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ほんとうのたべもの

日中はテレビは見ないのですが
土曜日、ふと思いつき
テレビをつけるとEテレ再放送
「こころの時代」をやってました

なんとテーマが宮沢賢治でした



わたくしたちは、
氷砂糖をほしいくらいもたないでも、
きれいにすきとおった風をたべ、
桃いろのうつくしい
朝の日光をのむことができます。
またわたくしは、はたけや森のなかで、
ひどいぼろぼろのきものが、
いちばんすばらしいびろおどや羅紗らしゃや、
宝石いりのきものに、
かわっているのをたびたび見ました。
わたくしは、そういうきれいなたべものや
きものをすきです。
これらのわたくしのおはなしは、
みんな林や野はらや鉄道線路やらで、
虹や月あかりからもらってきたものです。
ほんとうに、かしわばやしの青い夕がたを、
ひとりで通りかかったり、
十一月の山の風のなかに、
ふるえながら立ったりしますと、
もうどうしてもこんなことが
あるようでしかたないということを、
わたくしはそのとおり書いたまでです。
ですから、これらのなかには、
あなたのためになることもあるでしょうし、
ただそれっきりのところもあるでしょうが、
わたくしには、そのみわけがよくつきません。
なんのことだか、
わけのわからないところもあるでしょうが、
そんなところは、わたくしにもまた、
わけがわからないのです。
けれども、わたくしは、
これらのちいさなものがたりの
幾きれかが、おしまい、
あなたのすきとおった
ほんとうのたべものになることを、
どんなにねがうかわかりません。
 大正十二年十二月二十日
               宮沢賢治

宮沢賢治 注文の多い料理店 序


わたしは
岩手で生まれ育ちました

宮沢賢治の世界は
ものがたり、そらごとではなく
わたしの生きる世界でした

ですから
大都会にでて暮らすようになったとき

変わり者と言われること
生きにくいこと、たくさん
それはたくさんありました

けど、
このEテレの番組をみて

やっぱりわたしも
きれいにすきとおった風をたべ、
桃いろのうつくしい朝の日光をのんで
育ったんだからこのままでいいんだよね

そう思いました


極寒の地岩手
やませが吹いて飢饉ばかりの岩手

支えあい助け合わないと
全滅する世界です


 十一月の山の風のなかに、
 ふるえながら立ったりしますと、

わたしも身を切るような風の中に立つと
賢治と同じように
どうしてもこのようなことが
実家の裏にある鬱蒼とした森で
起きてるようにしか思えなかったのです


人が2人以上集まれば
どうしてもいさかいが起きてしまう


けれどどうか

この
ほんとうのたべもの、があることを
こころに留めていただければと

わたしも賢治同様
どんんなにねがうかわかりません



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