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読書は、狩猟に近い。

語りたい作品という獲物を求めて、短編と言う川や森を探り続ける。 獲物が無い日が続くと欲求不満もいいところだが、 近頃は中々の手ごたえを感じている。 

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📖折口真喜子さんの蕪村シリーズ『恋する狐』を購入。 こういう本に出会うと「生きてて良かった」と思う。 この一冊に収められた『箱の中』は、一見「うらしま太郎」にあやかっているようで、実は芥川作『藪の中』へのオマージュではないだろうか。だって、箱の中に入っているのは真実だと、主人公は言うのだもの。 そして、別シリーズに伝説の歌舞伎役者に纏わる逸作も発見。 志の輔さんの高座を観てから、この類の作品を探していただけに「やっと会えました。ありがとう」と手を合わせたくなった。 

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📚宮本紀子さん!老女が新たな一歩を踏み出す面白作品『ふたたびの道』。 語るには険しき道かもしれないが、共感させる力の高さに工夫のし甲斐があるのではないかと模索中。日本文芸家協会編の書籍で見つけた出色の一作。 

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📗西條奈加さんの直木賞受賞作『心淋し川』は、北区・文京区・豊島区の図書館へ予約して数百人待ち。 急がないので呑気にしていたところ、忘れた頃に豊島区&文京区で順番が来た。最終章『灰の男』、ガツンとやられた。憎んでも憎んでも足りない程、頭から離れない存在が、実は自らと同じ苦界にあり、自分と相手の境が一瞬にして解け出す。どんでん返しというには、重く深淵な人間の性が胸を刺す。 

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📒北原亞以子さんの『こはだの鮓』は抱腹絶倒。気負わない機会に是非、演ってみたい。愚かな事を繰り返してしまう「懲りないねぇ」という人を描いた、落語に近い何ともチャーミングは一篇。 

女性作家作品との巡り合いが続いている。昨年秋に一球入魂した『神無月』の宮部みゆきさん作品は、今年5月にも上演予定です✨ 

「好いじゃん!」と思っても、声に出すと何だか苦しかったり、思い描いた状態には程遠い事も多々あるのだが、誰に頼まれるでもなく、どうしてもやりたい事を続けるのみ。 こうやって候補作が蓄積すると「語りたい!こんな作品」みたいな本を世に出せたらな!と、ふと思ったりするが、売れないかしらね。

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