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離島の現状とオンデマンド型水上交通実現の必要性について

エイトノット 木村です。
持ち回りなので、絶対に更新落とせないプレッシャーを感じながら書いています笑

さて、今回は当社が取り組んでいる水上移動が抱える課題の中から、「離島航路」について取り上げたいと思います。

離島航路の現状

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結論から言うと、維持継続が厳しい航路が多いという状況です。日本全国にある離島航路約300のうち1/3以上が赤字で国や自治体からの補助金で成り立っており、年間約70億円の税金が投入されています。加えてコロナ禍における収益の更なる悪化から航路の再編や減便なども検討されている航路もあります。

出典1:国交省|補助航路の状況について
出典2:会計検査院|離島航路運営費等補助金の交付額の算定方法等及びその審査について
参考:中国新聞デジタル|離島の生活航路どう確保 三原の佐木島、過疎化とコロナ禍で乗客減

当たり前のことですが、完全離島(橋で本土と繋がっていない離島)において、フェリーなどの船舶による水上移動手段は生活の生命線です。日用品などの物流はもちろん、島によっては医療サービスを本土に依存していたりするので、絶対になくしてはならない生活航路なのです。

ではなぜ、このような苦しい状況に陥ってしまったのでしょうか。考えられる原因は大きく分けて2つあります。

1. 離島の過疎化による利用客の減少

日本全体としても人口減少と高齢化が進むなかで、離島はその最たる例と言えるのではないでしょうか。少し詳しく見ていくと、実は離島の人口減少は戦後からすでに始まっていることが分かります。

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出典:国交省|島づくりのトリセツ

昭和30年から平成22年の間に、全国の人口は約4割増加しているにもかかわらず、離島地域の人口は約6割減少していることが分かります。これは都市部で経済・医療・交通インフラ整備などが進み、より便利で経済的にも豊かになれるチャンスがある場所を目掛けて多くの方々が移住したことに起因します。そして、地域の人口が減ると公共サービスを維持することが難しくなります。その傾向は今も加速していると言っていいと考えています。

2. フェリー、高速船などの大型設備の老朽化と代替手段の不足

もう一つが利用者が減っていく一方でフェリーや高速船などの比較的大きな旅客船を運航・維持していくためのコストは減らすことができない、という課題です。

下記は少し古いデータにはなりますが、運航に必要な費用の構成になります。船員さんの人件費を除くと「燃料費・船舶修繕費と減価償却(おそらく船体に係る部分が大きいと思います)」が全体の4割程度を占めています。

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出典:国交省|離島補助制度について

もし、小型船をもっと積極的に活用し、カーフェリーなどが空のまま航行するような無駄を省き、用途によって最適な配船をするベストミックスを実現できれば、燃料費・維持費はもっと抑えることができるはずです。

船員の確保も年々難しさが増しているため、人がいなくて運航ができない!という課題に対しても自律航行船で対応することができます。

また、オンデマンド型水上交通を実現することができれば、フェリーの時間によって生活が左右されるということもなくなり、利便性の向上も期待できます。

安全性の確保、法整備、航路整備など、実現に向けては多くの課題がありますが、ひとつ一つ着実にクリアしていくことで、水上移動が足枷にならない世界を実現したいと考えています。

それでは、また次回!

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