アパレルのゴミを減らすための取組み

ゴミを減らすには、どうすれば良いのか？について色々考えていることについて書きましたが、実際にビジネスとしてどのような取組が行なわれているかについて、事例を紹介していこうと思います。

1.アパレルのゴミの何が問題なのか？

　世界中では、年間200億着もの洋服が廃棄されているそうです。日本国内で１年間に供給される衣服の製造から廃棄までの工程で排出される二酸化炭素（ＣＯ２）は推計で９５００万トンに上ると言われています。廃棄＝焼却によって二酸化炭素が大量に排出され事が、大きな問題だと言えそうです。

　ファッション業界では、毎年毎年、色やスタイルなどの流行が変化します。ですから、今年売れると思って作ったものが、来年売れるかどうかわかりません。また、ブランドの価値が毀損しいないようにするためには、売れる分だけを流通させていた方が、メーカーにとっては都合が良かったと言えるのかも知れません。（この辺のマインドは、近年大きく変化してきています）

　消費者が望む価格での生産を実現するには、一定量を出来るだけ大量に生産した方が効率的です。これが、アパレルから大量のゴミが発生する原因だとも言えると思います。

2.アパレルのゴミを減らす２つのアプローチ

　では、アパレルのゴミを減らすにはどうすれば良いのでしょうか？

これには２つのアプローチが必要だと考えます。

① 必要な量しか生産しない

② 作り過ぎた洋服を捨てずに流通させる

　まず、１つ目のアプローチについてですが、これは非常に難しいアプローチです。なぜなら、夏物は冬に、冬物は夏までに生産が行なわれるからです。このため、その年にどんなアイテムや色が流行るのか、を予想するのは非常に困難です。これを改善するために、AIを活用した需要予測やカットソーやニットなどに予め色をつけるのではなく、白色に色を後で染める事によってそのシーズンの流行に合わせる試みなどが行なわれています。

　２つ目のアプローチは、二次流通マーケットです。これは、アウトレットやリサイクルショップなど、オフラインでは比較的歴史のある取組です。これに、加えて出て来たのが、ネット流通を通じた新しい取引プラットフォームです。これについて、次の章で事例を紹介したいと思います。

3. アパレルの二次流通を促進するプラットフォーム

　まず、一つ目は「スマセル」です。

https://www.smasell.jp/abouts/philosophy

スマセルは、在庫を販売したい出品者様と特価商品を求める購入者様を繋げるマッチングプラットフォームです。　

スマセルHPより

このプラットフォームが、活性化してきている背景には、SDGsの進展によりメーカーや商社が洋服を大量に廃棄することに、社会的批判が高まっている事があります。また、焼却するとコストがかかるのに対して、スマセルで販売すると売上に繋がるだけでなく、従来手にする事がなかった層に商品を届けられるという側面もあります。

　それだけでなく、売り手、買い手の双方に対して、CO２削減量を可視化しています。これにより、売り手候補となる大手のアパレルメーカーや商社がスマセルに参加しやすい環境を作っています。供給サイドの問題を解消する事で、スマセルに参加する売り手となる出店企業、バイヤー、エンドユーザーとなる個人の間にwin-win-winが生まれています。

　運営会社である、株式会社ウィファブリックの福屋社長は、アパレル業界の出身であるため、二次流通と廃棄ロスの問題の本質について理解しているのがスマセルの強みなのではないでしょうか。

２つ目は、これから本格的に立ち上げを開始する定額ジュニア服レンタルサービス「ハグシェ」です。

　https://www.hagsha.jp/

ハグシェは、子供服に特化したサブスク、シェアエコを組み合わせた衣類ロス解消サービスです。　

ハグシェHPより

　子供服には、買ってもすぐに子供が大きくなってしまって着られなくなるという問題を抱えています。当然、子供服も通常のアパレルと同じように廃棄の問題があります。この問題を解決しつつ、シェアやシェア後の買取など様々なプランを活用する事で、子供服の購入にかかるコストを抑えようという新たな取組です。

　まだまだ、これからのサービスですが、サービスの利用者が提供者になるようなサイクルを生み出す事が出来そうで、今後の期待大です。

アパレルは、利用者が多く廃棄ロスの削減を訴求しやすい反面、参加するプレイヤーの母数も多いため、圧倒的なプラットフォームになるのは難しい側面がありますが、ぜひこの２つユニークなサービスが浸透し、アパレルでのゴミを減少する事に期待しています。