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小さな庭の物語~わあ!お月様~

ママ?

うん?なあに?

少し寒くなったね
とらおじさん お風邪ひいてない?
なんか 鼻水出てたけど?

そうね、あしたでも お見舞い行こうね。少し
冷えたからねえ 雨 降ったしね

うん
行こ 行こ。
ねえ

ママ さっき隠れてたお月様 お顔出したよ
ぼく 少し うとうとしてたら お顔見せたよ
わあ 白くてきれいなお月様だよ。見て!
お屋根の上の方まで来てる。。
なんか いつもより ずっときれいだよ、ママ。

そうねえ
きれいねえ。冴え渡ってる。
いつものお星さまが 大きく見える。
おかえりって言ってるみたいだねえ。
お月さま 隠れる前より 白くてきれいねえ、なんて綺麗!


ぼうや 薔薇さんが 咲いたよ。さっき ママ、気がついたよ。

夜の薔薇

ママ 
薔薇さんね お昼間に咲いてたよ
ひとりで 歌いながらお空見てたよ
綺麗なのにすぐ散るね。それでも またほかのつぼみが
開いてくるよ。いつもそっと。

そうだね、なに 考えてるのかな。いつも夜に開いてるのに
気がつくの、ママ。

ママ?
ねえママ

ん?なあに?

なんか 急に 今 おばあちゃんちにいきたくなった

そう

元気かな
おじいちゃん
おばあちゃん お空にいったの?
いつもぼくのあたま 撫でてくれたよ

そうねえ
やさしかったねえ

ママ それにね
おばあちゃん ご本大好きだったの
子どもの本。
絵が いっぱいあって 字も大きいの。
きつねのお話しよく聞かせてもらったよ。
ぼくきつねくんのお話し 大好き。

そう
おばあちゃんが教えてくれた、こんすけさんのお話し
今夜は 聴かせて ほしいな

うん、いいよ。
やさしいこんすけくんのおはなしだよ。
うさぎちゃんやくまくんが おともだちなの。
うさちゃんたち いつも一緒に遊ぶんだ。
ある日ね。
こんちゃんが お絵描きしてたの。
チューリップとか ちょうちょとか
棒で地面に書いてる。
よく描けてて にっこりだよ。
そこに うさちゃんとくまくんがやってきて 
ぼくたちも書かせてっていうの
棒を渡されて 船やバスを書いて 楽しいこというの。
こんちゃんは バスもお船も知らないの。
それに うさちゃんたち 字も書けるんだよ。
こんちやん書けなくて うさちゃんたちが 
わあわあいうの

こんちゃん お布団に入ってね
眠れないで いろんなこと考えてね
みんな知ってるけど ぼく知らない
「バス ぼく知らない。お船も知らない、」
「字も描けないや」ひとりごというんだ。
くらやみのなかでね
お目目 しっかり開けて思うんだ
あのチューリップ閉じたかな
ちょうちょ ねむったかな
おやすみ おやすみ」
そして ねんね。

そう
それでねえ ママ

うん?なに?

こんちゃん
次の朝 起きだして その絵を見に行くの
そしてね 自分で運転席とかへさきとか
いいながら 書き足していくの
それから しっぽやつのを書き足すの
ほんとに 動き出しそうで 喜んでいたら
うさちゃんたちが来て 怒るんだ
なんで 勝手に描くのよって
それで あわてて消すんだけどね
みんな こんどは字を書いて
でもこんちゃんは 知らない
みんなが 知ってること こんちゃん
知らないって 
それで ひとりになりたくなるの
ママ みんなが知ってて ぼくひとり
しらなかったら 悲しい?
ぼくも お友達できたら しらないこと いっぱい
あって 悲しくなるの?

うーん そうねえ
ぼうや
それで こんちゃんは どうしたの?

うん
ある日ね

こんちゃん 悲しくなって
ひとりで丘に登ったの。
丘にはね 甘いお花が いっぱい咲いててね こんすけちゃん
思うの 
あのときは はなつみに きたのだったって。

寝転がって お手々を大きくあげて まちは あっち?
うみは?
いちは こう書いて
どんなだったかなあ わかんない
こんちゃん
なみだがぽろって流れるんだよ ママ。

そう。

でもね でもね こんちゃんいうんだ
「じなんて かけなくったって ぼくはぼく。」
きつね こんすけ

それでね もうとろとろしてね おねむしたの

うん

そうしたら なんかお顔に ポトンって。

雨が降ってきたのね

うん。そう。こんちゃんね わああって 夕立だあって。
こんちゃん 思うの、ああ こんなに降ったら うさちゃんや

くまくんの描いたお船やバスのえが消えちゃうよ。

それで?

それでね、ママ。
急に大きな虹が出て
目の前に すてきな虹だよ。

こんちゃん もうびっくり!
きれい!なんて きれいなの?

ぼくだけ 虹がうまれるところ 知ってる。
ぼくだけ。
ああ
うさちゃんたちに 教えてあげよって
こっくりして
駆けだしたんだよ

ママ?
どうしたの?

うん?
ごめんね。いいお話しだなって ママ 泣けてきたよ

そうだねえ。ママ
この前 虹さん みたねえ。きれいだったねえ。
ふたつ でてたねえ。

そういいながら また ぼうやもとろとろ
きょうは 長いこと お月さんみてたものね。
ぼうやもみられて よかったね。
ママ・・・とつぶやきながら ママの腕の中で眠ります。

ぼうやを 夜風が そっと つつみます。
「おやすみ」って言ってるのかな。

お昼間は お隣りのシーズーと遊んだね。ミキハウスの
お洋服着てたよね。 かわいかつたけど・・・。高そう。

ああ
もうお月さまが お屋根の上まできたよ。明るく
ピカピカだよ。ひかりの輪があって なんかうれしそう。
また
会えたねって挨拶かな。ふふ。
さあ
もう お布団に行こうね。今日は たくさんママに
お話ししてくれたねえ。うれしかったよ。ぼうやも大きくなるんだ。。
そう
そのうち ぼうや ママから離れる日がくるね。
でも まだまだ 一緒。
いっぱい 時間がほしい。
だって ぼうやたちは長く生きられないから。

ぼうや。
おやすみ。
また あしたね。

皆さま
今日もお付き合いくださって ありがとうございました。
いつもいつも とりとめがないですね。
また 遊びに来てください。
ぼうやには いつものお月様が かくれんぼして
楽しかったようです。
では おやすみなさい。また 遊びに来てね。





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