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いま、フランスで響く日本の音楽

 夢を追いかけて、一念奮起して海外へ!
 その結果、見事成功を成し遂げたという知らせが耳に入ったら、嬉しい気持ちになるだろう。たとえ身内でなくても、日本人が海外で成功したというニュースは、明るい気分になる。こんな話はたくさん聞きたいものだ。
 
 偶然にも、こちらの情報をキャッチできた。杏がフランスで音楽のオーディションに合格したそうだ。彼女のYouTubeチャンネル「杏 Anne / Tokyo」から2024年1月19日に公開された、こちらの映像をご覧いただきたい。

杏、パリでメトロミュージシャンになる。

 フランスでは、許諾を得たミュージシャンは地下鉄で演奏する権利が認められている。このことは、日本でも書籍などで紹介されている。筆者は過去に読んだ本の記憶の糸を辿りながら、杏の挑戦の過程を追っていった。
 音声と映像が伴うと、やはり心への響き方は段違いに大きい。申し訳ないことに、これまで彼女の出演作をきちんと見たことはないのだが、合格を勝ち取った後は、自然と祝福の気持ちが湧いてきた。
 この映像で歌われている『いつも何度でも』や『上を向いて歩こう』は、楽曲自体にはさほど興味をそそられない。筆者の好みは凝ったアレンジで、楽譜に書き起こしたら譜面が真っ黒になるようなタイプの曲。ギター1本弾き語りとなると、ますます興味が遠のいてしまう(ファンの方すみません…批判ではありません。オレは牛乳が嫌いだ程度の受け取り方でお願いします)。もしもSpotifyの自動オススメ機能でかかってきたとしたら、即、スキップするだろう。
 しかし、この一連のストーリーの中でなら、思いを寄せながら聴いてしまう。今までたいして気にしていなかったが、楽曲を再生するシチュエーションは、音楽プロモーションでは重要事項なのだということに気づかされた。

 杏はメトロ・ミュージシャンとしての活動のスタート地点に立ったばかりだが、かたや、こちらの日本人ミュージシャンの音楽も、まもなくフランスで鳴り響こうとしている。

 デビュー40周年を迎える大ベテラン・TM NETWORK。

 彼らの音楽は、すでに多くの人の心を熱く震わしており、エンタメ業界でもファンが多い。2024年1月17日にBSテレ東で放送された番組「ワタシが日本に住む理由」は、シティーハンターに憧れてフランスから新宿に移住してきた語学教師に話を聞きながら、日本の魅力を再発見しようという内容だった。
 その談話中に、TM NETWORKのヒット曲『Get Wild』の一節が流れると、彼とインタビュアーの高橋克典が、2人して意気投合する一幕もあった。これまでシティーハンターは国内外で何作も映画化されてきている。高橋克典は談話中に「シティーハンターの仕事、やりたかったなぁ~」と言っていた。この作品でキャストに求められるのは、ふだんは情けない面ばかりでも、ここ一番では抜群のカッコ良さを見せる演技。それなら、「特命係長 只野仁」ですでに経験済みだ。もし実現していたら、まちがいなく好演していたはずだ。
 小室哲哉・宇都宮隆・木根尚登の3人組による引力の導きで生まれた、海外のファンと日本の俳優の素敵な出会いだった。

 TM NETWORKの音楽が、フランスの映画館で流れる運びとなった。

 2023年は日本国内で公開された映画『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』が、興行収入10憶円を超える大ヒットとなった。その勢いが海外へ飛び火する。この映画が2024年1月24日からフランスで上映される。
 
【フランス版・劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)の告知映像】

(STAR INVEST FILMS FRANCEのYouTubeチャンネルより、Film Annonce Nicky Larson - Angel Dust - VF)


 海外映画の日本公開において、日本向けに別の楽曲をテーマ曲として使う場合がある。フランスでも同様のことは起きるのだろうか。ついつい、そんな思案もしてしまう。今回は告知映像を見てもお分かりのとおり、宇都宮隆が日本語で歌う、TM NETWORKのオリジナル音源『Whatever Comes』そして『Get Wild』がそのまま使用される。
 もしも、日本の楽曲をそのまま使用しても十分アピールポイントになるから、代わりにフランスの音楽を使う必要はないとの判断だったのであれば、当事者でもないのになんだか少し誇らしくなってしまう。
 日本国内では、TM NETWORKのコンサート・ツアー『TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days 〜STAND 3 FINAL〜』が1月18日に三郷市文化会館で始まったばかり。SNSでも想像を超える大好評だ。筆者の見る限り、これから観覧する方は、驚きのあまり腰を抜かしてもいいように、しっかりと準備をして、心ゆくまで楽しむことを願う。
 一方ではメンバー自らが立つステージで、もう一方では映画館で、2024年は、TM NETWORKの音楽が日本とフランス両国において、大々的に鳴り響く年になる。

 大きな期待を寄せられる、TM NETWORK。必ずや、それに応えてくれるはずだ。

 もしもこの記事をなんらかの番組の形に仕立てるとしたら、筆者は進行役に、こんな具合に締めて欲しいと依頼するだろう。
 「それではお別れの時間になりました。最後にこちらをお送り致しましょう。クレモンティーヌで『Get Wild』。また来週!」


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