中国ベンチャーに学ぶ・拾肆「デジタルイノベーションがもたらす"教育改革"」

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🔳デジタルイノベーションがもたらす”教育改革”

中国インターネット情報センター(CNNIC)の発表によると、中国のネットユーザーが2020年3月時点で9億359万人(!)となり、初めて9億人を超えたそうです。10億人突破は時間の問題でしょう。このスケールの違い、さすがは中国といったところではないでしょうか。

▼CNNIC「第45回中国インターネット発展状況統計報告」より

中国のネット利用者推移

JETRO(日本貿易振興機構)によれば、
”インスタントメッセージや動画(ショートビデオを含む)などに加えて、
新型コロナウイルスの感染拡大の中、オンライン教育やライブ配信などでの
利用率上昇が目立った”とあります。
長らく外出が禁じられていた影響の表れはどこの国も同じだったようです。

特筆すべきは、この中国のネット利用者のうち、スマートフォンなどの携帯端末によるネット利用者数が8億9,700万人で、ネット利用者の実に99.3%が携帯端末を利用している、ということです。つまり、ほとんどの人がスマートフォンでインターネットを利用しているのです。

同時に、4億9,600万人もの人々が、いまだにインターネットを利用していないという計算になります。これはものすごい市場機会です。
人口14億人に対しておよそ5億人がインターネット非利用者ということですから、全体の約35%がまだ手付かず、といったところです。

ベースとなる人口規模が桁違いな為ちょっと気付きにくいのですが、
GAFAMを凌駕し得るようなITテクノロジーの先進性と可能性、
飛躍的なマーケットの急拡大、
消費者が消費者を呼ぶ”消費爆増”の数字を見ていると、
実はまだまだ未開拓なポテンシャルを秘めており、
"わくわく感"すら覚えるような懐の大きさすら感じてしまいます。

今回のレポートで見えてきたこととして、
特に利用者の伸び率が爆上げしたサービスがあります。
それは、オンライン教育です。

▼各種インターネットサービスの利用状況(単位:万人)
オンライン教育 2020年3月 42,296 2019年6月 23,246 伸び率 81.9%
ライブ配信   2020年3月 55,982 2019年6月 43,322 伸び率 29.2%
ネット決済   2020年3月 76,798 2019年6月 60,040 伸び率 21.3%

この表は2019年6月から2020年3月にかけて、伸び率が最も高かった上位3項目を挙げているものです。ライブ配信は、商品説明をしながら商品を販売するライブコマースの需要が増え、実際にネット決済でeショッピングをする人が増えていることからも、利用者が拡大したとの見方が濃厚です。
ネット決済はリアル店舗での購買よりも、オンラインで家を出ずに買い物をする人が圧倒的に増えたことが要因となっているのではないでしょうか。

※7/18追加補足---
アリペイ(支付宝)やタオバオ(淘宝)もライブ配信ができる環境を提供しライブコマース需要に対応していますが、中国企業でライブ配信(直播)を事業として行っている会社が18,000社近く、その内2020年上半期に登記された企業が9,000社以上と、元々ニーズが高かったライブコマースですが、新型コロナウィルス問題をきっかけに更に飛躍的に増加した印象があります。

2020年には9610億元(約14兆円)に迫ると言われる中国のライブコマース市場は、全オンラインショッピングユーザーの37.2%がユーザーとなっており、残り60%強を取り込む余地があるとするととてもつもない市場です。

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そして、何と言ってもブッチギリで高い伸び率を記録したのが、オンライン教育です。中国では2016年に一人っ子政策が撤廃されたものの、依然として子どもを持つ家庭は子供が一人の場合が多いそうです。
そういった状況が、より教育熱心な親を育む環境を育てたのではないでしょうか。

また、コロナ禍により、学校に登校できず自宅でオンライン授業を受けていた生徒が相当数いたことも予測されます。必要に応じてインターネットを通じた学習方法を身に付けていった子供も少なくなかったことでしょう。

オンラインで学びを得るという形は、正にこれからの
新しい生活様式の一つと言って良いのではないでしょうか。

ちなみに、永井竜之介さんの著書、
「リープ・マーケティング 中国ベンチャーに学ぶ新時代の「広め方」 」
中国の幼稚園や小学校の様子が少し紹介されています。

例えば、
”ある一般的な中流階級の幼稚園では
中国語と英語による教育が行われていて
保護者は全教室に設置されたビデオカメラの映像を
スマートフォンでリアルタイムにその様子を確認することができたり、
ある小学校では校門に設置された顔認証ゲートを通過して校内に入り、
顔認証による出欠管理や、顔認証でキャッシュレス決済が可能な
食堂利用と、食べた食事のデータを管理して食育に活かす”
といった、教育面でのビッグデータ活用が
一般的なこととして受け入れられている、と記されています。

これらは、殊更中国での話となると、
「監視されている」といった見方がされることもあるかと思います。
一方で、素直にこれを教育改革の観点でとらえると、
中国社会にいかにITテクノロジーが浸透し
人々の生活に根付いたものになりつつあるか
伺い知れるのではないでしょうか。


調査会社iResearchによれば、2017年のオンライン教育市場は1,941億2,000万元に達しています。今回のコロナ騒動を軸に市場規模はかなり増えていることは間違いないでしょう。加えて、国が支持することを発表した15の「新業態・新モデルの発展」に、オンライン教育がしっかりと記されていることからも、国としてこれからの時代に必要な教育をオンライン体制できちんと育てていくことに重要性を感じていることが伝わってくるかと思います。

▼「新業態・新モデルの健全な発展の支持、消費市場の活性化による
  就業拡大のけん引に関する意見」から国が支持することを認めたもの
1.オンライン教育
2.インターネット医療
3.リモートワーク
4.デジタル化ガバナンス
5.産業のプラットフォーム化発展
6.伝統企業のデジタル化モデルチェンジ
7.バーチャル産業団地及び産業クラスタ
8.無人経済
9.新私経済の育成による自主就業のサポート
10.ミクロ経済の発展による「副業イノベーション」の奨励
11.マルチポイント開業の模索
12.生活のシェアリング
13・生産のシェアリング
14.生産手段のシェアリング
15.データ要素の流通

オフラインでしかビジネスできなかった人が次々にオンラインに移行している中で、デジタル経済が中国市場にもたらしたとてつもなく大きな革新は、
更に留まるところを知らず、進化し続けていくのではないでしょうか。

<続く>

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