コロナ体験談【Day4】マジでつらかったのはこの日まで
七月二十四日、日曜日。ようやく苦難の土曜日を乗り越えたが、日曜日も症状はさほど好転していなかった。
今日は特に身体(特に節々)の痛みが強い。幸い胸の痛みは引いていたが、熱特有の身体の軋みが強い一日だった。
そして、最悪なことに咳に痰が混ざり始めた。この時はてっきり「痰さえ出し切ってしまえば、咳は収まる」と軽く考えていた。しかし、これが長く続く咳&痰地獄のスタートだったとは。結局喉の痛みは三週間経っても消えていない。本当に厄介な存在だ。
なんだかんだで、発症してから四日。ぼんやりと「今が正念場」だと思った。あと数日したら、体調も落ち着くだろう。ただ、その「数日」が一日なのか二日なのか。はたまた一週間なのか。先が読めずモヤモヤ。
しかし今が症状のピークなのだということは漠然と感じていた。(そして、実際にその予想は当たっていた)
どうでもいいが、前夜に体温計の電池が切れた。これでは正確な体温が計れない。困った……と思ったけど、当分は自宅療養する身なので別に困らない。今すぐ正確な体温を知る必要がないからだ。後でネット通販で買えばいいやと、すぐに切り替えられた。
それに熱が出すぎたせいで、今では「だいたい何度か」が体感でわかるようになった。38度を越えると、冷蔵庫の前に座りたくなる。自分的豆知識も増えた。
日曜日の特筆すべき点は、発症後初めて「食べたい」と思ったこと。
思えばここ数日、ろくに食べていない。一日にカロリーメイト二本(個包装一つ)を食べるのが限界だった。
ほぼ絶食状態の時、最初に何が食べたくなるのか。自分のことながら、私は病床で楽しみに予想していた。
最初に食べたのは、意外にもカップラーメンだった。
揚げ物は食べたくないので、フライされたカップラーメンの麺は食欲が湧かないと思っていた。
しかしあの優しい出汁の風味を味わいたい。あくまで水分補給の延長線上として、カップラーメンを欲していたのだ。
具体的に、食べたくなったのは緑のたぬきである。うどんは嫌、ソバがいい。他のメーカーは考えられなかった。
幸いにも、買い置きしたカップラーメンの中に緑のたぬきがあった。ランチ時の汁物として、小さいサイズを買い込んでいたのである。ちなみに私はソバ派なので、少量サイズの緑のたぬきは数点ストックしていた。
いつもなら「こんなに小さくて、ちっとも足りない!」と思うところだが、闘病中はあのサイズがちょうどいい。あれより大きいと食べきれない。初めてミニサイズのありがたみを感じた。
ある程度食欲が戻るまで、私はカロリーメイトと緑のたぬきのお世話になった。
大きな進歩として、この日の夜は風呂に入った。
ここ数日、汗まみれになっていたので、本当に体が臭かった。自分でも嫌になるくらいだ。身体もべたつくし着替えもしたい。そこで、ぬるめの湯にザっと浸かることにした。
「熱がある時は風呂に入らない方がいい」というが、この時は入って正解だった。悪臭と不快感が消えたことで、とても晴れやかな気持ちになった。それだけで気持ちに余裕ができたし、ここまで回復したことが何より嬉しい。
その他は今まで通りで、特に変化はない。水を飲んで眠って。相変わらず具合は悪い。いかにも病人と言わんばかりの過ごし方をしていた。
よく「病気中に一人だと心細い」という言葉を聞く。しかし私はまったく逆で、どちらかといえば具合が悪い時はそっとしておいてほしい人間だ。
同居人がいたら、痛みや苦しさといった不満をぶつけただろう。
つらい中「大丈夫?」と何度も声をかけられたら、「見たらわかんだろ! てめぇには目がついてねぇのか!」とブチ切れる未来しか見えない。私のことで心配する相手がいない方が、気持ち的に何倍も楽だった。
私としては、自力でできないのは「いよいよ本当にヤバイ時」が来た時だけ。それ以外の日常生活は一人でできる。だてに一人暮らし歴は長くない。
そういえば、コロナ流行当初、医療機関の受診目安が「37.5度以上の熱が四日以上続いた時」だった。医療機関の逼迫が深刻だったとしても、患者は相当待ったことになる。
当時の患者たちはさぞ苦しんだことだろう。「私なら耐えられない」と発症当初は思った。しかしなんとか乗り越えた。人間とは案外強いものである。
そして月曜日の朝を迎えることができた。
こんなところまで読んでくださって、ありがとうございます!