最高のネットワークモデル?

週末に「快慶に出会う」というテーマで、40年間運慶と快慶の研究をしているという多摩美大の青木教授からお話を聞く機会に恵まれた。お誘いを受けた時に運慶は知っているけど、快慶は知らないので好奇心が湧き旦那と2人で聞きにいった。結論から言うと、快慶の話は最後のラストスパートで出てきたぐらいで講演会は終了した。がしかし大満足の時間だった。話の運び方が面白く、ぜひまた聞きに行きたい!と心から思う。

快慶の話をもっと聞いてみたい、と言うのもあるが先生の半生を振り返る話が面白かった。まずお話自体と、話の持って行き方ももちろんだけど、何が面白いって話の広がり方がすごい。大学の研究者だとご自分の専門分野を深掘りされていて、横の繋がりを見ているかたが少ないイメージなんだけど(失礼!)この先生は19歳の時にドイツに行って浮浪者とも言えるような生活を通じ、人の縁に恵まれ既定路線を大きく外れているからか、あるネタからの話の展開が連続ドラマ以上に面白い。最後帰国する前に、ロッカーに入れていた荷物を盗まれてパスポートと少しだけ残ったお金だけという状態になったそうだ。着る物も洗濯しすぎてボロボロ。どうしても日本食を食べたいと日本料理店に行ったらしい。すぐに追い返されたと言う話かと思ったら、お店の人が「あんた訳ありの人?」と言われてその店で仕事を与えてくれたとか。ビールを注ぐというシンプルな仕事だったようだけど、その店は小澤征爾さんがよくいらっしゃるお店でよく彼にビールを注いでいたらしい。そしてベルリンフィルのコンサートによく招待されて聞きに行っていたそうだ。大きな不幸に襲われた後には、必ず大きな幸運が訪れる。

青木先生は当時どう言う心境だったかはさておき、その日その日に楽しみを見つけて、人生を謳歌されていると思う。「ビールが飲めたら幸せ」と講演の中でよくおっしゃっていた。そう思うと、お風呂に入れて幸せ、涼しい部屋でコーヒー飲めて幸せ、朝起きて幸せ、などなど毎日の生活は幸せだらけだ。

話を先生に戻すと、人のために自分ができることをやって、その日のささやかとも言えることに喜びを感じて毎日過ごされていらっしゃったからなのか、若い頃から聞いたらびっくりするような大人物との出逢いがあり、それらの人たちにとびきり可愛がられ、縁を活かしていき、ご本人はその方々からどんどん学んで吸収していく。ダイソンの掃除機よりパワフルな吸引力!(失礼!)心底身につけたいスキル。

新しいことへの好奇心を持つ、人との出逢いを増やす、日々楽しみを見つけて生きる、など全てを行動に移すことって誰でもすぐにできるし、それだけで楽しい人生になるようなことって案外忘れられているかもしれない。占い師のゲッターズ飯田が、これやると幸せになれますよとアドバイスしても、ほとんどの人がなぜかやらない、と言っていた。忘れていると言うより、やらないと言うことか。損か得か、正しいか間違っているか、などで判断していると行動に移せない。面倒だからと言うのもあるかもしれない。人と比較して、世間の常識に縛られて、人目を気にして、と言うのもあるかもしれない。良いと思うことはとにかくやってみて、自分が楽しくなかったらやめるぐらいで良いのだと思う。

青木先生がおっしゃっていた言葉が印象的。「お寺に行った時には、仏像を単純に見るのではなく自分と向き合う気持ちで仏像と向き合ってください」自分と向き合う時間って大切。自分の本心と向き合う。自分の心の声を聞く。そんな時間を毎日少しでも持てたら死ぬ時に「最高の人生を過ごした!」とガッツポーズできそう。


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