映画「BLUE GIANT(ブルージャイアント)」レビュー
去年公開されてから一度も観てなくて、今回初めて観たのだが。
とにかく熱い!熱すぎる!高校野球と同じにおいを感じる。
というか、この作品以外でも何かに打ち込む姿というのは熱いのである。
僕はこの原作を読んだこともなければ、ジャズも聴かない。だけど、この作品は震えた。
本作はジャズに打ち込む3人の物語。それぞれの背景に共感できるから観てて感情移入してしまった。
登場人物それぞれの印象について語ったあとに、物語についての感想を書いていきたいと思う。(長いです)
まず主人公の大(サックス)。こやつは眩しい!とにかく眩しすぎる。好きなものには一直線というのが見てて分かる。そして素直でいい奴。
好きなことに夢中になれるその姿勢が、すごく羨ましく思えた。
そして雪祈(ピアノ)。4歳からピアノを続けていることだけあって、自他共に認める能力の高さ。才能があることには違いないけど、プライドが高い。
正確な音を出すことにこだわる完璧主義な面が垣間見られた。でもね、すごく分かるこの気持ち(←)
最後に玉田(ドラム)。
大と同じく目標に向かって頑張れる、好きなものには貪欲。そして何より仲間思い。熱い心の持ち主。
ジャズの魅力にのまれたのもあるだろうけれど、玉田の場合は“大”の存在が大きかったんじゃないかなと。
こんな3人が組んだジャズバンド“JASS”!
無名な若者3人のジャズバンドの紆余曲折な物語。
大みたいな才能のある人物って、「努力を努力と思ってないよなぁ」なんて思ったりして。
好きだから、目標があるからどんなに辛くても頑張ることができて。それって当たり前じゃないと思うんですよ。
継続して頑張り続けられる才能っていうのも必要で。それに加えて、上手くいかなかったら改善してまた挑戦してっていうサイクルを回していけるか?っていう視点も大切なんですわ。
ここができなければ、ただジャズが好きな奴ってだけになる。でもエンターテイメント?においは、資格試験のように明確な点数というのはないから、一部個人の主観的なものも入るかもしれない。
ここで思うのが、雪祈がSo Blueの平さんに言われた言葉の重要性なんだと。
平さんが雪祈に伝えた言葉は
「君の音楽は全然ダメ。小手先の技術だけでしかない。そして初対面にも関わらず挨拶もしない。店での店員に対する態度の悪さ。加えて、知人を通じ連絡先を手に入れてのし上がろうとする卑しさ。」(うろ覚えだけど)
こんな感じ。
ジャズに限らず、何かを作り上げるには1人ではできないことも多い。誰かの協力があって、実現できる。音楽を作るにも、聴いてくれる人がいなければ、広がっていかないし。演奏する人、歌う人がいなければ当然作れないし。
表面的なものってやっぱり相手に伝わるんだと思う。
何かを作り上げたり、成果を上げたりする人って基本的に孤独なんですよね。
確かに人とコミュニケーションを図ることで、得られるアイデアとかはある。でも最終的に一つの何かを完成させるには、地道な努力の積み重ねでしかなくて。
つまりその間、孤独と戦う必要があるわけで。それがこの作品では表現されていた。
JASSのメンバーそれぞれ裏で努力していて、自分なりに改善していこう、成長していこうっていう気持ちが見えた。
別に人生は、頑張っていなきゃいけないってわけじゃない。
もし好きなものがあったとしても、人によっては打ち込めない理由とか障害があったりする。
それでも今の環境に文句を言うだけじゃなくて“ 自分で変えていこう”っていう気持ちが大切なんだって。
諦めたらきっと、何も頑張れなくなってしまう。なんでもいいから自分で未来に希望を持ってみたら、その先は明るいかもしれない。
人と比べたら、しょうもないかもしれない。だけど自分なりに決めた目標なら、いいじゃないか。僕はそう思う。誰がなんて言おうと、あなたの人生はあなたが決めればいいって。
とはいえ、人に迷惑をかけたりすることは違うけど。
夢に向かって頑張るって言っても、年齢とか性別とか環境とか色々弊害はあるかもしれない。
それでもやっぱり頑張ってる人、努力してる人ってすっごくキラキラしてて魅力的で、美しいんだよ。
いま僕が見ている人たちが、どんな経験をしてどんな努力をして、どんな目標に向かっているのかなんて全部は分からない。だけど、確実に伝わっているものはある。
いま自分がやっていることなんて、なんの役にも立たないと思うこともあるかもしれない。それで諦めたくなることもあるかもしれない。だけど続けていけば、必ずどこかで見ている人はいる。僕はそう思って生きている。
自分が思う正解に向かって過ごしていたら、良い結果に繋がっていくんだと思っている。その努力の方法が正しければ。
きっとこんな裏の裏の裏みたいなテーマはないと思うんだけど、勝手に自分の中でいろいろ繋がってしまった。
そして、この映画の醍醐味といってもいいライブシーン!!
ジャズはまったく分からないけど、ライブシーンは鳥肌立った。臨場感がすごくて。
加えてライブでこれまでの思い出が走馬灯のように描かれているのが、とても良かった。これまでの積み重ねが今を作り上げているんだって思わせられて、より感動した。
ライブを観ている人たちの表情にもグッときた。最後のライブシーンの涙ぐむアキコさんを見てたら「そうだよね。嬉しいよね」って鬱陶しいおばさんみたいな感情になっていた。
あと玉田をずっと応援していたおじいさんが、スーッと涙を流すんだけど、あそこも良かったなぁ。
アニメーションも音楽もすごく良かったんだけれど。。僕自身、映像作品を観るとストーリーに焦点が当たってしまうからどうしてもレビューが偏ってしまう。まあいいか。
あと声優も良かった。
とくにやっぱり岡山天音さん。演技が自然すぎて、天音くんに気が付かなかった(笑)
細かな息遣いの感じがリアルで入り込めたなと。実際の演技とは違って、また別の難しさがあると思うんだけど、それを感じさせないし声が好きです。(ばり主観)
この作品は情報量多すぎて、それぞれの声優を追う暇があまりなかったのだけれど天音くんは追いました。好きなので(笑)
BLUE GIANTは、先日観た映画“笑いのカイブツ”にも通ずるものがある。頑張る対象ってなんでもいいんだって思った。
自分を忘れるくらい何かに打ち込みたいなって、そういう気持ちを高めてくれる素敵な作品でした。また観たい。
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