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パウロ・コエーリョ『アルケミスト』から得た教訓

 『アルケミスト』は、羊飼いの少年がピラミッドを目指して旅をする物語である。旅の途中で様々な人や出来事と出会い、教訓を得ることで、少年は成長していく。

 本記事では、この物語の筋にフォーカスを当てるというより、そこからどのような考え・思想を私自身が読み取ったかについて記したい。

 この物語では、まず多くの人が信じてしまっている「世界最大の嘘」を定義する。それは何か。「人は人生のある時点で、自分に起こってくることをコントロールできなくなり、宿命によって人生を支配されてしまう」ということである。

 その例として、パン屋の店主が挙げられている。彼は小さい頃は旅に出ることを夢見ていた。しかし、お金がない・周囲にどう思われるかなどの問題に悩まされ、実行に移せないまま、歳を取ってしまった。

 このように、心のうちにはやりたいことがあるにもかかわらず、取るに足らない外的条件あるいは感情に制約され、実現することができない、と言うケースは私たちの日常に溢れているだろう。しかし、著者はこういった考えを「世界最大の嘘」と一刀両断する。

 「自分を縛っているのは自分だけ」である。私たちはやりたいことを諦めようとして、実際以上に問題を難しくしている。そうではなく、自分の望みに対してもっと素直になるべきだ、というのがこの物語の主張と繋がる。

 私たちが本当に何かを望む時、その望みは宇宙の魂から生まれたものである。それは、「地球におけるおまえの使命」である。

 したがって、「私たちが何かを望む時には、宇宙全体が協力して、それを実現するために助けてくれる」。

 夢を追うことは不安と隣り合わせである。傷つくことを恐れる気持ちも理解できる。しかし、「傷つくのを恐れることは、実際に傷つくよりも辛いもの」である。「夢を追求している時は、心は決して傷つかない」。

いかがだろうか。確かに宇宙云々の箇所については神秘主義めいたというか、宗教チックなところがあるが、私はこうした言葉に勇気づけられた。この物語には、上に引用した以外にも、たくさんの含蓄のある言葉で溢れている。是非一度手にとって読んでみてほしい。






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