”コンテンツ”を大事にするメディアがやらないといけないこと〜「デジタルエコノミーの罠」を読んで

こんにちは、なんばです。

6月は人生で初めて、クライアントワークでない、自社のメディアをイチから立ち上げました。毎日ドタバタですが、自分たちで育てていくものがあるって、なんかいいなぁと感じる今日このごろです。

今回はまた積読本の読書感想文を書きたいと思います。ご紹介するのは、マシュー・ハインドマンさんが書かれた「デジタルエコノミーの罠」という本です。

メディア関係の方でまだ読まれていない方はすごくおすすめです。

どんなことが書いてあるか、ものすごーく簡単にまとめると・・・

「君たち、良いコンテンツ作っていれば、いつかはたくさんの人が気付いて見に来てくれるって本当?今も見てくれている人がいるっていっても、ただの一見さんなんじゃないの?ちゃんと読者の心を掴んで、頻繁に来てもらえるサイトにするためには、もっと他にもやることあるでしょ?」

と、いうようなことが、データや数理理論をもとに実証的に書かれています。(相当端折った内容なので、正確な情報は本を読んでください)

正直…読んでてつらかったです。事例で書かれているのは米国の地方新聞のWEBサイトの惨状なのですが、すごく頑張ってコンテンツ作っていても、デジタルで戦うための”正しい努力”の方法を間違えた結果、読者もついてこなければ収益も生まれないという、報われない現実が突きつけられていて、ぐさっときました…。

メディアがやるべき4つのこと

さて、この本の中に書かれていたコンテンツ大事にするメディアが取り組むべき「他にもやること」ですが、大きく以下4つがありました。

1.ページの読み込み速度・ダウンロード速度が速い
2.デザインが優れ、ナビゲートしやすい
3.パーソナル化された推薦システムで、コンテンツと出会える
4.面白い・興味をひかれるコンテンツが、より多く更新頻度高くある

この4つをしっかりやり続けることが、WEBサイトに対する読者の”粘着性”(何度も利用してくれる状態をつくる)を高めることになり、その粘着性は他サイトとのわずかな差だとしても、べき乗則で読者を増やすことにつながる、と書かれています。

ただ、現状のメディア企業で4つとも必死に取り組んでいるところは数が少ないのではないかと思います…。多くの企業では、2のデザインをわかりやすくすることと、4のコンテンツの更新頻度を高めることの”表向き”の施策に留まっているのではないか、と。

1の読み込み速度を早めるためには、サイトが重くならないウェブのアーキテクチャーとサーバーの増強などが必要です。今わたしの会社でも複数のオウンドメディアを構築していますが、0.1秒の読み込み速度を上げることに投資をしている会社はあまり聞きません。(ECサイトではビジネスに直結するのでしっかり対策されていますが…)また3のパーソナル化されたコンテンツの推薦システムは、Abema TVでは進んでいると聞きますが、メディア企業で自社開発されている話はほとんどないのではないかと思います。

1と3は、メディア企業が実践できるのが理想的なのだと思いますが、クライアントから委託されてオウンドメディアを作ることが多い私の立場では、すこし実現には遠いかな、、、と感じます。

すぐに取り組めるコンテンツの「見直し」

ただ上記4つのやること以外にも、もう少しお手軽な、コンテンツ自体を「見直す」方法も書かれていました。

・短い記事を中心にする(英語なら単語500word以内)
・長文の特集記事、短文のニュースなど、記事に多様性をつくる
・見出しとリード文を徹底的に見直し改善する(ただしクリック数ばかりに囚われてクオリティを落とさない)
・ソーシャルメディア向けに最適化する
・マルチメディアコンテンツ(インタラクティブ要素や図、動画など)で読者エンゲージメントを高める

上げられているのは、よくある”テクニック論”なのですが、ハインドマンさんが言っていたのは、「自分たちの価値観やブランドアイデンティティを尊重しつつも、もっと注目されるコンテンツは作れる」ということでした。

そうなんですよね。以前から、数値データに色々引っ張られすぎていて、「自分たちのメディアとしてこれで良いんだっけ?」がおろそかにされている気がしてもやもやしていました。結局どちらも大事、という前提にたって、データを見るべきだよなぁ、と改めて思います。


冒頭でもご紹介しましたが、6月に「xDX」という自社のメディアを立ち上げました。

どんなメディアかというと、デジタルトランスフォーメーションの、”トランスフォーメーション”を大事にして実践している人や企業を応援するためのメディアです。

まだローンチから半月で、コンテンツの見直しはこれから始まるところです。

せっかくなので、自分たちの価値観を大事にしながらできるテクニック論の実験を、自分たちのメディアでもやってみたいと思います。タイトルや見出し、メルマガやSNS運用など、ここでもちょこちょこ見直した内容と結果をご報告できたらいいなぁと思います。(編集長にはこれから相談。笑)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?