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USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?⑤

何か新しいアイデアが欲しい時、皆さんは何が大切であると思いますか? USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)で多くの事業に取り組んできた当時のマーケティング専門担当である森岡さんは「盗み」が大切だと言います。どういうことでしょうか。


マーケティングなどに携わる際、何か大きな成果を出したいとなると大抵の場合新しいものを生み出そうとしますが、実際は既存のものをリノベーションして新しい価値を創り出すことで充分であるパターンの方が多かったりします。


日本人は何でも自分でゼロから始めようとする悪いクセがある


これは森岡さんが実際に外国人と働いていく中で感じたことだと言いますが、他人のアイデアを活用したり、それをベースに新たな価値を構築していくことこそがスマートであると優秀な人の間では考えられているそうです。これこそが日本にはあまり見られない考え方だといいます。


ただ目に見えるブランドやキャラクターをそのまま真似るのは違います。それは「パクリ」となり著作権の侵害などに当たるからです。そうではなく、アイデアの根底にある考え方を真似るのは合法で、これこそが重要な技なのです。


スパイダーマン・アトラクション「4K3D」の誕生秘話

USJの人気アトラクションであるスパイダーマン・アトラクションは元々「大3D映像」だったものの「4K3D」へと映像が進化し、今では臨場感が世界最高峰のアトラクションとなりました。これは当時のマーケティング担当であった森岡さんがフロリダ州オーランドにあるユニバーサル・スタジオでの体験をきっかけにリノベーションされたというエピソードがあります。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのスパイダーマン・アトラクションがまだ「3D映像」だった当時、森岡さんは新しいアイデアを模索する中でフロリダ州オーランドのユニバーサル・スタジオに来園します。そこで体験した「4K3D」の映像アトラクションは想像以上のリアリティで、日本のスパイダーマン・アトラクションが時代遅れと思うほど差を感じたそうです。


「4K3D」は当時では超最先端技術です。今あるUSJの「アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド」を乗ったことがある方ならご存知かと思いますが、人間の視覚や聴覚や重力感を錯覚に陥れる恐るべきハイテク・マシーンです。それを日本にも導入することで集客を大幅に伸ばすことができると森岡さんは考えたのです。


ここでポイントとなるのは、ただ「4K3Dになりました」では失敗に終わってしまいます。大事なのは、

ゲストが実感できる体験価値の違い

3Dと4K3Dは全然違うという期待値を抱かせる

ということです。


『今までのアトラクションとは全然違うんだ』 


という認識を植え付けることが成功につながるということです。


実際に「アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド」は現在でも大好評。このリノベーションはUSJにおいて大成功した事業の一例ですが、これは森岡さんがフロリダ州オーランドから盗んできたアイデアであり、新たなアイデアをゼロから生んだ訳ではありません。アイデアを探して他から盗んでくるということに成功した一例といいます。リノベーション(修復・刷新)を通じて新しい価値を生むことがどの業界においても重要であるそうです。


これは何か新しいアイデアを考えたり、結果を残さなければいけない場面に立つ方々にとって身に留めておくねき考え方でもありますよね。


少し堅苦しい内容とはなってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。


次回は皆さんにとってもう少し身近な「数学を学ぶ意味はあるのか」という疑問をこの森岡さんのお話しから考えてみたいと思います。お楽しみに!




追記))
私の投稿では「本で得た知見を具体的にどう生活に活かすことができるのか」を自分なりにアプローチしたコンテンツを配信しています。「本を読みたいけど時間が無い」方も読むことができるコンテンツを発信していくのでぜひともフォローの方よろしくお願いいたします。

ここからの記事では、森岡 毅(2014)『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』 を参考に書いていきます。本の内容を通して一緒に考える時間を過ごしましょう。

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