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部署のビジョンを全社員参加の対話型ワークショップで策定している話

現在100名超えの部署のビジョンを対話型ワークショップ策定しています。

まだ策定している最中だけどトップダウンでもボトムアップでもなく「対話」を選んでよかったなと思うので、改めてなんで「対話」がいいんだろうか、「対話」には何が必要なのだろうかをつらつらと書いてみます。

ビジョンを策定するに至った背景

営業の資料を作っていた時に弊社のこの部署は〇〇な未来を目指しているんです!と言えないなと課題意識を持っていて、そんなときに研修や接遇などで人づくりをしているチームも部署のビジョンがないことに課題を向けていて、ビジョンについて考えませんか?と相談したところから始まった(と記憶している)プロジェクト。

部署としても、第2創業期を迎え規模が大きくなっていって、多くの社員がボードメンバーと喋ることができなくなっていってという問題もあって、さぁビジョンを作ろうかとなった。

「対話型ワークショップ」を行ってよかった点

ビジョン策定ワークショップは全社員に行うため、9回行った。満足度は80%超え。

感想では、関係性を作れたので何かあれば相談しやすくなったという意見や、違う職種の人の話を聞けて良かったという意見だけでなく、価値観の違いに気づけて自分の考えを客観的に知ることができた、自分にはなかった目線や考え方を聞けたことが新鮮だったという意見も。

私自身も、自分でも思っていなかったような(自覚していなかったような)考えが出てきたりして、これからも息するように対話していたいなぁなんて思った。

また、他拠点で働く部署だが、離れていても同じ会社で働く仲間という認識を持てたという声も。

さらに、社員ミーティングで「はい、サービスを良くするためにアイデアを出し合おう!」と言ってもなかなかアイデアが出ないにも関わらず、部署でやってみたいことを好きに語ろう!といったらアイデアがいっぱい出てきた。具体的なアイデアから抽象的なアイデアまで。自分に自信がない、だけどやってみたいという思いはあって。もしかしたら「対話」が「想い」の肯定になったのかもしれないなぁなんて感じた。

2時間のワークショップだったから話したりなかったとか、もっと丁寧に自己紹介がしたかったなんて話もあったりしたので、まだまだ改善の余地はあるワークショップだったけど、これからも対話は必要だねってなったし、インフォーマルなコミュニケーションは今後も企画して行く予定。

なぜ「対話」はいいのだろうか

ここからは私の考えるなぜ「対話」がいいのかって話。

なんとなく日本にいて教育を受けていると、「答え」が与えられるものだと思っている節がある。
でもさ、それって思考停止でクリエイティブじゃない。

複雑な社会で単純に「答え」が出せない今、違う他者同士が一緒に「考える」プロセスは重要なんじゃないかなと思っている。

分かり合えない他者と過ごす社会で課題を見つけて解決していくためには「対話」しながら進んでいくってうプロセスが、合意形成的な意味だけでなく、より良い解を導くために必要な気がしていてる。

あらゆる立場、背景の人が集まってそれぞれの「バックボーン」を理解して「自分たちの答え」を出すために「対話」がいいんじゃないかなと思う。

最近はそういうときに若い人の、若い世代の声を聞こう!(聞いて!)なんてのを見かけるけど私は違和感がある。
若い世代の声を聞いてほしいのではなく、多世代で交流したい。
もちろん若い世代から変えていきたいこともあるけど、上の世代を排除したいわけではない。お互いの理解ができなくても、違いを認識して「対話」していくことが大切だと思う。

「対話」には何が必要なのだろうか

「対話」と言っているけど、大事なのは「聞くこと」だと思う。

人はビジネスの場において「決断」することを求められる。そのときに何かしらそのときその状況におけるベストな「答え」を出さなきゃいけない。でも実は相談・提案するときに”まず”して欲しいのは、解決策といった「答え」をもらうことではなくて、ただ聞いてくれることだったりするのではないかなって。

まずは現時点の私の意見を、考えを、わかって欲しいだけなのに相手に好き勝手に解釈されて返答されて…そうなったら聞いてもらえない!という気持ちから、もう喋ることを諦めたり、もしくは攻撃的になってしまったりするでしょう。

「あ〜わかったわかった、こういうことでしょ、だったらさ…」って言っていませんか?
自分の解釈を入れて返答するスピードを競っていませんか?

ビジネスシーンにおいてスピードは重要かもしれない。だけど、本当にそのスピード心地よいですか?必要なスピードですか?どこかで衝突が起きてしまうようなスピードではないですか?

遠回りかもしれないけれど「聞くこと」から始まる「対話」は案外近道だと思う。ゆっくり「聞く」余裕を持つことが大切だと思う。

そして、私たちが対話型ワークショップをしたときにルールにしたことは「批判しないこと」「相手の話をジャッジしないこと」。

また、私が普段気をつけていることは、「相槌を丁寧に入れること」「共感する部分を伝えること」「質問して内容を確認すること」「喋っていない間の表情にも気を配ること」。

さらに、もっと大事なことは「聞いてもらう機会をつくること」だと思い始めている。「何かあった?」「何か聞こうか?」そう言ってもらえる機会?タイミング?を生ませることも必要だと思っていて。
たまたまのように雑談の機会をつくることも大切なんだけど、いきなり話しかけてもらうのって日本の文化的に苦手だと思うから、上司との1on1を実施するとか対話型のワークショップやミーティングに設計するとかが大切だと思う。

ビジョン策定のプロセス

私たちはビジョン策定にあたって、ミッション・ビジョン・スピリット・バリューをそれぞれ整理した。

「ミッション」は日々果たすべき使命、つまり「なぜ行くのか?」
その「ミッション」を未来軸で考えた実現したい未来が「ビジョン」、つまり「どこに行くのか?」
個人軸で考えた大切にすべき精神、価値観、行動規範が「スピリット」、つまり「どうやって行くのか?」
企業軸で考えた約束する価値・強みが「バリュー」、つまり「何を武器に進むのか?」

そして私たちはビジョンを策定するワークショップをする前にホームワークをしてきてもらい、当日は以下の流れで行った。

・TOPメッセージ
・今までの仕事で1番やりがいを感じたことのシェア
・弊社と私の価値観
・行動規範と私
・部署(会社)で目指したいこと(叶えたいこと、やってみたいこと)
・最後にマイドリーム

まずは自分の体験を話し、対話の雰囲気に慣れてもらうことをしてから、会社と自分の距離を近づけるワークをやって、ビジョンにつながるようなワーク、という流れにし、最後にそのビジョンが会社だけのものではなく自分の夢にもつながるようにというのをイメージしてワークを設計した。

ワークの後は、アンケートを行いワークショップで表現しきれなかったかもしれない部分を汲み取ることも実施。

その後、立候補や推薦して結成した10名程度のメンバーでプロジェクト化。
プロジェクトメンバーは部署の全社員が参加した全9回の対話型ワークショップの録画映像、アンケート、その日のメモ用紙、事前のホームワーク用紙からキーワードを抜き取り、ロジックモデルに当てはめた。

その間も双方向性を失わないためにニュースレターを出し、コミュニケーションをはかっている。
GW明けには中間報告を行い、再度意見をもらう予定。

始めたのことだったので、実はこのプロセスに至るまでには、もう少し細かいコミュニケーションもとったけど。

最後に

「ビジョン」ってなんのために必要なのでしょうか。

私は、私たちが日々仕事をする中で迷ったときに、あっちに行きたいからこうするんだよね!のフラッグにするために必要だと思う。

そしたら作って終わりのものではもちろんダメだし、誰かがこっちに進めよ!と押し付けるものでもない。みんなが腹落ちして理解して共感して進みたいと思ったときに組織は強く、だけども柔軟になるんだと思う。

私はそんな組織で働いてみたい。だから今「対話」にチャレンジしています。すぐには結果が出ないと思うけど、世の中は立体的で、広くて、答えを出すことを急げるほど単純ではないはずだから、ゆっくりと「対話」をしながら進んでいきたい。

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