それは本物ですか

大塚国際美術館ができたときだから
25年ほど前のこと

この新しい美術館の紹介を兼ねて
展示されてる名画を1枚ずつ紹介する
番組が日曜日の早朝にあった

毎週欠かさず見ては
大塚国際美術館への憧れを募らせていた

その当時は東京に住んでいて
ここぞとばかりに美術鑑賞をしていた

そして運よく
『民衆を導く自由の女神』が来日

同時期に上京した美術鑑賞好きの友人と
長蛇の列に並んだ

並んでいるときに博識の友人が
「この絵はね
　おんなじ絵が描いてある専用飛行機に
　乗ってやってきたんだよ」と教えてくれて

「ぬ、ぬ、ぬ
　ぬわんと！サイコーにカッチョええ♥」
などと相変わらずのアホ丸出しで
ワクワクしながら並んだことを鮮明に覚えてる

『民衆を導く自由の女神』は
1枚のみの展示だったけど
震えるような迫力で
天まで届くんじゃないだろうか、
というくらい巨大に見え大満足だった

ときは経ちあるとき
エプソンがプリンターはここまで進化した
世界最高峰のプリント技術を駆使した展覧会
と銘打ち（そんな感じ）

世界の名画を同サイズにプリントし
同じデザインの額に入れた展示会を開催した

で、渋る件の友人を誘い
いそいそと出かけたんだけど、、、

二人一緒に
「ちっちっちゃい、、、」

それまで数々の名画を見ることができていて
展示されていた多くの名画の現物を実際に見ていたので

「あれ？ちっちゃい」ってなっちゃったの

特に
『民衆を導く自由の女神』は
仰天のちいささ

二人一緒に途中で鑑賞リタイア

この展示は
【プリンターのすばらしさを見る】
のであって

【名画鑑賞】ではなかった

以来、こういった催しには
一切近寄らないことにしている

わたしの目的は
【名画鑑賞】なのでね

当時のエプソンの『技術』は
たしかに世界最高峰、本物だったんであろう

大塚国際美術館の『陶板絵画技術』も
最高峰、本物なんだと思う

どこに軸足を置くかで
『本物』の定義は動く

軸足を決めるのは自分だ

残念だけどきっとわたしは
大塚国際美術館へ行くことはないだろう

🐇
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