今夜すべての、3万4千円のハイツで
目をバグらせながらぼんやりと眺める街灯や車のランプや信号機の光は、柔らかく輝く線香花火の様に優しくて美しい。
爪先までハイボールが染み込んだ、泥の様に重たい足どりで、ぬかるんだコンクリートに腰まで沈んでしまいそうになりながらも、先を歩く二条桂子(41歳)の白いワンピースから透ける水色だろうパンティーラインを微笑みながら私は追いかけた。
「今日はそこで寝るんか?」
商店街のマクドナルドの前に積み重なったゴミ袋を枕にくたばりそうになっていたところ、その声に反応してはなんとか目を開いた。
目をバグらせないで見てもいつも通りハッキリと美しい桂子さんの笑顔がそこにはあった。
「君はまるで落ちない線香花火の様さ…」
「何言うてん」
焼肉屋でビール5杯、ハイボール10杯を呑んだ後、桂子さんの肩を借りながらふらふらと電車に乗った。
駅に降りてから近くのスーパーで無駄な物をたくさん買った。 (タワシとタワシとタワシと、あとタワシと)
〆はどうしようかと思いながら、うどんと蕎麦とラーメンとを迷いながら馬鹿になっている脳味噌と胃袋でそれらを全てをカゴに入れた。
ああ、珍しく糞みたいな夜じゃないなあと携帯の電源を切った。
傷付いた悟空が全身を癒すカプセルから回復して出て来た時みたいに、「こんなてぇへんな時だってぇのに」返さないといけないお金や、取らないといけない電話が沢山あるっていうのにも関わらず、なんだかとても夜風が気持ち良かった。
「なあ桂子さん?」
「線香花火は一瞬で落ちてまう儚さがええんやで」
「あの一応、念の為に確認させて頂きたいんやけど、私がもし今ここで土下座したらヤラせてくれますか?」
「だから落ちひん線香花火なんか価値あらへん」
「どうか!どうかこのコミクズの醜い私めに!1発ヤラして下さいませ!お願い致します!!!」
「…あたしなんかに価値ある?」
彼女が自虐的にふふっと笑った瞬間、グッときた。
大変おこがましいけれど、ヤリたいというか、ヤリたいというよりも、抱き締めたいという気持ちが勃起した。
下戸の桂子さんは珍しく酔っ払っており、「どうせ死ぬしな」を枕にこぼしながら少し呆れた顔で大の字に股を開いてくれた朝方の7時頃、腹ペコで貪るカツ丼の様に乳首やらなんやらをひと粒残さず舐めまわした。
泥の様に眠った12時間後の夜は21時頃、「仕事間に合うん?」仰向けになって永遠に眠る私の頬を優しく叩きながら見下ろした。
「0時から…大丈夫…間に合う…」ヴィダルサスーンの香りがする枕にヨダレを垂れ流しながら声を振り絞っては再び眠った。
23時頃になんとか起きては、ほふく前進のゾンビ体勢で蛇口を捻り、水道水を2分ぐらい流し込んだ後、ワンピースの映画を観ながらボロネーゼを食べている桂子さんの隣に正座で膝を突き合わせて背筋を伸ばしながら、「昨日ですか…今朝ですか…正確な時間は把握しておりませんが…食欲と睡眠欲と性欲を満たしてくれてありがとうございました」と正直な気持ちを伝えると、 「何言うてん」と笑ってくれた。ああ…おかわりしたいなあと思った。
「ていうかワンピース読んでへん言うてませんでした?」
「いや特に観たいもんないしテレビつけたらこれやってたから勝手に垂れ流してるだけ」
「昨日のSEXもそんな感じですか?」
とは恐ろしくて聞けなかった。
「寿命を延ばしてくれてありがとうございました。死にたいから一瞬でも離してくれてありがとうございました」と言いながら大袈裟に土下座をして部屋を出た。
桂子さんは笑顔で手を振りながら再び、「何言うてん」と言った後に、「またね」と言ってくれた。
それは、私で良かったら何回でもおかわりしていいよという意味での、「またね」ではないだろうけれど、「またね」の笑顔を反芻する度に、あれはもしかしたら私で良かったら何回でもおかわりしてもいいよ、かもしれないと思い込んでしまっては股間を膨らませ、仕事先のトイレでティッシュのカスが付着したちんこを激しくシゴいた。
精液を拭き取った指でLINEを開き、桂子さんがアイコンに設定している猫の写真を眺めながらタバコを吸った。
「私も桂子さんの猫になりたいです」 と打っては消して打っては消して打っては消した後に、 「ご馳走様でした」と送った。
爪先までハイボールが染み込んだ、泥の様に重たい足どりで、ぬかるんだコンクリートに腰まで沈んでしまいそうになりながらも、先を歩く二条桂子(41歳)の白いワンピースから透ける水色だろうパンティーラインを微笑みながら私は追いかけた。
「今日はそこで寝るんか?」
商店街のマクドナルドの前に積み重なったゴミ袋を枕にくたばりそうになっていたところ、その声に反応してはなんとか目を開いた。
目をバグらせないで見てもいつも通りハッキリと美しい桂子さんの笑顔がそこにはあった。
「君はまるで落ちない線香花火の様さ…」
「何言うてん」
焼肉屋でビール5杯、ハイボール10杯を呑んだ後、桂子さんの肩を借りながらふらふらと電車に乗った。
駅に降りてから近くのスーパーで無駄な物をたくさん買った。 (タワシとタワシとタワシと、あとタワシと)
〆はどうしようかと思いながら、うどんと蕎麦とラーメンとを迷いながら馬鹿になっている脳味噌と胃袋でそれらを全てをカゴに入れた。
ああ、珍しく糞みたいな夜じゃないなあと携帯の電源を切った。
傷付いた悟空が全身を癒すカプセルから回復して出て来た時みたいに、「こんなてぇへんな時だってぇのに」返さないといけないお金や、取らないといけない電話が沢山あるっていうのにも関わらず、なんだかとても夜風が気持ち良かった。
「なあ桂子さん?」
「線香花火は一瞬で落ちてまう儚さがええんやで」
「あの一応、念の為に確認させて頂きたいんやけど、私がもし今ここで土下座したらヤラせてくれますか?」
「だから落ちひん線香花火なんか価値あらへん」
「どうか!どうかこのコミクズの醜い私めに!1発ヤラして下さいませ!お願い致します!!!」
「…あたしなんかに価値ある?」
彼女が自虐的にふふっと笑った瞬間、グッときた。
大変おこがましいけれど、ヤリたいというか、ヤリたいというよりも、抱き締めたいという気持ちが勃起した。
下戸の桂子さんは珍しく酔っ払っており、「どうせ死ぬしな」を枕にこぼしながら少し呆れた顔で大の字に股を開いてくれた朝方の7時頃、腹ペコで貪るカツ丼の様に乳首やらなんやらをひと粒残さず舐めまわした。
泥の様に眠った12時間後の夜は21時頃、「仕事間に合うん?」仰向けになって永遠に眠る私の頬を優しく叩きながら見下ろした。
「0時から…大丈夫…間に合う…」ヴィダルサスーンの香りがする枕にヨダレを垂れ流しながら声を振り絞っては再び眠った。
23時頃になんとか起きては、ほふく前進のゾンビ体勢で蛇口を捻り、水道水を2分ぐらい流し込んだ後、ワンピースの映画を観ながらボロネーゼを食べている桂子さんの隣に正座で膝を突き合わせて背筋を伸ばしながら、「昨日ですか…今朝ですか…正確な時間は把握しておりませんが…食欲と睡眠欲と性欲を満たしてくれてありがとうございました」と正直な気持ちを伝えると、 「何言うてん」と笑ってくれた。ああ…おかわりしたいなあと思った。
「ていうかワンピース読んでへん言うてませんでした?」
「いや特に観たいもんないしテレビつけたらこれやってたから勝手に垂れ流してるだけ」
「昨日のSEXもそんな感じですか?」
とは恐ろしくて聞けなかった。
「寿命を延ばしてくれてありがとうございました。死にたいから一瞬でも離してくれてありがとうございました」と言いながら大袈裟に土下座をして部屋を出た。
桂子さんは笑顔で手を振りながら再び、「何言うてん」と言った後に、「またね」と言ってくれた。
それは、私で良かったら何回でもおかわりしていいよという意味での、「またね」ではないだろうけれど、「またね」の笑顔を反芻する度に、あれはもしかしたら私で良かったら何回でもおかわりしてもいいよ、かもしれないと思い込んでしまっては股間を膨らませ、仕事先のトイレでティッシュのカスが付着したちんこを激しくシゴいた。
精液を拭き取った指でLINEを開き、桂子さんがアイコンに設定している猫の写真を眺めながらタバコを吸った。
「私も桂子さんの猫になりたいです」 と打っては消して打っては消して打っては消した後に、 「ご馳走様でした」と送った。
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