ドラマレビュー「リエゾン〜こどものこころ診療所」第2話

こんにちは。
今回は児童精神科を舞台にしたドラマ「リエゾン〜こどものこころ診療所〜」を駆け出し精神科医はなが見た感想を気ままにお伝えしていきます。表現に留意しているつもりですが、思い込みや勘違いが含まれる可能性がありますので、あくまで一意見としてご参照ください。

まずは松本穂香さん演じる研修医のしほ先生の小ネタから
本編でも触れられていますが、しほ先生はADHDの傾向があり、時間通りに行動するのが苦手です。なぜかというと、ADHDの特性で「先の見通しを立てるのが苦手」というものがあり、簡単に言うと、出かける準備をして家を出るまでの時間、目的地に着くまでの時間を適切に把握できず、結果的に時間に遅れてしまうんです。
ちなみに、我が家もその手の計算は苦手な傾向にあり、家族で出かけるときは母が「○時に出かけるよ」と声をかけるものの、実際に出発するのはその30分〜1時間後、ということが度々。その結果編み出した対応策が「出発予定時間を30分はやめに伝える」というもので、実践したら予定通りに出かけられるようになりました。
しほ先生も最初は出勤時間ギリギリに駆け込んでいましたが、最後の場面では「1時間前に着くぞ」と意気込んでいました(しかもなぜか走っている)が、遅刻を防ぐための特性に配慮した対策と言えるでしょう。

さて、今回のテーマは精神疾患を持つ親に育てられる子供でした。
設定はうつ病を患うシングルファザーの子供に発達障害の疑いがあり、紹介されます。
見た所父親の病状がかなり悪そうでしたが、父親の主治医との関係が気になります。子供を保護するのなら、父の主治医との連絡は絶対とったほうがいいのでは。父親も悪い人ではなさそうなので、きちんと病気がよくなって、周囲のサポートが受けられれば、子育てできるのかもしれません。
ただ主治医とはいえ自宅に張り付いているわけではありませんので、父の行為が虐待に値するものか判断するのは容易ではありません。父との信頼関係を保ちながらできることで行くと、早めの入院を提案するくらいでしょうが、父自身が拒否してしまうとこのケースでは難しそうですね。

もう一つ気になったのは、「この子供は本当に発達障害なのか」ということです。
この子の場合は明らかに家庭内の問題が原因で不登校になっています。クリニックに来た時の情報だけだと、発達障害の特性があったとしてもそれだけで「支援」が必要なレベルとは断定できないのではないでしょうか。
実は発達障害のOver Triage(過剰診断)も本人たちから叫ばれる課題の一つです。「発達障害」の診断をつけて例えば特殊学級に移ることで能力に合った学習ができずに、学力の高いはずの子供が希望する進路に進めなくなる可能性もあるわけです。(昔個人のブログで読んだのですが、リンクがなくてすみません)
例えば興味の偏りのある人でも「勉強」を極めた結果医師や科学者になって貢献している方がいらっしゃるわけです。作中に登場する医師もそうした一人なのです。
だから、もう少し診断を慎重にしても良いのかなと思いました。(あくまで感想です)
発達障害で特に支援が必要なのは、社会に適応できなくて非行に走ったり、うつ状態になったりという方なのですが、この作品では出てくるのでしょうか。楽しみにしておきます。

では、次回放送も迫っていますので、今回はこれまで。最後まで閲覧いただいた方は、ありがとうございました。


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