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木村カエラはロックだ

僕が木村カエラを知ったのは、2008年か2009年?の紅白歌合戦で歌っていたのをテレビで観たときだったと思う。”Butterfly”を歌っていて、白っぽい金髪・白のドレスがカッコよかったのが印象的で、ポップスのお姉さんにしてはアウトローなヴィジュアルだと思った。そのとき一発で木村カエラを好きになってしまって、”マスタッシュ”と”リルラ リルハ”をiTunesでダウンロードしたんだっけな。
初めて生で観たのは、2011年のサマソニ東京初日のマリンステージ。The Ting Tingsの後の出番だった。髪型はオレンジ色のショートボブみたいな感じで、またアウトローだった(笑)。僕が木村カエラの曲で一番好きな”リルラ リルハ”はやらなかったから、あまり印象に残るステージではなかった。それに、木村カエラの次が元Oasisのリアムギャラガー率いるBeady Eyeで、その次がトリのThe Strokesだったから、緊張してて消化不良だったな。まあ、2014年のサマソニ東京で”OLE!OH!”を振り付きで踊って、リベンジできたから良いんだけどね。

で、やっと本題に入ろうと思う。紅白とかサマソニの話は、本題とは全然関係無いです(笑)。
まあ、なにが言いたいかというと、「木村カエラはロックだ」ということ。上で「ポップスのお姉さん」と言ったけど、それは当時もっていた漠然とした印象で、いくつかの曲を知った今となっては、木村カエラはロック以外の何ものでもないと思う。じゃあ、木村カエラのどこがロックなのかというと、それは音でも見た目でもなく歌詞ですね。ロックって、曲調とかノリとかでロックか否かを判断されることが多いけど、重要なのは歌詞だと思う。なので、木村カエラの書いた歌詞をいくつか見ていきます。
まずは僕のお気に入り”リルラ リルハ”。

忘れないで 見つめることを
忘れないで 感じることを
今できるでしょう?
今しかない この時間を
あなた次第で

REAL LIFE 流れゆく
REAL HEART 変わりゆく

見つめること・感じることを忘れないでと言っているけど、じゃあ何を見つめること・感じることなのかというと、それはREAL HEART。本当の気持ちを直視するのを忘れるな!ということ。本当の気持ちを直視するかしないかで、今しかないこの時間があなた次第で変わりゆく、ってことだと思うんですよ。どう変わるの?REAL LIFEに。本当の人生に変わってゆく。つまり、本当の気持ちに正直になることができれば、そこから自分の本当の人生が始まりますよ、っていうこと。だから、正直に自分の心を直視するのを忘れないでね、というのが木村カエラからのメッセージなのかなと思います。
で、木村カエラの曲は、この手の歌詞がいっぱいある!この手というのは、自分の気持ちに正直になろう系の歌のことで、たとえば、”Magic Music”とか”喜怒哀楽 plus 愛”とかですね。では、この2曲も歌詞をみていきましょう。

”Magic Music”

雨なBOY
外はBeautifulでPerfectなeveryday
日傘Girl
一体何をねlooking for もとめ

あなたの中にねむるExciting
おこしてあげるわ

この歌詞の登場人物は、雨なBOYと日傘Girlですね。どちらも喩えで表現されているので、少しわかりにくいかもしれませんが、雨なBOYは暗い少年、日傘Girlはツンツンした少女を意味していると考えられます。二人とも晴れの日の光を浴びてないんですよね。雨は曇っていて天気が悪いし、日傘は晴れてるけど陽の光を避けている。雨なBOYは雨降りみたいな気持ちで、日傘Girlは不機嫌に日光をさえぎっている。でも外はBeautifulでPerfectな毎日。つまり、二人とも自分たちの心を開かないでいるために、美しい完璧な毎日を送れずに過ごしているんです。本当は彼らの心のなかにBeautifulでPerfectな毎日があるのに、彼らはそれに気づかずに心の殻の中にこもっている、ということです。だから、木村カエラは彼らに、あなたの中にねむるExitingをおこしてあげるわ、といっているんです。これも内容は”リルラ リルハ”と同じですね。
クドいですが(笑)ラストにもう一曲、”喜怒哀楽 plus 愛”の歌詞もチェックしていきましょうか。

目一杯 ハジけちゃいたい
飛び込みたいの U & I
胸の中 金輪際ウソはつけない
感情再生 plus 愛
声にだして

これも”Magic Music”や”リルラ リルハ”と同じで、自分の気持ちに正直になろう系の歌ですね。喩えが使われていないストレートな表現なので、”Magic Music”よりわかりやすいと思います。ハジけて飛び込みたい胸の中の気持ちにウソはつけないから、感情も愛も声にだして正直になろうってことですね。わかりやすい!

ここまでみてきた3曲に共通しているのは、自分の気持ちに正直に生きよう!というメッセージです。「自分の気持ちに正直に生きよう!」は、ちょっと長いので「自分自身になろう!」に言い換えますね。僕はこの「自分自身になろう!」がロックのメッセージだと言いたいのです。でも、このメッセージが、なぜロックになるのかは説明が難しいですね。というより、ロックといわれている人たちが、「自分自身になろう!」というメッセージを発していることが多い、と言った方がいいかもしれません。「ロックとは〜だ」と明確に定義することは難しいですが、ロックといわれている人たちはだいたい同じ様なメッセージを言っていると思います。実際に、僕が聴いているロックアーティストの歌詞をざっくりと分類すると、いまみてきた自分自身になろう!系の他に、絶望を歌う系や自意識告発系の三つに分けられます。それで、木村カエラのメッセージをそのロックアーティストたちの歌詞の中に入れても、全く違和感がないと思うのです。例えば、イギリスのロックバンドのOasisは木村カエラと同じことを歌っているんです。

”Supersonic”

俺は俺自身でいなきゃならない
他の誰かになれやしないんだから

”Roll With It”

流れに乗っていくんだ
急がないで
言うことはハッキリ言ってやれ
誰にも邪魔させちゃいけない
そんなの俺にはとても我慢できない

絶対脇に寄るな
絶対はねのけられるな
自分らしく生きたいんだろ

”Whatever”

なんだろうと好きなことを
俺は自由に言えるんだ
それが間違っていようが正しかろうが全然かまわない

いつも君は
みんなが君に見せたがっているものを
見ているだけみたいに俺には思える

Oasisも木村カエラの詩と全く同じですよね。違いを挙げるとすれば、Oasisの方が力強い調子の言葉ですね。まあこれは、Oasisのキャラクターに合わせた和訳なのかもしれませんが。いずれにしろ、「自分自身になろう!」というメッセージとしては、木村カエラもOasisも同じだといえます。他にもこの手のメッセージを言うロックバンドはたくさんいますが、長くなるので引用するのはやめときますね。

さっき挙げたロック歌詞の三分類、自分自身になろう!系・絶望を歌う系・自意識告発系の全てに共通するのは、現実には問題があるけど、それを直視して良くしようという姿勢です。ロックを定義するのは難しいけど、強いて言えばその問題意識があるか否かだと思います。だから、自分の心を偽っているという問題を直視して、自分自身になろうとするのはロックだと思います。つまり、木村カエラはロックなのです!

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