出版社とプラットフォーム

 かつて、出版社は他のマスメディアと同じくメディアプラットフォームをある種独占的に支配していた。具体的には、本とその流通システムを押さえているという点においてである。今でこそ、作品を書けばインターネットに誰でも投稿できるが、今ほどインターネットの普及していない時代、作家が作品を知ってもらうには書店に本が並ぶしかない。しかし、本を作ること、そして流通システムに乗せるためには、出版取次と契約している出版社を介さなければならず、大手出版社と出版取次は相互に株を保有し合う形で一種の既得権を形成していた。
 しかし、情報技術の発達によって、ブログやネット掲示板が普及。作品を投稿するだけなら、それら出版流通システムに乗せなくとも作品を発表できるようになった。さらに、Amazonの電子書籍サービスであるkindleが普及し、既存の流通システムとは別の流通システムが形成されていった。また、SNSによって既存の新聞社や広告代理店を介さなくてもクリエイターが発信をできるようにやった。すなわち、GAFAをはじめとした多国籍企業の進出によって、日本の出版業界の既得権益はほぼ崩壊しつつあるのである。

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