VRでのポエトリーを聴いた話

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noteではお久しぶりです。
どうも、顔の無いポエマー93poetryです。
今回は去る6/23の深夜から日を跨いでVRChatというVRSNS内で行われたVRポエトリーリーディング大会についての感想を書いていこうと思います。
配信URLはこちらからどうぞ!
※参加者の方々のお名前からそれぞれのTwitterに飛べるようにしてありますので是非チェックを!

そもそもポエトリーリーディングとは?

広義では単に「自作した詩の朗読」の事を指しますが、今回は「音楽に乗せた詩の朗読」と認識して頂ければ大丈夫です。

手探りのまま始まった企画

今回の企画はVR蕎麦屋タナベさんという、本業が蕎麦屋さんながら様々なVR企画を打ち出す凄い方が発端です。
僕もお誘い頂き二つ返事で参加させて頂くことになりましたが、当然タナベさんはポエトリーリーディングに対しては初心者です。
そんな中で舞台構築や演出をなされたのですが、リハーサルの時点でタナベさんから説明や詳細を聴いている時に、誰にも言いませんでしたが「あ、これ成功するな」と思いました。
直感ですけどね!

ピアニスト・K.ᴗ.(くう)さんの紹介

さて、参加者の方々の話に行く前にこの企画の最大の功労者であろうピアニストK.ᴗ.(くう)さんを紹介しましょう。
元々はリアルでパフォーマンスをされていた方なのですが、現在も続く情勢もありVRChatでの活動を始めています。
YouTubeチャンネルを見ればその凄さが垣間見えるかと。
今回くうさんは演者の朗読に合わせて即興でピアノを弾くという控えめに言ってヤバイ演奏を行ってくれました。
僕も結構長い事ポエトリー界隈を観てますが、こんな事例ほとんどないと思います。(恐らくですが)
なんという贅沢……本当にありがとうございました!

ポエトリーリーディング大会の始まり

いよいよリーディングが始まります。
ここからは僕の感想を交えて一人一人の感想を書いていこうと思います。
あくまで僕の感想ですので、意図がズレてたりしていることもあります!
配信ページの概要欄からそれぞれの時間に飛べますので参考にしてください!

一番手 タナベさん

トップバッターは主催であるタナベさん。
詩のテーマは「からあげ」
……いやあ、凄かった。
前半の状況説明から体言止めなどを使って単調にならない運びから、終盤の盛り上げはこれぞポエトリーリーディングといった感じで、くうさんのピアノも相まって完全に作品として出来上がっていました。
日常の些細な事から感じたことをこれまでかと掘り下げていくのはお見事で、完全に配信の流れを決めたと思います。

三番手 オノッチさん

二番手である僕は飛ばしていきましょう。
ぜひその目で確かめて下さい(攻略本)。
オノッチさんは「プログラマーの仕事」というテーマでアクトしました。
自分が体験した事を発表していくのですが共感できるモノから始まり「ええ!?」と声を上げるモノへ段々とシフトしていく構成に思わず笑いが漏れてしまいました。
魂の「やめてくれ」という叫びとそれでも滲み出る優しさを感じれる作品でした。

四番手 ドコカノうさぎさん

四番手はドコカノうさぎさん
「うさぎ星について」とこれまでのテーマからはかなり角度の違う所。
ポエトリーリーディングを「PR」とし見事な演説を披露してくださいました。
内容はかなりシリアスで切羽詰まって、うさぎ星の実状が伝わってくる詩で様相が思い浮かべられますね。
バードマンに動物に変えられぬよう、議会との交渉頑張ってください。
Twitterに全文掲載されていますので、チェックしましょう。

五番手 海崎マノンさん

朗読家として活動されている海崎マノンさんの登場に会場もコメントもさらに盛り上がります。
「雨傘」とタイトル付けられた詩の朗読。ご本人は謙遜されていましたが、やはり朗読で培われた語りは本物。
季節に合わせたテーマ、傘の話、雨の話、そして一緒に傘の下にいた「誰か」の話。
韻というか繰り返す言葉が綺麗でスッと入ってきて溜息が漏れます。
そして圧倒的に声が良い。
こちらもTwitterに詩を上げられているので確認しましょう。

六番手 甘野氷さん

バスタ部というお風呂に入る部活動の部長、甘野氷さん
詩のテーマも勿論「バスタ部」。
怪しい勧誘的な語り口で笑いを誘いましたが、途中の自問自答の様な語りが活動に向けている想いが伝わってきました。
ドコカノうさぎさんに続いてPRと偶然続いたのも面白かった。
僕もお風呂大好きです。
甘野さんもTwitterに掲載されてます!見よう!

七番手 胡椒少々塩少佐

今回は残念ながらリアルタイム参加は叶いませんでしたが、動画で参加して頂いた胡椒少々塩少佐さん
「触れた家電が壊れる」というクレイジーな能力者みたいなテーマのリーディング。
今まで壊れていった「彼ら」に語り掛ける姿はシュールながらも切実で訴えかけて来るものがありました。
動画は壊れてなくて本当に良かった。

八番手 おきゅたんbotさん

八番手はこの企画の司会進行、配信も務めていたおきゅたんbotさん
小学三年生の頃に書かれた「しょう来のゆめ」を語ってくれました。
彼女のいる世界の描写はメルヘンで、それでいて書かれている言葉にはそれぞれ意味があって聴く人を一気に掴んだんじゃないでしょうか。
「VRのてっぺんでみんなと遊ぶことです」という言葉から「世界はふくざつです」「だからてっぺんはいっぱいあります」は本当に素敵な言葉だと思います。
Twitterに全文公開されています。読んでくれ。

九番手 さがしものリンドさん

自身の生放送もしながら参加してくれたさがしものリンドさん
「七〇〇〇キロ旅して思った話」から始まったリーディングは目線を多く向けていて詩情を感じられます。
車を作り、船を作り、飛行機を作り、ロケットを作り、枠を抜けたくて、時間を、距離を越えたくて──
一本の筋が通った素晴らしいお話でした。

十番手 エピトさん

一番生の感情を叫んだのはエピトさんじゃないでしょうか。
恐らく前半の多くはフリースタイルで、今までの流れを汲んだ詩は切実そのものでしたね。
感情の発露という点で来るものがありました。
チャンネル登録お願いします!!!!!!!!
声、好きです。

十一番手 アリスクリュームさん

バーチャルアンドロイドのアリスクリュームさんの語りは夏目漱石の「吾輩は猫である」のサンプリングから始まりました。
例えば僕が同じ様な詩を読むことは出来ますがそれは「嘘」になるんですが、アリスクリュームさんから語られるのは紛れもなく「本当」なんですよね。
とにかくその感じが「バーチャルだなあ」と素敵な気分にさせてくれました。
違うお話も聞いてみたいですね。

十二番手 鎌木リカさん

オルタナティブロックをやられている鎌木リカさんのパフォーマンスは個人的に一番好きでした。
前半はエピトさんの様に流れを汲んで急遽取り入れた詩を披露して頂きました。
それでなぜ僕が一番好きなのかと言えば「言葉遊び」と詩のテーマがどストライクでした。
「一枚、二枚、お金を数えて」「死にたい、痛い、苦しくなって」ここでやられましたね。
自分の見方、他人からの見方。「わかる」って思いながら聴いていました。
公開されている楽曲、鎌木リカ「全力黄泉比良坂」MVも素敵なので是非。
全文Twitterに公開されてます。チェック!!

十三番手 キヌさん

とにかく聴け!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
……と思わず叫んでしまうキヌさんの作品。泣いた。
二作読まれましたが、ここでは一作目「アイしか知らない。」について書きたいと思います。
「あなたがいたからわたしになった」からの畳みかけがヤバすぎてヤバイ(語彙力)。
全体的に悲しい印象を受ける語りですが、内容は美しく前向きだなと感じました。
こちらもTwitterに上がっていますので一度自分の声で朗読して欲しい。
そして仕掛けに気付いてビックリしてほしい。

終わり

かなり長い文章になってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。
これを書いている間に何回も皆さんの朗読を聴き直しましたが、それぞれ個性が出ていて本当に素晴らしい企画だったなと思いました。
改めてタナベさんを始めピアニストのくうさん、共演者の皆さま、配信を観ていた皆さま、ありがとうございました!楽しかったです!

僕個人の意見ですがポエトリーリーディングには決まりはないと思っています。
リアルの大会でも日記を読む人から漫談をする人まで様々ですし「自作の詩を読む」というのが大事だと思っています。

詩、いわゆるポエムを読むのは本当に恥ずかしい事ですよね。僕も未だに恥ずかしいです。
でもそれはポエムは「混じりっ気の少ない自己表現」だからこそ恥ずかしく感じるんだと思います。
絵が描けなくても、物語を紡げなくても、歌が歌えなくても、楽器が弾けなくても、声さえ出せれば、文字さえ書ければ、思考さえ出来れば、誰でも出来ます。
何かを通さず自分の考えや想いを直接ぶつけることの出来る創作だからこそ、恥ずかしくて面白いものになるんじゃないかなと思いながら活動してます。

今回の配信を観て、「自分もやってみようかな」と思った人はぜひ一人で書いて読むところから始めてみませんか?
嬉しかったことや悲しかったこと、どうでもいいことや大事なこと、本当のことや嘘のこと。
なんでも自由に自分を表現してみるのも面白いかもしれませんよ?

この配信で聴いたような、例えばこんなポエムでも読んで。

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