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出でよ!ジャンヌダルク!!#26

「供養の形」の代表・石原千晶さん

「出でよ!ジャンヌダルク!!~女性経営者が未来を変える~」。
(毎月第一金曜日・午後7時~)https://www.be-happy789.com/
毎回、創業間もない女性経営者にゲストとしてご登場していただき、
何故、起業し、そして、今後、何をして行きたいのかを、お好きな曲とともに根掘り葉掘りお聞きしていきます。
8月のゲストは、「供養コーディネーター」と言う実にユニークなお仕事を3年前に立ち上げた、「供養の形」の代表・石原千晶さんです。

(写真、真ん中)
早速ですが「供養コーディネーター」とは、どんなお仕事なんでしょうか?

「ご家族でどなたが亡くなった時に、お葬式があり、ご遺体が火葬され、その後、ご遺骨が残りますよね。そのご遺骨を、この先、どういうふうにご供養していきましょうか、例えば、お墓に入れるのか、実家のお墓に入れるのか、お墓がないのであれば、新しいお墓作るのか、それとも散骨にするのかと、その方法を一緒に考えたり、あるいはコーディネートして、こんな方法はどうですか?と、ご提案するお仕事です。簡単に言えば、“ほけんの窓口”や“ゼクシィカウンター”の、お墓バージョン、供養バージョンと思ってもらえると分かりやすいかと」

なるほど、確かにそれは分かりやすい。
しかし、このご遺骨に関して、今、手元にあるものの「さて、どうすればいいんだ?」と悩んでおられる方が実に多いそうです。
その数、実に、200万体。
こうした方々のことを石原さんは、こう呼びます。

「遺骨難民」

それは、一からお墓を建てようとすると、結構な費用がかかるからです。

「お墓建てるとなった場合、石だけ買えばいいと言うものではない。やはり土地が必要になってくる。土地代と上物は別で、それらを合わせると、最低でも130万円から140万円かかります」

実に大きな買い物となるので、遺骨を抱えて悩んでしまうと言う方も多い。そこで石原さんのような完全中立な第三者的立場の方からのアドバイスが重宝されると言う訳です。
しかし、石原さんがこのお仕事を始めるまでには、様々なキャリアを経験されておられるのです。

この写真をご覧ください。上段左端が石原さんです。
高校時代にサッカーを始め、めきめきその才能を開花させます。卒業後は実業団のサッカーチームを経て、東京女子体育大学へ。その在学中にアメリカの大学からスカウトされて1年間サッカー留学、そして、帰国後に高校などでコーチなどを務めます。まさにサッカー漬けの青春だったのです。
その後、サッカー人生には区切りをつけて、大手計算機メーカーに就職。そこで腕時計部門で営業をされていたんですが、2017年に、この大手計算機メーカーを辞め、全く違った業界である石材会社、いわゆる墓石を販売する会社に転職されます。その訳とは?
 
「2015年に母が脳梗塞で、突然倒れ、また、私が外部コーチとしてサッカーを教えていた教え子が、同じ頃、交通事故で突然亡くなってしまったんです。それまで死ぬなんてことを考えもしませんでしたが、母が倒れた時に、母がそうなった時の希望というのを、父も私も何も聞いてなかったことに気気づいたんです。終末期はどうしてほしいとか、延命治療はどうしてほしいとか、お葬式やお墓について、どうしてほしいっていう希望を全然聞いていなくて、これじゃダメだ、っていうことに気が付いたんです。やっぱり死というものを考えること、死後のことについて考えることって、こんなに大事なんだなっていうことに気づいて、エンディング業界というものにどんどんどんどん興味を持って行ったと言う経緯なんです」

今や、超高齢化社会。その先に待っているのは「多死社会」です。そう言う意味からすると、エンディング業界と言うのは成長業界に他なりません。しかし、その一方で古い業界でもあります。
石原さんは、こんな声を耳にしました。今の葬送業界は、LGBTQの方々には優しくない、と言うのです。例えば、夫婦同様長年のパートナーだったにもかかわらず、同性だからと言って、喪主席に座れないと言っただけでなく、葬儀にも参加出来なかった、遺骨も渡してもらえなかったなどのケースが往々にしてあると言うのです。
そこで、石原さんは、「性的少数者が安心して葬送を行えるLGBTQフレンドリーな葬送のためのガイドブックを作りたい」と思い立ったのです。
その瞬間から、実際に行動に移すまでのその様子をきり取って、番組ではラジオドラマ風にお伝えしました。そのシナリオがこちらです。

「あの子のパートナー、亡くなったらしいよ。でも、お葬式には出席できなかったみたい」
「えぇ~、そんなことって、あるんだ?」
千晶が、性的マイノリティの友人から、そうした話を耳にし出したのは、今から1年半ほどまえのこと。最初は、千晶が供養に関する仕事をしていることからたまたまこうした話が集まってくるのかと思っていたものの、
次第次第に・・・

「これは表に出てきていないだけで、こうした酷い話は数多くあるのかも知れない。もし、相当数あるのであれば、業界あげて対応しなければならないんじゃないの!?」
と思い始めたのです。そこで、実際、調べてみようとしたんですが・・・
 
「えっと・・・どこに行けば、そうした方々に話が聞けるんだろ。話は聞きたいけれど、そうした知り合いは、そう簡単に見つからない」
そんな千晶に「Twitterを活用してみては?」と言うアドバイスが届きます。
そこで、早速、取材専用のアカウントを作り、当事者であることを明らかにしている人に向け、直接連絡を取って取材依頼をするんですが、返信は、ほぼなし。
その後、ようやく、「いいですよ」と言う人が見つかります。その人は、何とLGBTQの皆さんはよく知るゲイの人気ユーチューバーだったんです。
そこから、そのお友達、そのお友達と、取材を受けてくれる人の輪が、繋がっていったのです。
 
インタビューに答えてくれたのは実に50人、アンケートに答えてくれた人を
含めると150人ほどの生の声を集めることが出来ました。
さらに、千晶一人で始めたこのプロジェクトに、仲間も集まり始めます。
各地域のLGBTQの支援団体や、僧侶に医師、弁護士、行政書士などが加わり
6月からは、このガイドブック作成のためのクラウドファンディングも実施、目標金額にこそ、あと僅か届きませんでしたが、124人にも及ぶ支援者が名乗りをあげたのです。
千晶は言います。
「表に出て来なかった問題を、これで、表に押し上げたことは出来たかな」と。葬送業界のジャンヌダルクの、今後の活躍が、大いに注目を集めています。

・・・と、簡単に書きましたが、石原さんはここに至るまでの感想を、こう述べられました。

「疲れた!」

この石原さんの今回のプロジェクトを巡って、「LGBTって何?」「周囲にそうした人などいない!」と言う時代遅れの声も葬送業界の中では多数聞かれたそうですから、思わず、「疲れた」とおっしゃったのもよく分かります。しかし、こうした問題が、業界に存在すると言うことを表面に浮き上がらせた石原さんの貢献は非常に大きいものがあると思います。
そして、さらに石原さんは、次の課題を見据えます。

「例えば、在日外国人の方の中には、火葬しないと言う宗教の方もおられます。そう言う方は土葬を望まれますが、日本では、土葬が出来る場所は限られている。こうした葬送に関して色々と苦労されておられる方、不要な悲しみを受けておられる方がおられるんです。そうした課題は、やはり解決していきたいですね。また、プロジェクトを立ち上げるかも知れません」

あぁ、石原さんは強い!
さて、そんな石原さんからプレゼントを頂戴しました。
今回ご紹介しました「LGBTQフレンドリーな葬送のためのガイドブック」です。このガイドブックを3名の方にプレゼントいたします。このガイドブックは2種類あって、一種類が当事者向け、もう一種類が事業者向けです。
ともに、パートナーを亡くした際の体験談が紹介されていますが、当事者用には「待ち受ける葬送の場面」や「医療意思表示」などの具体的なケースが、一方事業者向けは、「LGBTQの基礎知識」や「当事者への対応、祭祀承継について」などが紹介されています。ですから、事業者向けとは言え、広く一般の方々も目を通して欲しいと思います。

プレゼントご希望の方はウメダFMのプレゼントフォームからお申し込み下さい。その際は、上記2種類のうち、どちらが欲しいかを明記して下さい。
https://www.be-happy789.com/

さて、石原さんから、お薦めの曲をご紹介いただきました。
映画『洗骨』の主題歌で、古謝美佐子の「童神」です。
映画も、笑いあり、涙ありで、お薦めだそうです。
石原さん、本当にありがとうございました。
 
さて、次回の放送は、9月2日(金)です。
どんなゲストが、どんなお話しをお聞かせくれるのか?
皆様!!お楽しみに!(*^_^*)

【参考】
供養の形:
https://ohaka.net/

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