テキストコンテンツの最適解②
前回、今の時代におけるテキストコンテンツの最適解として、
オーディオビジュアルであること
縦スクロールであること
短いセンテンスであること
壮大なセンテンスであること
の4つを挙げた。今回は、「2. 縦スクロールであること」について個人的な考えを述べたい。
Webtoonやケータイ小説に代表されるように、インターネット発のコンテンツは基本的に縦スクロールが一般的である。では、紙の本が今まで横スクロールであった理由は何か?それは、装丁の関係上、横スクロールにせざるをえなかったためであろう。しかし、現在は情報技術によって、紙の本のフォーマットに制限される必要はない。そして、横スクロールに比べて、縦スクロールの方が今の時代に優れている点は大きく分けて以下の2点である。
デジタルデバイスのフォーマットに適している。
外国人にとって縦スクロールの方が読みやすい
まず、縦スクロールの方がデジタルデバイスのフォーマットに適している。現代人は本を読むより、スマホやPCを見ている時間が圧倒的に長い。つそして、デジタルデバイスを通して私たちが享受するテキストコンテンツのほとんどは、縦スクロールである。例えば、日本でよく使われているテキストコンテンツのデジタルプラットフォームとして、X・note・小説家になろうが挙げられるが、これらは全て縦スクロールである。すなわち、紙の本よりもデジタルデバイスをいじっている現代人においては、横スクロールよりも縦スクロールの方が慣れ親しんでいると考えられる。もちろん、横スクロールのデジタルプラットフォームもある。例えば、kindleやブックウォーカーといった電子書籍プラットフォームが挙げられる。しかし、これらは紙の書籍のフォーマットをデジタルにそのまま置き換えているから横スクロールであるのであって、紙書籍の需要を電子書籍の需要が上回る近い将来、紙のフォーマットに合わせる必要もなくなってくるのではないか。
次に、外国人にとって縦スクロールの方が読みやすいことについて述べる。英語をはじめとしたヨーロッパの言語は横書きが基本である。そのため、縦書きで描かれた日本語のテキストコンテンツを海外に展開しようとした時、横書きに変換する必要が出てくる。日本の漫画のセリフが良い例である。日本の漫画は縦書き用にふきだしが作られているにもかかわらず、ヨーロッパ圏に翻訳する時には、横書きに書き直さなければならない。すると、どうしてもふきだしの形がセリフと合わず、不自然になってくる。とはいえ、漫画は絵とテキストの両方によって成り立つため、厳密にはテキストコンテンツとは断言できない。しかし、デジタルデバイスが普及した現在、私たちは普段から横書きを用いることが多くなった。例えば、SNSのチャットやメール。これらは基本横書きで書かれているため、それを縦書きの本に起こした時、どうしてもリアリティに欠けてしまう。しかし、横書きのテキストコンテンツが一般化すれば、文芸やエッセイの場面においてチャットやメールの文面を引用しても、できる限り原型を維持したまま掲載することができる。
インターネットとデジタルデバイスの普及によって、私たちの日常生活では横書きの文章や横スクロールのテキストコンテンツが一般化してきた。現在は縦書きが主流の小説や漫画も、韓国のweb小説やwebtoonのように、縦スクロール主流に移行するのは時間の問題ではないだろうか。