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ろくでなしの詩

雨が降っていた。傘を差す気にもなれず雨に打たれた。もうすぐで彼岸だ。そう、忌々しい彼奴の三回忌だ。いっそのこと騙されたかった。本当は忘れてしまいたいぐらい嫌なのに耳にこびりついて離れないのだ。「つまらない大人になってしまったね」そう言った彼の生き様を私は死ぬまで忘れはしないだろう。幼い君はもういない。理解してるはずなのに頭が追いつかないってやつだ。あの頃夢を語る君が眩しかった。時の流れとは恐ろしいものだ。そっと立ち止まると手のひらだけが酷くじっとりと熱かった。君の背中がやけに遠のいて見えた気がした。私は赦されるのだろうか。空を見上げても雨足は強くなるばかりだった。

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