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15.国試でみんながやるアレは「マルジナリア」というのか

看護学生独特の文化に
「種本をデコる」
というものがあります。

 種本というのはメディックメディアのレビューブック、照林社のスタディガイドなどの国家試験のための総合的な参考書のことを指します。

 その「種本をデコる」というのは付箋や新たな紙を足し勉強することを指します。
 そうするとページ数が増えて分厚くなっていくので「レビューブック/スタディガイドを太らせる」とか呼んだりします。

こんな感じ。もっとみんな可愛く読みやすいのでInstagramとかでみてください。

 看護学生僕も当時は春に種本、過去問、秋は予想問題集を買って勉強していました。

たまに他の学部の友達と勉強することもあったのですが、そのときに種本で勉強していたときに言われた言葉があります。

「なんでも載っている本なんでしょ?なんで書きこむの?」

「これだけでは足りないから」
と返したのですが

『そもそもこの種本のすべてを覚えているわけではないのに足りないってどういうことなのか』

『最低限必要なことを載せている本なのに新たに加えていることに違和感を感じる』

『しかもそんなに書くならノートに書けばいいのではないか。余白に細々と書いたり貼ったりするのが不思議でしょうがない』

 と合理的でないと言わんばかりに語りかけられタジタジになりました。

 それでも必要あれば付箋にメモをして貼ったりしていました。寧ろ他の看護友達の方がたくさん貼って勉強していてすごいな…とまで思っていました。

 看護師になり数年経って学生向けに参考書や記事を書かせていただく機会が増えて「ただ勉強して書いているだけではダメだ、学生さんの頑張る現状をもっと知らなくては」と看護学校で講師として働きに行きました。
 医療戦闘民族ぼくが学校というインテリジェンスな空間に存在するのはとても苦労が必要でした。

 そのときにいた先生が「みんな付箋使ってるけど(種本に)貼るだけで意味がないのに」とぼやいていました。

 医療職は看護の他にもたくさんありますが、「種本をデコる文化」は確かに看護だけ発達している文化です。毎年コンテストまであったりします。すごく可愛くて見るのが楽しかったりします。


 勉強の方法は人それぞれ
誰かにとって間違った勉強法であっても、別の誰かにとっては何十点も得点が上がるような勉強法
 
だったりします。勉強をするということは学びたいことそのものを吸収するだけではなく、自分に合う勉強法を得る場所でもあったりします。

 そういうわけで、付箋などを使ったりしながら本に書き込んでいく文化も意味がないわけではないのですが、僕は「じゃあどういう意味があるのか」を考えずに「みんながやってたからまぁやってみるか」と当時受験生のときに思っていました。

 今もどこかの看護学生さんの中には同じように勉強している人がいると思います。ちゃんと過去問や模試などで得点がとれるようになっていればその勉強法でいいんです。



 この書き込む行為、なんだろうを思っていたのですがマルジナリアと呼ぶそうです。

Marginalia(マルジナリア)
本や資料などにある余白(マージン)にコメントや感想、メモ、イラストや図などの書き込みのことを言います。または読書術のひとつを指します。子供が教科書にする落書きもマルジナリアです。


この方法によって著者の背景を考察したり、自分の思いや考えをすぐに反映させることで気づきを得たり、学びを深めることができます。

この種本の著者に想いを馳せることはないと思いますが、種本を通して国家試験の問題への理解を深めたりすることはできそうです。

書いてある文章に思考を巡らせて、他にも得られるものがあるのではないか、これも必要なのではないかと手を動かし余白を埋めていく行為は、そもそも考えられる知識がないとできません。

「考えていたら余白が埋まった」という勉強法だと思うと、この文化も素敵だなと思いました。


レビューブック
メディックメディアの本
コンテストがよく行われている
「病気がみえる」やクエスチョンバンク
と連携しているのがつよい

スタディガイド
照林社の本
プチナース予想問題集が有名。わかりやすい。
今年から過去問も出たので連携させやすい
実習にも使えるようにできている

サポートしていただけたらチョコレートかいます!描/書く燃料!