ドラえもんは不良品ロボットなのか〜AIはアナログ的なスキルと矛盾するかを考える〜

はじめまして、WEBプロデューサーのなんばと申します。

2021年は、新しいことをたくさん知ることを目標に、インプットを増やすべくnoteを書きはじめることにしました。

わたしが所属している会社は、雑誌編集の経験者が集まるベンチャー企業なので、このnoteでは編集やジャーナリズムなど、人の手による情報のキュレートや記録が、日々発展するデジタルテクノロジーとどう関わっていくのかについて、幅広く書いていきたいと思います。


・・・・と書きつつ、いきなり関係ない「ドラえもん」の話からスタートします。

ドラえもんは”不良品”ロボット?

今息子(兄)が5歳なので、毎週土曜5時からドラえもんを見ることが我が家の日課になっています。(金曜7時じゃないんだ、というジェネレーションギャップ・・・!)

ある時、ドラえもんを見ながら息子が、

「ねぇ、ドラえもんって、ネジが取れちゃってる壊れたロボットなの?」

と聞いてきました。誰から聞いたのか、ちゃんとドラえもんの誕生話を知っているのか・・・!と感動したのですが、ドラえもん、こんなに長らく愛されている日本を代表するキャラクターですが、原作の中でロボットの「不良品」扱いなんですよね。

最近は、ネジが1本取れておかしくなったという話になっているみたいですけど、わたしが知っているのは基準値を超えるほど人間に近いロボットだったために、ジャンク品扱いされたという話。

では、ドラえもんが不良品でないロボットだったときに、どんな対応をするのだろう・・・。

コミュニケーション型ロボットの「AI」

最近のコミュニケーション型ロボットには、「AI」が実装されているものが増えてきました。AI、日本語でいうと人工知能や機械知性みたいな言い方をされますけど、分解すると、

AI=計算機 + アルゴリズム + データ

みたいな表現をされることが多いようです。

最近気になっているコミュニケーションロボットで、ミクシィが開発している「Romi(ロミィ)」というのがあるのですが、会話AIが数千万(!)の日本語データを学習して、雑談やコミュニケーションを自律型でできるようになっているらしいです。

いや、すごいですよね。会話が成り立っちゃうんだ・・・という感動。

ここで気になっているのが「アルゴリズム」。アルゴリズムとは、データの計算方法を示すものですが、コミュニケーションロボットのAIにおいては、その「人格」をつくる元みたいな役割があるのだろうな、と思います。

Romiの場合、数千万の日本語データを学習しているそうなのですが、その前に、各日本語データからどのような「情報」を取り出し、どのように「意味づけ」していくのかのルールがすごく重要で、これ次第で会話のインプットに対して、どのようなアウトプットを返すのかが決まって、そのロボットのキャラクター形成には、すごく重要な部分だと思います。

そして、本来アルゴリズムというのは、大量のデータから要素を削ぎ落として機械的に判断するための手順として踏まれることが多いですが、このようなコミュニケーション用のAIにとっては勝手が違うと思います。

ドラえもんがもし、機械的な判断を下してのび太くんを効率的に支える存在だったとしたら・・・国民的キャラクターになることもなければ、こどもの創造力を育むこともなかったんだと思います。

コミュニケーション型ロボットの「AI」には、編集者による”アナログスキル”が役に立つ!?

わたしの所属する会社でも、最近このようなコミュニケーションロボットのAIアルゴリズムを考えるプロジェクトに携わっていて、同僚の編集者が参加しています。

プロジェクトは子供向け商品の開発なので、こどもの年齢別に絵本を分類して、本に出てくることばの文節やつながりをひたすらパターン化させ年齢ごとに理解できる文章量を探ったり、保育園でのこども同士の会話を隣でずっと聞きながら、噛み合わない会話の中でもなぜ盛り上がれるのかなどを考えたり。オトナには「?」と思ってしまうことの中から、こどものツボを探るべく、日々格闘しています。

この作業は、AIが正しく情報を判断するために、事前にインプットするための情報整理を行っているわけなのですが、同僚の編集者が行っているのは、規格にはめてパターン化できないものの中から、部分とつながりを拾って意味づけをしていくことです。しかも機械的にではなくて、言葉にぬくもりが感じられるような組み合わせを作り出さなければなりません。

そのためには、AIが対する相手を深く理解し、その相手がどう受け取るのかを考えた上で情報を設計する必要があります。この作業、雑誌で編集作業をするときに使うスキルと近いものがあるんですよね。

読者の行動パターンや嗜好などを、街なかで観察したりインタビューしたりしながら研究する。雑誌の構成を考えるとき、読者が読む順番を考えた上で記事の並びやページを調整する、など。

編集って、雑誌や書籍づくりに関わる人でないと少し縁遠い職種だと思います。でも見方を変えると、このAIのアルゴリズム構築の支援にも応用できる、とても広がりのある”アナログスキル”だと思っています。

このnoteでは、そんな編集者の活躍を一端でもご紹介できればと思います。


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