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小さな庭の物語~いぬいぬ祭り~

ママ
寒いねえ

寒いねえ。もうすぐ冬だよ。ぼうや 長いこと
おねんね するの。木枯らしが吹いて みんな
眠るの。春になって ぽかぽかしたおひさんが
顔出したら 起きて遊ぼうね。いつものちょうちょさんも
いるよ、きっと。ぼうや
お風邪 ひかないでね。

ママ
眠るのね。じゃあ いつかお話ししてくれた
「いばら姫」のおねえさんみたいに?

違うよ。おねえさんは 物知りの女のひとに眠らされたんじゃ
なかったっけ?
あのおねえさんは お母さんたちが
こどもがほしいって願って 願って産まれたの。
大事に大事に育てたのだけど、ねえ。
おんなのこが生まれて 大喜びの王様は パーティーをしたの。
お友達や親せきの人を呼んだわ。
そしてね 未来を見通す力をもった
かしこい女のひとたちも呼んだのよ。妖精かな。。

この国にはそんな女のひとが13人いたけど
王様はご馳走に使う金のお皿を12枚しか持っていなかったので、
1人だけ呼ばなかったのよ。

ええ?そんなの そのおねえさん 可愛そうじゃない?

そうよねえ。ひとりだけ 仲間外れだもんね。王様の
センスとしては揃わないお皿の風景がいやだったのかも
知れないけど それはないよね。かわいそうだよ。
そしてね
とても賑やかだったパーティーが終わる頃
最後に 女性たちはお姫様に1つずつ贈り物を授けるの。

1人目は徳を、2人目は美しさを、3人目は富を。

そして11人目が贈り物を授けた後に、あのおねえさんが現れてね
自分だけ呼ばれなかったことに怒ってる。
だから 大きな声で叫んだの。

お姫様は15歳になったら、糸つむに指を刺して死んでしまうわ!

こわいよ ママ。

怖いねえ。

皆は慌ててね。
でも、まだ贈り物をしていない
12人目の女のひとが進み出て、言うのよ。

「お姫様は死ぬのではありません100年の眠りにつくのです

100年?ママ。。。

そうなの。
12人目の妖精のおかげで呪いは軽くなったけど
気が気でない王様は国中の糸車を全て燃やすように命令したの

そして長い年月が経ち、今日はお姫様の15歳の誕生日っていう日。

王様とお妃様は急用のため外出したので、残ったお姫様は城じゅうを見てまわるの。

ママ そのお姫様 大丈夫?

ねえ、そうよねえ。危ないよねえ。

でね、お姫様はね、庭に古い塔が建っているのを見つけるの。

塔のなかの狭い階段を登っていくと小さな部屋があって
中にはおばあさんと糸車があったのよ!。
おばあさん、何しているの?」とお姫様が聞くと
「糸をつむいでいるのですよ」と お返事。

そのくるくるまわって面白そうなものはなあに?」と
お姫様が糸つむに手を伸ばすと、
あの妖精にかけられた呪いどおり、
糸つむを指に刺してしまって。。。

そしてそのままそばにあったベッドに横たわって
お姫様は深い眠りについてしまうのでした。ってお話しよ。

ねえ
ママ。それから お姫様は どうなったの?お星さまには
ならないよね?

どんなだったかなあ。
城で眠る美しいお姫様の噂話を聞いた王子様が、
なんとか一目見たいと城へ向かうんやったかなあ。

呪いで城じゅう全てが眠りにつくなか、
とうとう塔の上の小さな部屋を見つけた王子様がね
ベッドに横たわるいばら姫の美しさにいっぺんに
ああ いいなあって。。

うんうん。

そっとほほよせて そしたら お姫様は
100年の眠りから目を覚ましたのだって。

いばら姫の呪いが解けたことで城じゅうの皆が眠りから覚め
いばら姫は呪いを解いてくれた王子様と結婚するという幸せなお話。

でも、もしかしたら 眠らなかったら 王子様に会えてたか
どうか わかんないねえ。
なんかね
いばら姫が眠りについてからお城へ行こうと挑戦したけど
いばらが 痛くて行けなかったんだって。
ちょうどいばら姫が目を覚ます頃だったんじゃない?とか
言ってね、王子様は無事にいばら姫のもとへたどりつけた
んじゃないかなんて 。

ママ
眠くなったよ。聴いてたら・

そうだよねえ。ぼうやには まだわかんないよね。

うん。
ねえ ママ。今日、おばちゃんのうち 賑やかだったねえ。

そうなの。今日 大きなご用があって みんな集まったのだって。
おにいちゃんも 小学生のちびちゃんも来てたね。
おじちゃんもおばちゃんも しあわせそうやったね。

うん。
いぬくんも 来てたね。また大きくなってて ぼく
こわかった。。でも やさしい顔してるよね。吠えないし
なんかつまんなかったら いつもおにいちゃんの
傍で寝てたね。

そうねえ。さみしがりやだから 玄関に置いとくと
さみしいって ご飯も食べなかったね。ガラス戸に
顔が映って クーんって鳴くんだもんねえ。頭を低く
して ドアを押そうとするの。
お肉も、食べなかったけど みんなの顔見たら 食べて 寝てたね。
邪魔にならないようにねえ。

ぼく。

うん。
お兄ちゃん 子どもの頃 飼えなかったから 今
すごくしあわせそう。。ママ よかったね。

そうね。ほんと。あれほど 動物嫌いだったおじちゃんが
あのこのことは 可愛いっていうねえ。
おっとりしてるしねえ。

ちょっとさみしい


いぬいぬ祭り。


ぼくは犬自覚なきかな冬夕焼け

おっとりして
臆病で
子犬に吠えられ
困った顔する
もう 無視するしかない
あちらは いわれもなく大きいだけで
吠えてるもん

吾輩は犬である自覚とは到底 ほど遠く
やって来た時から 家の子。
犬の自覚なしやありや。
偏食しほうだい。

この日は 伽藍の住職のお話を聞きました。
伽藍を囲む森には 小鳥や大きな鳥が来て
にぎやか。その日は 雨。でも 一瞬 晴れた
時があった。小鳥が 囀り 青い空が 僅かに
見えたが また なみだ雨のように降った。
この森には
もうすぐ椿の花が咲くと めじろさんが来ます。
ちょうちょもきますしねえ。
いのちが たくさんあります。
このあたりを 無防備に歩く あらいぐま テン いたち。
堀には カモが来ました。
きつねの親子は どこかへ移動しました。
小学生もいたからか
こんなやさしいお話をしてくださる。
まさに
生きとし生けるものへの眼差しの温かさをいつも感じる。
あったかくなる。

この秋の終わり 畑の菜種油を 小学校の生徒さんに もらって
燈明にしたのですよ、やはり あたたかいですね。。と。

やさしい時間を過ごしました。

ああ
今日も また取り留めなく 終わりそう。。。
あなたのこころは 寒くないですか?
木枯らしが 吹きましたね。

どうか 暖かくして お休みください。
また会える日まで。
























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