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短編!宮部みゆき作品 弐
画:ユカワアツコ(小鳥の絵や小物を制作。画像は箪笥の引き出しの底板に描かれた作品。https://calico29.wixsite.com/yukawa-atsuko/1st-project)
『お墓の下まで』
「堪忍箱」(新潮文庫)
人間は多面体…複数の人物のそれを、巧妙かつ緻密に描写。これは語り手冥利に尽きる。
自分は墓を必要としないが、死ぬまで喋らない事はいくつかある。これからだって増えるかもしれない。そんな共感も抱く物語。
『落葉なしの椎』
「本所深川ふしぎ草紙」(新潮文庫)
〈取り返しのつかなさ〉を描く作品に惹かれることがある。どう表現するか、非常に難しい。共感してもらえるかどうかも難しい。
取り返しのつかない事を承知であがいてしまうのも、人の性(さが)かもしれない。岡本綺堂の半七を彷彿とさせる茂七親分はそれを受け止める頼もしい存在。
宮部みゆきさんと北村薫さんのアンソロジー『読んで!半七』、『もっと!半七』もおススメしたい。
『蜆塚』
「あやし」(角川文庫)
おっかない。でも、語りたい。萩尾望都さん『ポーの一族』に通づる魅力満載の一作。〈死〉は誰でも平等に経験するのに、現代もまだまだ縁起の悪いことで、漠然と長生きしたい人は多い気がする。しかし、この作品には〈死ねない〉事の恐ろしさと悲しみがある。
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