見出し画像

彼女が虹の橋を渡った日

2021年2月16日、朝。

早朝5時頃、急な腹痛に襲われて目が覚めて。

薬の準備をして、あかさんのいる居間の戸を開けると、彼女はもうすっかり硬くなっていました。

病気の影響で筋肉が落ちて、熱を作る事が出来なくなっていた彼女の為に、夜間もエアコンを利かせていたし、傍らには湯たんぽを置いていたので、そのせいか体はまだ温かかった。

前回前々回の日記に書いた通り、彼女は腎不全で、低血糖を起こしていた。
ここ数日の頑張りもあり、前日の診察では、低血糖は脱出したとの診断を受けていて、来週からは、腎不全の治療を始める予定だった。

大変ではあるけれど、これからだな、と、僕も覚悟を決めていただけに。この死はあまりに急過ぎて受け止め切れない。

僕は医者ではないので、あかさんに最後、どういった様態の変化があったのか見当も付かないが、きっととても苦しかったのだろうなと想像出来る死に顔だった。
今でも思い出すと辛い。

しばらくのパニックの後、僕はあかさんが眠っていた辺りの片付けを始めたが、すぐに葬儀の手配をせねばと思い直って、PCで適当なペット葬儀の会社を見つけて電話した。

そこからは、どういう順序で彼女を送り出す準備をしたのだったか、あまり覚えていない。

あかさん専用のプラスチックの赤いお皿は一緒にお空に持って行けるのだろうか? いや、彼女専用の物は少ないから、形見として手元に置いておきたい。しかし、ご飯皿がないと天国で困るんじゃないか? とか、右往左往しながら悩んだ記憶がある。

少し落ち着いてから、ダンボール置き場からベッドに最適なサイズの綺麗な箱を持って来て、ペットシーツやタオルを使って簡易ベッドを作り、そこにあかさんの亡骸を横たえた。
保冷剤がひとつもなかったので、タオルを巻いた氷枕をふたつ、彼女の体を挟む形に置いて、傷まないようにした。

彼女の顔の横に、赤いお皿に入れたカリカリご飯と、昨晩も美味しそうに食べていた「ちゅーる」を三本置いてあげた。

準備が全部整った途端、涙が溢れて来た。

捨てられていた彼女らを育てるようになってから今日まで、十分な事をしてあげられていない自覚がある僕には、ただただ後悔があった。
申し訳無さでいっぱいだった。

せめて、虹の橋の向こう側で、先に逝って待っている同居人(猫)らと楽しく自由に過ごして貰えたらなと思うばかりだ。

あかさん。約15年間、一緒にいてくれてありがとう。
また会おうね。

タイトル画像:https://pixabay.com/
画像製作者:PublicDomainPictures

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?