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【買取】鳥山明さんのイラスト・サイン偽物問題について



1. 亡くなるタイミングでニセモノのサイン色紙が出没する

不謹慎な話ですが有名人が亡くなるとサイン色紙など由来があるグッズがオークションサイトやフリマサイトにわいてきます。
今回、漫画界の巨匠・鳥山明氏が無くなった際もサイン色紙が多数出品さている様子を見かけました。

美術品の買取を行っていますが、その中でもアニメ系の作品(サイン色紙、セル画、版画)なども取り扱っている立場から、商品としてどのように扱うかなどを紹介させていただきます。

2. サイン色紙のニセモノの見分け方とは?

結論、オークションに出回っている多くのサイン色紙はニセモノ若しくはホンモノとして扱えないものが多いです。

奥歯に物が挟まったような言い方ですが、イラスト・サイン色紙を本物と証明するのは難しいです。

通常の美術品とかは見分けるポイント(タッチ、構成、構図、色合い、付属品、サインなど)が多いため、ある程度の経験を積めば判断しやすいです。

しかしながら、イラスト・サイン色紙はいわゆる美術品のように多くの時間(最近は1分くらいで完成する美術品もありますが・・)や手間がかかってるものではなく、イラストが描いてあったとしてもそこまで時間がかかっていない事の方が多いです。つまり、ホンモノを判断する材料が少ないため真贋の判断が難しいと言えます。
特にイラストが無いサインのみの場合は作品のみで証明することはほぼ不可能です。

なので、基本的には【しっかりとした来歴】が重要となります。

しっかりとした来歴とは?

プロなら作品を見て判断しなさいよ!とお叱りのお言葉があるかもしれませんが、業界内での感覚としては作品以外の根拠が重要となります。

良く言われるのが『自分の名前が書いてあったら大丈夫』とありますが、まだまだ根拠としては弱いです。

最も好ましいのはサイン色紙を持って一緒に撮った写真がある事です。

本人に目の前で描いてもらったとしても第三者に証明する客観的な証拠が無いと適切な市場価値は担保されないのが現状です。

3.アートの世界ではニセモノとホンモノはどのように判断するの?

ちなみにですが、アートの世界ではニセモノとホンモノを判断する【鑑定】というシステムが存在します。

①既に亡くなっている作家
②市場価値が高い

上記2項目に該当する作家に関してはコレクターが安全に購入する事ができるため業界の権威者や作家の遺族などを中心とした【鑑定機関】というものが設立されます。

なぜ上記2項目かと言うと、まず生きている作家なら本人に確認すればよい。そもそも市場価値が低いならわざわざお金(美術の世界では鑑定に5~6万円くらいかかる事が多いです)を使う人はいないよね、という考え方からです。

4.価値を守るには安心できるシステムが必要

そもそもイラスト・サイン色紙は商売するために描くというよりは、チャリティーイベントや感謝の気持ちを伝える等の理由で描かれています。なので商品として価値を守る、という概念は薄いと思っています。

美術品を扱う立場からすると、【漫画】や【アニメ】などは日本が誇るトップカルチャーだと感じています。
実際に日本の芸術家よりも有名な漫画家の方が認知度は高いでしょう。

文化として考えているのであれば、作品が生み出される入り口が商業主義ではなかったとしても、安心してコレクターがコレクション出きる環境づくりが必要なのではないでしょうか。みなさんどう思いますか?

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