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第0回 場を整理し、思考を描き出す「えひめの板書屋」が今心に描くこと

最終更新日>2022/3/24

みなさんこんにちは。鹿児島出身、愛媛在住のファシリテーターのいわし〜です。今日はライターのこんちゃんに依頼して私自身のことをインタビューしていただきました。改めて私が思っていることをぜひ読んでいただけると嬉しいです。
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「えひめの板書屋」と「株式会社地域法人 無茶々園」の会社員のパラレルワークで活動する岩下紗矢香さん。最初に板書屋という肩書を聞いたときに「どんなお仕事だろう?」と疑問に思っていた。
そしてこの奥底にあるコンセプトを発掘して行こうと思う。
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【2021年8月追記】
※この記事は2020年9月に取材・執筆したものです。
 2021年8月に無茶々園を退職してフリーランスとして活動中です。


●えひめの板書屋になったきっかけ


ー最初に現在の活動について教えて下さい。
現在は「グラフィックコミュニケーション」という”可視化”の活動が多いです。内容としては会議やイベントのファシリテーション、オンラインでのグラフィックレコーディング、イラスト制作、オンラインコミュニティー運営などです。その他、事業におけるタスクの洗い出し、スケジューリング、イベント司会、ワークショップの企画やデザイン(行政・個人・地域おこしなど)もやっています。

ー現在の活動はいつ頃から始まったんですか?
きっかけは昨年(2019年)の6月に私が住んでる西予市の駅前開発のワークショップに参加したのがきっかけです。そこにファシリテーターの方がいて、その進行を見て感動したんですよね。

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ーそれまでもファシリテーターの方はたくさん見ていたと思うんですけど、その方のどこがちがいました?
すごい冷静だったんです。冷静に場を整理して、全員の意見を平等に扱う姿勢が自分と違くて。当時の私は流れを作ったりするコーチング的なファシリテーションが多かったのですごく驚きでした。
そこでそのままその人に「仕事としてファシリテーションの活動をしたいんだけどどうしたらいいですか?」って相談しました。

ーすごい行動力ですね。
その時はシンプルに好奇心だったなって最近は思います。なんか共感したんです。言葉にするのは難しいけど自然に声をかけて相談してました。そこで「やりたいなら手を挙げたら始まるよ」って言ってくれて。そこで家に帰ってすぐ手書きの名刺を作ってコピー機でコピーして配りだした事が活動のスタートです。

さやかさんの行動力を表す象徴的なエピソードだ。

ーグラフィックの方のきっかけも聞きたいのですが、昔からイラストは好きだったんですか?
好きでしたね。いつからか覚えてないくらい絵はずっと描いています。漫画とかも好きだったし、小学生の頃はポケモンのイラストとかをよく描いていました。

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●えひめの板書屋を作るもの


ー小学生くらいの時はどんな子でしたか?
さやかさん:ポケモンが好きな本当に普通の小学生でした。ただ担任の先生が変わっていて小学校4年生の時は毎日早書きはしてましたね。

ー早書き?
なんか一分間スピーチを先生がしてるのを必死に書き起こすっていうのを帰りの会で毎日やってて笑
10歳くらいなので最初は全然書けないんですけど、徐々に書くのも早くなっていくのは楽しかったです。あとは算数ノートって課題があって、算数の授業を自分でノートにまとめる宿題があったんですよ。

ーそれはイラストで描くんですか?
私はイラストとか漫画を描いてました。でも文章の子もいたし、そこは何でも良かったんですよ。結構描くのが楽しくて、今でも実家に算数ノートは残してあります。

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ー学生時代にイラスト以外に興味があることってありましたか?
話すのは好きでした。高校生の時はバスガイドとか楽しそうだなって思ってました。
でも明確に「これになりたい!」みたいのはなかったです。
大学で観光業に興味があって愛媛大学の観光まちづくりコースに進学したんですけど、その時もすごい大きなビジョンとかがあったわけではなくて。そこでファシリテーションに出会ったのは大きいですね。

ー大学ではどんなことを学んでましたか?
観光業を学ぶ中で、地域づくりのゼミ所属しました。そこで過疎地域のニーズ調査などのフィールドワークの中でファシリテーションを学びました。

ーそこで「これだー!」って目覚めた感じですか?
いや、最初は「先生に必要だから受けなさい」みたいに言われてやっていたので、どちらかというと受け身な感じだったと思います。当時愛媛大学では夏休みにファシリテーションの集中講義があって、それを受けたり、自分で勉強したりとだんだんと楽しくなってきました。実際にフィールドワークもしていたので「勉強しながら、やりながら」みたいに学んだことをすぐに試していけるのは楽しかったですね。

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ーすごい順調に今のキャリアへの道がつながってますね
でも実はそうでもなくて笑
私、大学2年生の後期から授業を休みがちだったんです。ゼミには行ってたんですけど、それ以外の人間関係に疲れちゃって。ゼミ行くか、家にいるかみたいな感じでしたね。

ー当時って卒業後のこととか考えてました?
色んな会社は受けました。建設とか印刷とか医療系とか公務員とか。でもどれもやりたいとかでなくてなんとなくな感じです。

さやかさんをこれまで見ていて、すごく冷静に先を見ながら行動している印象だったので話を聞いて驚いた。

ーじゃあその就活の中で今の職場の「無茶々園」に出会ったんですか?
これも自分で見つけたとかではなく、友人からの紹介だったんです。
柑橘の販売とか加工品とか、常に地域とのつながりがある仕事だったのでやってみようと思い、入社しました。

ー就職して最初はどんな業務を担当されていたんですか?

営業と商品企画の部署でした。農家さんとの柑橘の営業とか、加工品の企画とかが主な仕事です。yaetocoというコスメブランドの企画も関わっていて4年目ではリーダーもやらせてもらいました。

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ーすごいですね。事業リーダーに大抜擢。
いやこれも全然うまくいかなくて、全体を見なきゃとかずっと考えてたし自分の仕事と他の人を両方を一気に見ることができなくてすごい大変でした。今はリーダーではなくチームメンバーとして携わっているのですが、このときの経験は無茶々園でも副業でも今でも活きてると感じます。

ーなんかファシリの様子を拝見してるとその辺りの社内の対応とかってさやかさんは得意なんだろうって思ってました。
私の場合”ビジュアルが第二言語”なんで言葉で頭の中にあるものを説明するのがめっちゃ苦手なんです。だから社内でも言葉で伝えるのが難しい場面があると紙とペンで描いて話してます笑

ービジュアルが第二言語ってわかりやすいです。
昔から「絵でコミュニケーションを取りたい!」って思ってたんですよね。
だから最初グラレコを知った時も「あのコミュニケーションに名前があったのか!」みたいな感覚でした笑

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「絵でコミュニケーションを取りたい」この言葉ですごくさやかさんの活動やこれまでの経験が点から線になってつながり腹に落ちた。

ーその気持ちがあって社内の色んな会議とか参加してると葛藤って生まれません?
そうなんです!今はなくなりましたけど、新人の時とかは会議で発言できないとか、商品とか会社の知識もないからみんなの話がぜんぜんわからなくて毎回の会議がすごくモヤモヤしてました。同時に会議の中で他にも同じモヤモヤの人がいるなっていうのも感じてて。それを見たり、感じると私はもっとモヤモヤしてきてそれがすごい辛かったんです。
そこから「自分みたいな伝わらないモヤモヤした想いをしてほしくない」っていう想いはずっとあります。だから可視化っていうところでいうと「伝わるよろこび」もあるし「自分も可視化しないとわからない」っていう思いがあるんです。

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ーその思いってすごいさやかさんのオリジナルの思いだと思うんですけど、いつ頃から気付いたんですか?
いつだろう・・・なんか小学校くらいから伝わるってことについてはぼんやり考えてたかも。 

ー小学校で?
「これについて意見のある人!」とか「〇〇くんはどう思う?」みたいに聞くじゃないですか?あれにモヤモヤしてました。「いやその聞き方は伝わらないよ」って笑

ーそれは根っからのファシリテーターですね笑
なんですかね笑

ーこれまでのお話を聞いて、今の活動を見ているとすごい自分から動いてる印象がありますよね。

そうですね。傍観者じゃダメなんだなとは常に思ってます。やりたいことがあるなら突撃!みたいな気持ちです。

ー本当にそれは大事ですよね。例えば落ち込んで動けない時とかはどうしてます?
それでも描いてますね。昔はファシリテーション中に誤字脱字をして「やらかしたー!」って家帰って落ち込んでたんですよ。今でもそういう時は落ち込むんですけど、前より戻ってくるのが早くなってきました。5分落ち込んでたのが30秒になったみたいな。それでまた描く。

ー今の目標とかってあるんですか?

あります!元々ゲームが好きなので任天堂とお仕事したいです。これはグラレコでもファシリでも!

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ー最後に21歳のこれから社会に出る自分に一言書けるとしたらなんて声をかけますか?
「無茶々園での経験をいかして、ファシリの仕事できるよ」
っていいますかね。

ー今日はありがとうございました。
ありがとうございます!

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「えひめの板書屋」として着実に実績を積み上げていく人は、どんなサクセスストーリーを歩んで仕事をしているのだろうか?そんなことを聞いてみたいと思って今回の取材に臨んだ。
しかし取材を通してわかったのは一人の女性が伝えることと向き合った歴史だった。
モヤモヤした気持ちを抱えたクラス、会話、会議、仕事。
彼女はそのモヤモヤに”問”を立てている。

なぜモヤモヤするのか?なぜ伝わらないのか?

この大きなテーマを彼女は心で考え続けてきた。

オンラインの会議やコミュニケーションが増えている昨今ファシリテーションやグラレコに対する注目は高まっている。しかし彼女に依頼が来るのはそれが理由ではない。

会議に参加する人にはそれぞれの意見がある。その意見をぶつけ合うのは討論であって会議ではない。しかしながら会議は討論になることもしばしば。

そんな時、彼女はその場に静かに寄り添う。それぞれの意見を受け止め、その意見を無限の可能性を秘めたホワイトボードの中にグラフィックで表現していく。そのホワイトボードを見た参加者は自身の思考を初めて目にする。その結果、思考は整理され冷静さを取り戻し、笑顔で新たなアイデアを場に投げかける。するとお互いを「討つ議論」が「互いを理解しようとした話し合い」に変化していく。

これは「岩下紗矢香」という女性が「伝わらないこと」と真摯に向き合い続けて来た結果として手に入れた「やさしさ」だ。

なめらかな思考とおだやかコミュニケーションによる場作り。

「えひめの板書屋」を現す言葉としてそんな言葉が浮かんだ。

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テキストbyこんちゃん

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