結婚の挨拶！！！！

「お父さん、娘さんを僕にください！！！！」

「バカか！！！！

てめえらみたいな奴の結婚になあ！！！！

親の許可なんかいらねえよ！！！！

殺すぞ！！！！

人はハナから誰のものでもねえんだよ！！！！

だからあげるとかもらうとか、そういう次元の話は知らねえよ！！！！

今は娘が親の所有物みたいな言い方しやがって！！！！
親と娘は血縁でしか繋がってねえよ！！
でもお前は娘が選んだ相手なんだろ？
じゃあそっちの繋がりの方が大事じゃん！！
本来結婚に親の出る幕なんかねえんだよ！！！

娘がどんな男選ぼうが俺にとっちゃどうでもいいよ！！
男じゃなくても人間じゃなくても死体でもいいよ！！
死体は怖いよ！！！！

とにかく娘もお前も好きに生きて好きに死ねよ！！！！

大体娘がお前と籍入れたとこで何が変わんだよ！！！！

名字？

興味ねえよそんなの！！！！

人間なんか好きな時に好きな名前名乗っときゃいいだろ！！！！

昨日はジョンで今日はステファニー！！
それでいいよ！！！！

あとこんなバカみたいに豪華な菓子折り持ってくんじゃねえよ！！！！

テメーらは知らねえだろうけど、歳取ったら自分が思ってる3分の1くらいしか食えなくなんだよ！！！！

1週間かかっても消費できねえぞこんな量！！！！

もうこれいらねえから帰れよ！！！！

お前だって本音言えばこんな知らねージジイに頭下げたくねえだろ！！！！

しきたりとかどうでもいいからさあ、もっと自分に正直になれよ！！！！

あ？

俺の本音？

俺の本音はなあ！！！！

やだよ！！！！

娘あげんのやだよ！！！！

ヤダーーーーーーーーー！！！！

だって俺娘好きだもん！！！！！

『大きくなったらパパと結婚する』って約束してたし！！！！

久しぶりに娘から連絡来たと思ったら男連れてくるって言うからさあ！！
お前のSNS探すために半日潰したよ！！
機械わかんねーからログインだけで日暮れたよ！！！！

結局なあ、今日までずっと彼氏タトゥーまみれだったらどうしよーって夜も眠れなかったよ！！
どうやってプロポーズしたのかなーとかめちゃくちゃ妄想してたよ！！！！

でもなんか、もう血縁とかどうでもいい時代じゃん！！
タトゥーも温泉入れる時代じゃん！！！！

いや時代のせいじゃない！！
そっちが正しいんだよきっと！！！！

彼氏が娘くれって親父に許可もらいに行くような、俺が生きてきた何十年が全部間違ってたんだよ！！！！

大体なんで親父にしか頭下げねえんだろうな？？

なんで母さんはOK出す前提なんだろうな？？

今思えばおかしいことだらけだよ！！！！

でもさあ、それが分かったとて俺たちは変われなかったんだよ！！！！

気づけばお前が普通の男であることに安心してたよ！！
肩書きだけでお前が夫なら安泰だって決めつけたよ！！
心の中で無意識に許可下ろしてたよ！！！！

俺や母さんが本音語ってもこんな風にズレたことしか言えねえんだよ！！
だから俺らが何を思ってもお前らの好きにさせようって昨日2人で決めたんだよ！！！！

そうやって閉じ込めた感情がさあ、行き場失って漏れ出してんだよ！！！！

あーあ！！！！

正しいことしか言わねえジジイになりたかった！！！！

こんな老害さあ、もう黙って社会から退場しろって感じだよな！！！！

だからもう俺たちのことは見捨ててくれよ！！！！

金なら出せるだけ出すからさあ！！
あとはもう勝手に幸せになってくれ！！！！

なに黙りこくってんだよ！！！！

もう帰れって！！！！

俺ァ早く笑点見てえんだよ！！
今日の演芸ナポレオンズなんだよ！！！！

せっかく来たからとか関係ねえだろ！！！！

聞きたいことなんて別に無……

わかったよ！！！！

じゃあさあ！！！！

プロポーズの話聞かせろよ！！！！！！！！」