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vol.20「初シチリア・パレルモ」

2003年7月2日(水) 

ローマからパレルモに飛ぶ


2泊したローマにひとまず別れを告げ、今日はシチリア島に出発だ。せっかくほどいた荷物をまとめて旅支度。

今回の旅行は最終的にふたたびローマから日本に帰国する旅程なので、同じホテルにあらかじめ、帰国する前日の宿泊を1泊、キープした。こうしてもう一度戻ってくることを告げておくと、荷物をそれまで預かってくれるのでありがたい。

昨夜プレゼンされたシチリアのメーカーのサンプルや資料など、いちいち旅先まで持ち歩いていたら重たいし、たいへん。最終日にアノ手コノ手で全部どうにか日本に持ち帰る作戦である。

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ローマ・フィウミチーノ空港を11時20分に出発する飛行機でシチリア州の首都パレルモに飛ぶスケジュール。初パレルモにワクワクする。ゴッドファーザーに会えるかしらん?


パレルモはカターニアと並ぶシチリア島の玄関口の一つで、シチリア西部の観光拠点でもある。シチリアを知るには、なんといってもまずパレルモを知っておかねばならない。


二泊して周辺に足を伸ばし、それから島の南部に移動しよう。プルマン(長距離バス)もたくさん走っているから、なんとかなるだろう。軽いノリで組んだスケジュール。これがあとになってたいへんな事態になるとは。


ローマ~シチリア間は、飛行機で約1時間。頻繁に便がある。イタリア国内の都市間を飛ぶのによく使われる飛行機らしく、通路を挟んだ左右の5人掛けにぎっしり詰め込まれる。

アリタリアの機内では、慌ただしくビスケットとジュース類の軽食がサーブされる。サラダ味のビスケット。意外とイケます。日本でも売れそう。あっという間に着陸だ。

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最後部からタラップを降りてシチリアの大地を踏む。「アッズーロ(青)」の空が気持ち良い。空港のすぐ背中にはゴツゴツとした巨大な岩山がそびえている。岩肌をむきだしにした、いかにもシチリアらしい大自然。

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空港から一時間に一本程度、市内行きの電車もでているが、ここは長距離バス「プルマン」に乗り込むことにする。時間に正確なプルマンは青いペイントで塗られていて、荷物を各自が勝手に「わき腹スペース」に放り込み、運転手からチケットを購入するシステムだ。


パレルモまで小一時間の、快適なドライブが待っている。ゆるやかにカーブする海岸沿いの高速道路はスムーズで、ふと見ると左右に展開される丘陵にはほとんど草木が生えていない。切り立ったガケを擁する「ハゲ山」ばかりが目に付くのだった。

それに、町と町との間に家らしいものが少なく、ほとんど人影を見ることがない。ただひたすら広大な丘陵地帯か、緑の畑が延々とつながっているのだ。「いったい、ヒトはどこに住んでいるのだろうか??」

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都市部は対照的に、びっちりと建物が建ち並び交通渋滞もある。都会と大自然が仲良く同居するシチリア。不思議な島である。

パレルモは人口1000万人の大都市。市内に入ったとたんに渋滞で、バスも「ストップ・アンド・ゴー」モードに。ようやく終点のパレルモ中央駅に到着した。

タクシー乗り場で客待ちしている運転手にホテルの名前を告げると「10ユーロってとこだな。この道をまっすぐ歩いて2-3ブロック目だから、歩いていくって方法もあるよ。」とか言っている。

「へっ?」高くね?

なんだ。じゃあ歩いたほうがいいに決まってる。ホテルの住所になっている「Via Roma」は駅からまっすぐに伸びる大通り。歩き始めたら意外とホテルは目と鼻の先なのかも知れないし。と思って歩き始めてしまったのが「運のツキ」でした。

炎天下のパレルモ市街、午後2時あたり。重たい荷物を引きずって、昼食後の時間帯。目指すホテル「クリスタル・パレスホテル」を見つけたのは、なんと歩き始めから30分以上経過した後だったのでした。ったく、どこが「2-3ブロック」なんじゃい!

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チェックインを終えて部屋に入るとエアコンをマックスにして、シングル・ルームの小さなベッドに横たわった。出発前にコンタクトしていたパレルモ在住のOさんがお勧めしてくれたホテルだった。

Oさんとは前回に訪ねたシラクーサで初めてお会いした日本人。今回も事前のメール交換で、食事くらいしましょう。ということになっていた。ガイドブックには乗っていない「レアな」シチリア情報をいろいろと教えてくれるかもしれない。現地に住むヒトの情報は貴重なのである。

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早速、ローマで購入したばかりのケータイ電話で連絡を入れたところ、夕方7時に、ホテルのロビーで待ち合わせで決定。まだ時間があるので、とりあえずホテルの周辺を歩いてみた。

マッシモ劇場周辺を散策

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ホテルはパレルモの旧市街と新しい市街とのちょうど真ん中あたりにあり、近くには歴史のある建物がけっこうある。イタリア最大というマッシモ劇場というオペラ劇場も近いし有名ブティックや百貨店(リナシェンテ)も。

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予想を超えてしまい失礼ながら「意外と都会じゃん?」洒落たお菓子屋さん兼バールに入り、初めて「カンノーロ」というお菓子を注文する。シチリア名物のお菓子だが食べるのは初めて。リコッタチーズの甘いクリームが、ロールして揚げた生地に詰め込んだものだ。

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感想は「相当ボリューミー」「むちゃくちゃ甘い」でした。

この「カンノーロ」を、地元の人は一気に食べてさっさと出て行く。まるでカッフェやジェラートを休憩のときに楽しむかのように。精一杯頑張って一個全部食べたけど、どうみても日本でなら半分~3分の一で十分かもしれないと思った。

中庭のレストランMassara

約束の午後7時。ホテルのロビーに座って待っていると、ダンスパフォーマーらしいきゃしゃな体に目の覚めるようなブルーのワンピース姿の大西さんが登場。久しぶりの再会だ。

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地元の人で賑わう洒落た中庭のあるリストランテでオープンエアの夕食。看板さえないドアをあけると、松明で照らされた優雅なスペースが広がっていた。かつては貴族の館だったのを改装して、レストランにしたという。

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今日はランチもままならずまともな食事をしていなかった。彼女のオススメで、シチリアらしいタコのフリットとイワシのマリネをアンティパストとして注文。キリッと冷えたシチリア産の白ワインでいただいた。

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「スミが入っているタコが美味しいのよ!」と、自宅近くにも魚市場があるという彼女の解説つきで食べてみる。小さなタコに衣をついて、カラリと揚げたフリット。大きなレモンをぎゅっとしぼって口の中へ入れてやっとパレルモにきた実感が湧いてきた。

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イワシのマリネ。日本で言えば寿司ネタの「コハダ」のようなもの。プレッツェーモロ(イタリアンパセリ)のみじん切りがいい香りをまとわせていた。

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次に「カポナータ」。ナスとトマトの「煮込み」にはシチリアらしくレーズンと松の実がアクセントに投入されているのが特徴的。そのレーズンはまだ緑色していて「ナマっぽい」。クセになる美味しさです。

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イカスミパスタやイワシのパスタを堪能して、最後はカフェとシチリア名物「桑の実のグラニータ」でしめ。鮮やかなルビー色をしたこの「カキ氷」にクワの実がツブツブの状態で入っていました。

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この食事の最中に、イタリア人のご主人から彼女のケイタイに電話が入ること2回。「今、清水さんと一緒で。うんうん。もうじき帰るから・・・」な感じの会話。噂には聞いてましたがイタリア男性って結婚していてもこんなにもマメ。だからモテるのね。

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店を出てホテルに帰る道筋で、彼女のお友達らしき男の子とばったり遭遇。自分はホテルにきっちり戻りましたとさ。それにしても、パレルモらしい王道のシチリア料理を堪能できてよかった。

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マッシモ劇場前でOさんと別れた。明日は彼女の情報を元に、シチリアからさらに小さな島を訪ねてみようと決めました。

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