止めてくれ」と思うものです。

そこで成長が早く正解を連発するために考え、今の答えにたどり着いたのですが、なぜ失点したのかと同じくらいに大切にしてきたのが「なぜ止められたのか」です。

やはりここも構えが大事になってきます。

僕が考える構えで非常にムダとムラの少ない動きで構えがブレない選手がいます。

Fリーグという日本フットサルのトップリーグの最強チーム「名古屋オーシャンズ」に所属する「篠田龍馬」選手です。

構えが安定しているため、パフォーマンスの安定につながり結果を出し続けている選手です。

必ず参考になると思うので是非、見てほしいと思います。


⑥考える力をつけ、楽しみながら答えにたどり着く

GKを見るポイントはシュートを打たれる「瞬間」です。その瞬間に何をしているのか。

ボールを怖がっているGKは手が顔の前に来てからボールに手を伸ばしたり、体重が後ろに傾いてお尻から落ちたり、セービング時に背中を着きます。
また近い場面のシュートを打たれる瞬間には顔を横に向けボールから目を逸らします。

先読みするGKは先に動いて飛んでいたり、体重が片側に移動し、見送るシーンが多かったりします。

準備ができていないGKは慌ててムダなステップが増えたり、ポジショニングが悪くなっていたりするケースが多い。見る目を養うために映像などたくさん見て下さい。

良いGKはムダ、ムラ、ムリがありません
良いGK、良くないGKを見つけ自分ならどこを指摘するかを考えるだけでレベルが上がります。

どのようなトレーニングをしたら悪いクセが治るでしょうか?

アマチュア選手の多くや、プロの選手も怖がって目を背けてしまう選手がいます。そういった選手にはどう「アプローチ」したら改善できるのか。

ここを考えて実行まで移してほしいと思います。

ネットなどで流れてくる連続性のトレーニングを行い、息があがって満足されていませんか?

「やった感」は残ります。しかし毎回同じ結果を出せますか?

右に来ると分かっていて右に飛んで次は左に来ると分かっていて左に飛んで…全て先に動くアクションに…

上記のトレーニングを悪いと言ってるのではありません。答えを持ってトレーニングしていますか?

この練習の意図は何でどこを意識してするのか。そしてどこでリアクションできるようにするのか。

答えを持ったトレーニングにムダはありません。
どんなに良さそうなトレーニングでも答えを持たないトレーニングはムダにしてしまうことが多いです。

僕がGKをしていた時は周囲からは「え?」と思われるトレーニングをしていたと思います。

野球のキャッチャーミットを買いバッティングセンターの150キロのボールを取ったり、野球ボールで60~80メートルの遠投キャッチボールをしていたり、ボクシングのプロ選手と週1回スパーリング(練習試合)をしていたり・・・。

まともな例を示すと、サイドステップから止まる動作、止まる技術だけの練習。周りから見たら不正解そうに見えても、自分に答えがあり、成果が出ればそれは正解です。

もう一度伝えます。「1番大事なのは構え」です。つま先、足の幅、膝、上体、手の位置、肩、頭。

上記の「④構えの種類」で示した構えは、なぜそうなのか。自分の構えは、どうなのか。ここから全てを始めればきっと上手くいくと思います。

構えを正確に作り、充実したGK道を歩んで頂けたら凄く嬉しいです。

GKはケガも多いので、気をつけて頑張って下さい。GKファミリーとして応援しています。

(了)

壁などの作り方も書いてくれています↓ こちらもお願いします。

**********************

お読み頂いた通り、本来は有料であるべき内容で、今回は最下部にある【サポート】のアイコンから100円~500円の範囲で協力をお願いします。

多くの方に届くように、ツイッターの告知をリツイートやいいねで、拡散の協力してもらえれば、ありがたいです。また引用リツイート(←これが本当に嬉しい)してもらえれば、リツイートいたします。

それでは、また。

フットサルの観客を増やし、競技環境を少しでも良くしたい。僕がnoteを書く理由です。サポートは取材費(交通費など)にしますので、支援して頂けると嬉しいです。