【読書記録】2024年4月
5月も半ばを過ぎてしまいました。暑い日が増えてきましたね。すでに気温のアップダウンの激しさに身体がついていきません……。
今回は4月の読書記録です。
1冊目:浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』
あらすじ(文庫裏表紙より引用)
浅倉秋成さんの小説は初めて読みました。11月には映画も公開される予定のこの作品は単行本を見かけたときからずっと気になっていました。
とても面白くてあっという間に読了してしまいました。
就活生の闇を描いているようでいて、採用側である企業の闇を描いているような気もしました。
企業が自社を魅力的に見せようとそれはそれは美味しそうな餌をチラつかせるから、就活生はそれを得ようと嘘をも武器にして就活に挑んでしまうよな……と。
未来の姿は就活時にそれぞれが描いたものではないかもしれないけど、就活生ではなくなった彼らの本来の姿も物語の中で窺うことができて良かったです。本当の悪人などいなかったのだと。
映画も楽しみです。どんな風になるのかなあ。山下美月さんがキャスティングされているのが嬉しいです。
2冊目:宿野かほる『ルビンの壷が割れた』
あらすじ(文庫本裏表紙より引用)
宿野かほるさんも初めましての作家さんです。
SNSのメッセージ機能を使った往復書簡形式で進む作品でした。
往復書簡で進行する小説といえば一番に宮本輝さんの『錦繡』が思いつきます。手紙風な小説だと井上ひさしさんの『十二人の手紙』とか。どちらも好きな作品です。
この『ルビンの壺が割れた』は元恋人をSNSで見つけた男性がメッセージを初めて送るところから始まります。このメッセージで彼女を見つけた過程も語られていますが最後まで読んでから振り返るとそこからしてすでに気持ち悪いです。
学生時代の思い出を語り合っているだけかと思いきやどんどんと雲行きが怪しくなっていく。そして訪れる最後の1ページ、最後の1行。太文字フォントのその1行がスカッとします。
3冊目:原田ひ香『三千円の使いかた』
あらすじ(文庫本裏表紙より引用)
原田ひ香さんの小説は3冊目かな。読んできた3冊の中で一番ピンと来なかったかもしれない。
美帆の婚約者が全然良い人と思えなかったのが原因で結末に全く納得がいかなかった。
琴子さんの堅実さが好きなので「お前らちゃんとお金返せよ……」としか思えなかった。
物語の中の出来事に対して現実的に突っ込むのはナンセンスだとわかっていても相手方の家族が地雷臭しか感じなくて結婚しても前途多難が目に見えていて祝福できないと思ってしまった。
4冊目:くわがきあゆ『レモンと殺人鬼』
あらすじ(文庫本裏表紙より引用)
くわがきあゆさんも初めまして!
「同じ一人称で語られている=同一人物である」という読者の思い込みを利用した小説だと思いますが、この手法を一つの物語の中で多用されるとクドイんだな……と思いました。
展開が面白くてサクサクと読めるけど、ラストスパートはグロいです。グロテスクな描写が苦手な方は注意した方がいいかもしれません。
5冊目:山田詠美『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』
あらすじ(文庫本裏表紙より引用)
読んでいて切ない気持ちになる小説です。
あらすじには「絶望から再生した」と書かれているけど、私には再生したとは思えませんでした。
どちらかといえば、この物語の結末を足掛かりにやっと再生への道を歩んでいくのかな、と感じました。
4人兄弟の次男に創太という男の子がいます。彼の幼少期の必死さも大人になってからの足りないものを埋めようとする感じもずっと切なくて、創太に「報われてほしい」「幸せになってほしい」と願いながら読了しました。
おわりに
4月は5冊の読了でした。4冊は積読消化だったのでまずまずかな、と。
5月もぼちぼち読んではいますが、今のところ積読を増やしています。
先日夫に積読の中に最長で3年積んでいる本があると言ったら「それを優先的に読んだら?」と言われてしまいました。夫の意見は尤もなんですが、読みたくて購入していてもいまはその本の気分ではないというのは読書界隈のあるあるじゃないですか……
でも流石に3年は寝かせすぎかな、と私自身思ってはいるのでそろそろ着手したいです。
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