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去り際に分かる社員の人間性と「おっかない社長」のはなし

今、現地法人アルファジリ・リミテッドを抜本的に改革し、事業内容を取捨選択しています。フードデリバリーなども辞め、自社ブランドの加工品にフォーカスを置くことにしました。

でもその過程で、残念ながら、何人かのケニア人社員を解雇せざるを得ませんでした。スキルが限定的だと、どうしても仕事がなくなってしまうためです。

ただ、他で安定した職を見つけるのが難しいと予想される社員には、会社から欲しいものがあれば声をかけるように伝えました。ケニアだと、それを転売してお金にしたり、自分の個人ビジネスの道具にできるためです。

実際、欲しいもの(ガスボンベ、小型冷凍庫など)を言われたので合意をしたのですが、夜にオフィスに侵入し、合意以外のものまで色々と盗っていきました。

この社員には以前からそのような傾向が見られましたが、責任感の強い親戚も同僚として働いていたため、牽制されていました。過去には一時的に、こちらの事業変遷で解雇したこともありましたが、半年後に再雇用したこともあり、信頼関係を築けているつもりでした。

将来、事業の整備が進み、その方々に適した仕事が出てきた時には戻りたいと希望されるなら声をかけようと思っていましたが、今回のような行動を見ると、もう二度と声をかけることはないと思います。残念。

経済的に貧しいケニアでは、ものを盗んだり、恨みからお金を盗んで消えたりすることの頻度が高く、信頼関係を築いても慎重に採用しても、10人に1人は、なにかのきっかけで、ある時こうした行動を取ることがあります。

そのため、基本的にYes Noをはっきりさせ、上司は絶対の地位を示す必要があります。工場であれば、弱い人たちに対してもオペレーションを完全にマニュアル化しやすいので不正が起こりにくいのすが、オペレーションが複雑だと、誰かがモラルの弱い社員を指導しなければなりません。そのための人件費も零細規模では大きな負担です。

私も何百人もの候補者と面接し、何十人というケニア人と働いてきましたが、今残っているメンバーは相当に道徳心の高い人たちであり、人格の良さと私の「おっかなさ」でサービスが何年も続いてきたとも言えます。

面白いことに、アフリカや日本で事業を作り上げた代表の方々にお話を聞くと皆、「初めはとてもおっかない社長だった」と言います。私もよく分かります。全ての責任を果たすために、おっかなくならざるを得ない。それは日本の創業社長も同じでしょう。ニコニコしてられるのは、本当に事業が大きくなってからです。

責任の重圧に耐えられない場合は、ビジョンよりも人間関係が大事だからかもしれません。インパクトのある事業を創る、雇用を生む、そういう事業では、ある程度創業者が「強者の論理」をかざさなくてはやっていけないのも、事実だと私は思っています。

私の役割は、まだ、おっかない存在であることです。自分に対しても、自分の会社に対しても。もう私も、全事業をリモートでしか見なくなりましたが、たとえ国境を越えてもおっかない存在です。途上国の社会インフラの弱い組織には、誰かが背筋を正す役割が必要です。それが搾取構造の組織なのか、純粋に厳しい組織なのか、それは会社の中身を見なければわからないかもしれません。

ただ、それだけでは、インパクトも限定的。
私がずっと、細かいことにおっかなくしているフェーズも、
このくらいにしたいと思ってます。

私以上に優秀な仲間と、事業づくりをしたい
それが今の目標です。
そのために準備を進めています。

今いる社員たちには、
ひとまず事業を守り続けていただき、
これからもアルファジリを支え続けてほしいと願っています。
感謝しています。

私はパワーアップして、
改めてインパクト重視の事業をつくりたいと思っています。

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