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看護師は文系か理系か

 よく聞かれるのですが

 看護→医療→理系

 ということで受験の時などでは理系として看護師は案内されることが多かったりします。

 実際は科目だけでみると
必須として英語、小論文
選択で国語・地歴・数ⅠA・理科から1つ選ぶ
 というのがよくあるパターン。つまり、英語、国語、日本史など、どっちでも大丈夫です。僕の親戚はそれで看護師になっています。

 行きたい学校、専門学校か大学か、受験問題の難易度によっても変わるのでどっちがいいとかはありません。

 伝えたいのは「文系でも大丈夫です」ということ。

 看護師になりたいと思ったら学校の場所などに合わせて受験科目もチェックしてみてください。

…と「文系理系話どっちもありだよ」で終わってしまうので思い出話をしようと思います。

看護は文系なんじゃないか論


「かげくんが看護師になると思わなかったよ」

「自分もだよ…この大学しか看護受けてないし…あんなにやった数ⅢCを使わなかったのがなんだか悔しいね。」

「そっかⅡBまでしか使わないのか」
 ⅢCなんて理工とかでしかやらないもんね。なんて言いながらビールを注文する友人。彼女は文系なので全く違う道を進んでいた。

「違う違う、ⅠA」

「高校3年のあんたの授業……半分くらい要らないじゃん」

「要らないって…言うんじゃない…いつか役に立つ…はず…」

 大学生になって高校の頃の友達と飲んでるとよく話題になる。それほどに僕が看護師になることを珍しがられた。この飲み会もそうだ。久しぶりに会ってしみじみ言われた。

 僕の高校では3年生の選択科目は8割で構成されていて、僕はその5割近くを数学で埋めていた。そんなことをしている人は1学年150人いて10人もいなかったので他の生徒は廊下まで空調の効いた校舎に対して、我々はストーブが置かれた古い校舎に拠点を置かれた。寒いのでコートを被って授業を受けていた。
 しかしそんな学生生活に不満はそんなになかった。その校舎は教室の壁3面が黒板になっていたのだ。前後の出入り口と窓以外すべて黒板なのだ。ロッカーや掲示板、本棚など教室にありそうなものは一切排除されている。
 他の教室だと黒板が1面ないし2面で狭いしたくさん描くとチョークだらけになって汚い。けれども古いこの教室は3面なのでそのぶん消す頻度が減るし、もう既に古くて汚さが目立たないので思う存分演習で書き殴れる。

 数学は「はぁ〜!なるほどねそうやって解くのね」という考えをどんどん増やしていく。
 だから過程がすごく大切なのだ。

 休み時間のうちに生徒は黒板に問題を解いて先生が入ってくる時にはすでに黒板一面に書かれている。分からない問題はなく「それでいいんだよね」みたいな確認の授業になるので振り落とされないようにするのが必死だった。ほとんどの選択科目を数学にしたのを少し後悔した。

 そんな高校生のときに必死だった様子を目の前にいる友人は知っているのでなおさら看護師になることを珍しがった。

「看護師って理系だよね?」

「医療系の選択科目セットみたいなのを見ると理系なんだけど、魂が文系ってかんじ」

「なにそれ?」
ⅠAしか使わない分野を理系と呼んでいいのか戸惑っている様子。

「簡単に言うと、模試を受けた時に志望校別で偏差値が細かく出せるやつを見た。全国の偏差値と看護大学の偏差値が英語や国語だと変わらないのに数学や理科で大きく違ったからみんな理系科目苦手なんだよ…だから文系が多いんだと思う」

「それそのテストだけじゃなくて?その年だけじゃなくて?」

「そこまでは調べてませんすみません」

「決めつけるのはよくないよ、看護師は理系なんじゃないの?だって治療をするんだから思いっきり理系じゃん」

「そうなんだけど…実際看護学生になってみると、文系な人が周りに多くて。これ相手が『医療じゃなくて人間』だと世間的にも、本人たちも思っているからなんじゃないか」

「営業とか、接客業とかそういう分野なんじゃないかと言いたいわけね」

「看護の人の中では理系の勉強が苦手な人もいるかもしれないけれど、理系にはないことがある。それは自分以外の人の生き方とか考えに焦点を当てているから文系要素が多いのかなと考えているけど」

友人はニヤニヤしながら
「……理系だけど、看護すっかり好きなんだね…?」
と返してきた。

その時はめちゃくちゃ否定した。

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