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ビジネスは信頼残高を集める競争

信頼できる人、できない人

わたしの両親は、早くに離婚しているのだけど、今思い返せば、父方の家の人たちは、たやすく「信頼残高」を減らす人たちだった。

信頼というものに、無頓着で、意識していないようだった。

親は信頼できない、当てにできないと、幼いころから何度も感じたことが、「親は当てにならない」→「自立しよう」という感情を育ててくれたように思う。

人懐っこい半面、人を信頼することは苦手だったし、自分自身も、信頼してもらえるような人間ではなかった。

起業で真人間に

信頼残高を減らさないというのは、本当に困難なことで、減らさないだけでも大変なのに、それを増やすとなると、本当に、本当に、本当に、大変なことだ。

そういうことが分かるようになったのは、自分が鍼灸院を始めてからだ。

(起業したおかげで、「真人間」になれたと思う)

私は、長い間、信頼というものを、大事なものだとすら、思えてなかった。信頼を減らす怖さも分かってなかったし、それが分かってないことに、どういう危険が伴うのかという、一番肝心なことに気づけずいて、かなり損をしていたと思う。

信頼がないとどう危険か

昔、見たパニック映画で、船が転覆し、天地が逆になっている船の中、神父が大勢の人を連れて、「上のフロアに向かいましょう」と移動しているシーンがあって、

主人公が、「天地が逆になっているんだから、そっちに行ってはダメです!」と訴えるんだけど、パニック状態の人々は、神父についていってしまう…という話。


パニック状況下では、神父の「服」は、主人公の発した現実的な意見を凌駕してしまったわけだけども、「信頼だけある」というのも危険だなと思わずにいられないけども、

この場合、主人公の「信頼のなさ」よ。
彼に信頼がありさえすれば、大勢が助かったわけで。

信頼がないと、正しいことを言っても、聴いてもらえない。影響を与えられない。

「正しければ勝つ」とどこかで思っている人間は、正しさと影響力が別のパワーだということを知らないだけなのだ。


とはいえ、影響力なら、信頼がないところにも成立してしまうのではないか?という疑いがある。

実際、広告をガンガン回せば、より優れた類似商品(ライバル)に勝ててしまう。信頼をショートカットして、影響力だけ増すということも、できるのだから。

影響力と信頼残高は違う

影響力と信頼残高は、他者の判断に影響を与えるという意味では同じものだ。

だけど、信頼残高には、「長いこと、期待を裏切らなかった」という「時間」の性質が加わっている。

瞬間的に大儲けするには、影響力という服を着ればいい。

広告費を湯水のように使うことだ。
他の信頼残高の高い人の力を借りることだ(CMに使われるタレント)

でも、時間は借りることができない。

借りることのできない、「時間」という要素が加わることで、影響力と信頼は別のものになる。

事業を「短期的に」成功させるには、影響力(広告費)で事足りるが、

事業を「永続させよう」と思った瞬間、必要なのは影響力ではなく、信頼に変わる。

事業にも人間にも「若い時期」というのがある

事業は、人間と同じく、この世に登場したときは、信頼性はゼロである。
可能性無限大、信頼ゼロ。

社会的には、赤ちゃんと同じだ。
(親は、自分の赤ちゃんを、可能性無限、信頼無限だと思っているかもしれないけれど)

事業を作り出した時から、信頼は貯金始めなくてはならない。

最初は、とにかくキャッシュを得なくては、事業が死んでしまうので、影響力をカサます必要があるだろう。

だけど、信頼を深刻に傷つけるようなことは、してはならないし、そういったものに、近づいてもいけない。

商品がブランド化するというのは、可能性無限大、信頼ゼロから、可能性を絞って、信頼を積み上げる…ことと相似している。

エルメスというメーカーには、高級革製品の分野では最高の信頼が集まっているが、ある分野に区切って、そこでの信頼残高が非常に高くなっている状態は、「ブランドが確立」しているという。

ある分野で、突出した信頼を得ている企業は、結果として、利益率があがり、経営が安定する。


バズる…というのもそうだけど、広告などで、影響力にブーストかけちゃった場合、利益はでるけど、それで安定はしない。

あと、利益率が上がってから、信頼残高を貯め始める…というのも、アリだけど、それって、やりようにもよるけど、遠回りちゃう?

事業を設計する段階でのミスちゃう?

効率考えたら、最初っから、信頼残高も高めながら、利益率を改善していくというのが、王道ルートな気がする。


事業にも、人生にも、「若い時期」
花の時期、というのがある。

しょっぱなから、信頼残高を高めるような事業設計を作っておく…人間なら、小さいころから、信頼を大事にする人間に育てるというのが、大事なように思う。

信頼は、「後から」高める方法がないからだ。

はりきゅう和-nagomi-


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