【読書記録】2024年3月

桜の季節になりましたね!すでに終わりかけではありますが、春はワクワクします。
今回は3月の読書記録です。



1冊目:まさきとしか『彼女が最後に見たものは』

あらすじ(文庫版裏表紙より引用)

クリスマスイブの夜、新宿区の空きビルで女性の遺体が発見された。五十代と思われる女性の着衣は乱れ、身元は不明。警視庁捜査一課の三ツ矢と戸塚警察署の田所は再びコンビを組み、捜査に当たる。 そして、女性の指紋が、千葉県で男性が刺殺された未解決事件の現場で採取された指紋と一致。名前は松波郁子、ホームレスだったことが判明する。二つの不可解な事件は予想外の接点でつながるが!? 彼女はなぜ殺されなければならなかったのか。真実が明かされる時、景色が一変する。 家族の崩壊を圧倒的な筆致で描き、幸せの意味を問う三ツ矢&田所刑事シリーズ第二弾。

シリーズ第二弾です。まさきとしかさんの著書も3冊目の読了です。

別々の事件が徐々に繋がりを見せていく過程が面白いです。
被害者はホームレスとして人生を終えたけれど、そんな彼女は不幸だったのか。それが紐解かれていく。

私には彼女が不幸だとは思えなかった。自分が手を差し伸べた子どもに再び会うことができた。お互いが共に名乗れなかったとしても幸せな時間だったのではないかと思いました。



2冊目:橘玲『世界はなぜ地獄になるのか』

あらすじ(本体そでより引用)

人種や性別、性的指向などによらず、誰もが「自分らしく」生きられる世界は素晴らしい。だが、そうした社会の実現を目指す「社会正義(ソーシャルジャスティス)」の運動は、キャンセルカルチャーという異形のものへと変貌していき、今日もSNSでは罵詈雑言の応酬が続いている。わたしたちは天国(ユートピア)と地獄(ディストピア)が一体となったこの「ユーディストピア」をどう生き延びればよいのか。

世間が一個人の不祥事を叩き、公の仕事から退けさせる現象は幾度と目にしてきましたが、それに「キャンセルカルチャー」という名前がついていることをこの本を読んで初めて知りました。

自由と地獄が表裏一体な現代を如何に生き延びていくか、というのを考えたとき、ある程度鈍感であることが肝なのかなと思いました。
全てに鈍感であれとは思わないけど、敏感になって全てを捉えるのではなく受け流すところは受け流していかないと生きづらさは増して地獄と感じることが多い気がします。

世の中は「0か100か」ではないし、白黒はっきりつけられる事象ばかりではありません。でもSNSを徘徊してると極端な言い争いばかりが目に入ります。(インプレッションを稼ぐために火種になりそうなこと極端な発言をしているユーザーが多いのかもしれませんが)
それら全てに突っかかって行ったら、この世は地獄に見えてくるように思います。ある程度は「はいはい」と受け流して、自分の絶対に譲れないところだけ立ち向かっていくことが地獄にしないコツかなと思いました。



3冊目:浅瀬明『卒業のための犯罪プラン』

あらすじ(文庫本裏表紙より引用)

ビジネスセンスを備えた人災の育成を目指す木津庭商科大学では、学食等での支払いのみならず、家賃の支払いや単位の売買にも使用できる「ポイント」を獲得するため、学生たちがしのぎを削っていた。家庭の都合により、突如残り半年で卒業しなければならなくなった2年生の降町歩は、不正にポイントを稼ぐ者たちを摘発する「監査ゼミ」に所属するが、ある日、その調査対象者に取引を持ち掛けられ……。

2024年第22回『このミステリーがすごい!』大賞 文庫グランプリ受賞作らしいです。
書店で平積み最後の1冊だった上に、あらすじに惹かれたこともあり、即購入しました。文章は読みやすく、割とあっという間に読了することができました。

流血がなければミステリと思えないタイプの人には物足りなさがあると思います。私は「このミス」受賞作家では海堂尊さんや中山七里さんのような作品が好きなので個人的には物足りなかった。小川哲さんの「君のクイズ」を読んだ時のような物足りなさでした。

ミステリーと思うことはできませんでしたが、設定は面白くて良かったです。

出版するにあたってタイトルが改題されたようなのですが、改題前の「箱庭の小さき賢人たち」の方がしっくりくるな……と思いました。
大学という小さな世界での卒業のための悪だくみが「犯罪プラン」だとは私には思えませんでした。
それに、作者も大学名に「庭」を使ったり、とある登場人物たちを「賢人」としたり、タイトルとのリンクをさせていたはずで。
キャッチーでパンチのあるタイトルにすれば良いってわけじゃないと思うんだよなあ。


4冊目:飯村周平『HSPブームの功罪を問う』

内容(表紙より引用)

「繊細さん」現象がもたらす生きづらさへの共感と危うい流行の実態
とても感受性の高い人=HSPという言葉は当初の意味を超えて独り歩きし、問題のある取り上げ方も広がっている。気鋭の心理学者が「HSPブーム」の実情を明らかにする。

近年よく見聞きするようになった「HSP」。SNS上にも自称HSPの人がかなりいる印象があります。
何となく胡散臭さを感じていて、この本を手に取りました。

読了しての印象はやっぱり胡散臭いかな、と。
自称している方々が胡散臭いと言いたいわけではなく、「HSP」を商業的に利用している人たちが胡散臭い。

自らがHSPだと自認・自称することで救われている方々がいる一方で、その不安などに漬け込むビジネスが跋扈しているのはいただけないですね。



5冊目:水生大海『最後のページをめくるまで』

あらすじ(文庫本裏表紙より引用)

小説の、ラストで驚きたい方はぜひどうぞ。ベスト本格ミステリ2018(本格ミステリ作家クラブ選)の1編に選出された「使い勝手のいい女」のほか、特殊詐欺に関わる男を描いた「わずかばかりの犠牲」、<あなたの夫はあたしの婚約者です>と名乗る女性が突如現れる「監督不行き届き」など、『どんでん返し』がテーマの5編を収録したミステリー短編集。

『どんでん返し』ものが好きなので手に取りましたが、そんなに驚きはなかったです。「あー、そういう感じだとラストはこうなるよね……」と展開が読めてしまいました。

それでも、特殊詐欺の受け子視点で語られる「わずかばかりの犠牲」とサレ妻視点の「監督不行き届き」は面白く読みました。

短編のどんでん返しって難しいよな、と思いました。長編の場合なら引っかかる部分があっても話が進むうちに違和感が薄れてしまうけど、短編だと薄れる時間が足りなくて展開が何となく読めてしまうもんなあ。連作集ならまた違うと思うけど。


6冊目:西田公昭監修『マインド・コントロールの仕組み』

あらすじや概要等は見当たらないので、省略します。

洗脳とマインド・コントロールの違いや、様々な詐欺や〇〇商法の類いはマインドコントロールのどのような手法を用いているのかわかりやすく解説してくれています。

私もこういう類いの書籍をまあまあ読んでいて「自分はそこそこ知識もあるし大丈夫だ!」と思い込んでいるところがあります。
そういう人間が一番危ないと書かれていたので、気を引き締めて生活したいです。


おわりに

4月も半ばになりました。3月は積読消化1冊でした……。4冊は図書館で借りたもの、1冊は書店で衝動買いして積む前に読んだ感じ。

なんだかんだ本を買ってしまうので、積読はプラマイ0かむしろちょっと増加しているかも。

でも、4月は結構良いペースで読めているので、このまま月末まで継続して読みたいです。


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