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塗料の歴史 6(紀元前1000年頃、顔料編②)
⬛️古代中国の合成顔料前回(塗料の歴史5)では紀元前1000年頃に西洋で発明された(記録が残っている)人工顔料を紹介しましたが、当然東洋でも人工顔料は発明されています。
今回紹介する人工顔料はハンブルー、ハンパープルと呼ばれる顔料で化学式はハンブルーがケイ酸バリウム銅(BaCuSi4O10)、ハンブルーよりケイ酸が少ないのがハンパープル(BaCuSi2O6)です。
今回は古代中国の人工顔料につ
塗料の歴史 5(紀元前1000年頃、顔料編①)
前回、紹介した樹脂の漆や植物油は近代まで大きな発展が成されませんでした。しかし、顔料に関しては、同時代に人工顔料の使用が多く見られ、多くの顔料が発明され顔料の持つ色彩が政治や宗教で利用されていた事が想像されます。
この時代も太古の時代と同様に塗料の主目的は着色であり、装飾であったと言えます。
■人工顔料の製法と用途
【鉛白2PbCO3・Pb(OH)2)→白色顔料】
まずは容器の底に酢酸を入
塗料の歴史 4(紀元前1000年頃、樹脂編)
■紀元前1000年頃の樹脂中国では紀元前1500〜770年頃の殷、周時代には車や弓に漆が使用されており、東洋では漆を樹脂とするが一般的であった。
一方、西洋ではエジプトで蜜蝋やエゴノキ油をバインダーとするワニス(ニス)が作られている。その他には化石樹脂と亜麻仁油を溶融させて高粘度なワニスを使用していたが後にテレピン油を薄め液として粘度を下げ使用していた様である。
■植物油について植物油が塗膜形
塗料の歴史 3(紀元前3000年頃)
■紀元前3000年頃の塗料
紀元前3000年頃になると各地域で文明が開化し、大きな国が出来ることで技術も進歩しています。
バインダーとしては天然アスファルトが使用され防水剤、接着剤、エジプトではミイラの防腐剤としても使用され始めてました。
また、当時使用されていた主な顔料を下記に示しています。
前回の紀元前5000年前では鉱物でも弁柄、黄土が多かったですが、アズライトやマラカイトなど緑、青
塗料の歴史 2(紀元前5000年頃)
■紀元前5000年頃の塗装物当時の塗装物として今回ピックアップするのは三引遺跡の弁柄が含まれた漆塗りの竪櫛です。
1996年能登半島の七尾市三引町遺跡から6800年前の遺物として発掘されています。
当時はシャーマンの装飾品として使用されて弁柄の赤は生命、再生を表していたとされています。漆の艶により赤の深みはより強く表されていたと思います。
そして、特筆すべきはその膜厚です。
分析では6層が
塗料の歴史 1(塗料概要、原始時代)
■塗料とは塗料はどこに使われているのでしょうか?
一度、辺りを見渡して下さい。机、家電、車、建造物など、実に様々な物に塗装されている事に気づくと思います。
その塗料ですが、なぜ塗装されているのでしょうか?
一般的には下記理由で塗装されています。
「保護」⇒素材の傷つき防止、防錆など外的環境からのダメージ保護
「美観」⇒彩色、意匠によりデザイン性を高め視覚的付加価値を高める