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ヘルパーになるということ


“人が好きですか”


たまにこの言葉をルリ子は思い出す。

それはサ責の相葉ひろみがルリ子に尋ねた
ときのものだ。

あの時自分はなんて答えたんだろう。

あの頃はヘルパーの資格も取っていなかった、本当に素人さんそのものだったから。

そんなルリ子は、正直言って今でもあまり
人間が好きな方だとはいえない。

それは過去の辛い出来事などがかなり
影響しているからじゃないかと。
人が信じられなくなった。
また裏切られるんじゃないか、って。

そんなふうにルリ子は自己分析している。
だから人と深く関わろうとしなくなった。
それは男だろうが女だろうが一緒。
まあ、仕事は割り切ってそこそこ人との
コミュニケーションは取れているけど。

そんな人間がよく介護職に就いて
いるよなと、我ながら思う。

自分は本当にこのままでいいのか。
もっと自分に合う仕事が他にもあるんじゃないか、とも。
働きながら他の仕事も探してみようか。

このところルリ子はそんなことを考える。

壁に飾ってあるカレンダーもいよいよ最後の12月になった。

私、ヘルパーとして成長してるんだか…

私は私のペースでやっていけばいい。

そしていつか誰かを心から信じられるような自分になれたら、それだけでいい。



  





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