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人生を楽しむ「レジリエンス」の高め方

先日、日本ホスピタルクラウン協会理事長/プレジャー企画代表の大棟耕介さんの講演を聞く機会があった。2003年フロリダのWCA(World Clown Association)コンペで、シングル部門の銀メダルを受賞、のちに同じコンペでグループ部門でも金メダルに輝き世界1位に。さらにレガシー・オブ・ラフターというWCAが授与する最も名誉ある賞も受賞されている。世界でもトップクラスの筋金入りのクラウンだ。クラウンは日本語で言うと道化師。

全国各地を駆け回り講演をし、病院で子供たちを笑わせと年間700講演ぐらいしているというから、どれだけ忙しい毎日なのだろうと思う。病院の小児病棟に入院している子供たちを訪問している中、目の前にいる病気の子供を見ていると自分が健康であることのありがたさを感じ、動けるなら動き回るしかないと思う。「また来てね」と子供達から言われると、「また来るね」と答える。答えたからには義務がある。と義務感で活動しているそうだ。その考えがカッコいい。

病院訪問するからと言って、入院している子供達を治そうとか、退院できるように元気にしようなんて思っていない、とおっしゃっていた。自分がやることはとにかく笑いのプロとして、徹底的に目の前にいる子供たちを笑わせる。また看病しているお母さん、看護婦さん含めて笑わせることまで考えている。とてもエモなことをやっているのに、冷静に自分たちがやっていることを見つめて役割と責任に対してのプロ意識を強く感じて、感銘を受けた。すごいバイタリティで尊敬しかない。

勉強になったのは、目的に沿って徹底的に行動し、結果を期待しないと言うこと。目的は子供達を笑わせること。元気になって退院する子もいれば、残念ながら亡くなってしまう子もいる。それはあくまで結果だ。自分が可能な限り自分を出し切ってパフォーマンスができたのか?それが最重要であって、結果に振り回されてしまったら、心が疲れてしまう。そして持続性がない。

私も仕事で結果を出したい、と意気込んでそれが原動力にもなり、パワフルに行動するタイプだけど、実はどんなに頑張ったとしてもどうしようもない、思うような結果が出ないことはかなりある。思うような結果が出ないと、どうしても「なぜなのか?」と原因を考えてつい「何が」問題なのかと言うより、つい「人」の問題として自分や人の能力を疑ってしまう。できるはず!と自分や人に期待することは良いことだけど、期待値が高過ぎたり、早く結果を出そうとすると、時には人間関係も悪くなるし、頭も心も身体も疲れる。

思っているような結果が出ないと、周囲の人の期待に応えられず恥ずかしいと感じるだろうし、無力感を感じて自己嫌悪になることもある。自分の中のプライドが傷つく。それは日常的に誰にでも起こる。人間の煩悩。思い通りにしたいと思うから苦しむ、とは良く言ったもんだ。お釈迦様はやっぱりすごい。

そんな落ち込む状態になった時にどうするか。「レジリエンス」が重要。コロナの期間中何度も聞いた言葉。回復力というべきかな。私は意図して自分自身を回復させるために3つのことを組み合わせて、自己回復している。

一つ目は「私は力だ!神様は私を不幸にするわけがない!」と言葉に出すこと。そしてガッツポーズをすること。最近教えてもらったのだけど、Ted Talkでエイミー・カディという心理学の先生が自分を最高の状態にするには、パワーポーズ(ガッツポーズ、手を挙げる、バンザイポーズ、などなど)がとても効果があるとスピーチしていたので、科学的にも証明されているようだ。

二つ目は良い言葉に触れる、読書とか映画やドラマ鑑賞とか。歴史の実在の人物からフィクションのキャラクターなど人の力を借りる。変な話だけど今日風呂に入る時に、ペットボトルに酸性水をたっぷり入れて湯船に入れておいた。フタが閉まるギリギリまで水を入れると底に沈む。少し中の水を出してまた蓋を閉めると少し浮いてくる。ペットボトルの中にたっぷり詰まった水が自分の中に詰まっているネガティブな感情や、思い込み、勘違い、不安、だとすると、ペットボトルのフタをとって中の水を抜いたように、人間の場合も人の力が必要だ。

昨日鑑賞した映画「ボブ・マーリーOneLove」。国内を暴動の渦に巻き込んだ敵対する党首に最後、握手をさせたボブ・マーリーは36歳という若さで亡くなったが、彼が育った環境と人との関わりの中で、自分だけではなく、ジャマイカを、そしてジャマイカ国民を回復させていった。彼の物語に活力をもらった。

三つ目は信頼できる人と対話すること。何かアドバイスをもらおう、とか答えを教えてもらう、というのではない。聞いてもらうだけで頭が整理されて、溜まっていたものが少しづつ無くなっていく。人間には自己治癒力が備わっているので、人に話をしていたら自分で解決策や答えを見出していくことが多い。話しているうちに、悩んでいることがどうでも良くなる。むしろ笑えて来る。実際に笑い話になったりするので、最近ではピンチ!だと思う出来事は、後から笑えるネタになる、と思うようにしている。

何があっても人は必ず回復できる。結果に振り回され過ぎず、今自分ができることを最高の形でやることに集中する。その先には必ず喜びが待っている。



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