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【ガンバ大阪】変わるって難しい/ゼロックス杯:川崎フロンターレ戦●2-3

昨年、イヤというほどその強さを見せつけられた川崎フロンターレとの再戦。れっきとしたタイトルマッチである一方、リーグ戦開幕直前の最終テストの場にもなるゼロックス杯は、果たして有意義なものとなっただろうか。

□ 2021年2月20日:ゼロックススーパーカップ
川崎フロンターレ3-2ガンバ大阪

■ 変わろうとしていることは伝わった

攻撃的スタイルへの転換、いや回帰と言うべきか。2021年ガンバ大阪にとって最大のテーマは間違いなくここにある。たとえ今季シャーレを掲げることができなかったとしても、「攻撃的なガンバが戻ってきたな」という印象を内外に与えられれば御の字。
4-3-3への挑戦もそのためにある。前に人数をかけて、攻守に迫力を。常に主導権を握りながら相手を圧倒していく。1点や2点のビハインドくらい、どうにだってしてやる。その気概やよし。僕が勝手に言うてるだけですけど。

事実、変わろうとしていることは伝わった。

序盤から臆することなく前プレを敢行し、ボールを保持する時間帯を作れただけでも天皇杯と比べて大きな進歩である。結局あっさり2点を失うことになるのだが、それは相手を誉めるべきこと。
最大の収穫は、「やられっぱで終わらなかったこと」に尽きる。昨年ならば3点目を奪われて閉店ガラガラになってたであろうところを、もう一度エンジンをかけ直した。ゴール前のスクランブルから矢島が押し込んだのも人数をかけたからこそ生まれたものだし、PKだって川﨑(ややこしい)がエリア内にしっかり侵入できたから。この時間帯の分厚い攻撃をもって、全く敵わない相手という印象を払拭できたのは大きい。

山本の超絶低空弾丸スルーパスからの決定機が活かせれば最っ高やったけどな!

■ 変われるかどうかは別の話

しかし、実際に変われるかどうかは別の話。「悪かった!今度こそ心を入れ替えて頑張るから!」と力強く宣言したダメ男は結局すぐパチンコ行っちゃうし夜中まで飲みに行ったまま帰ってこない。変わるのは難しいのである。

ガンバ大阪だってそう。2014年の昇格即三冠をもたらした堅守速攻スタイルに限界を覚えて以降、何度も新システムに取り組んできた。センターハーフを3枚並べるのも初めての試みではない。
でも少し不調が続くと、結局ベーシックな4-4-2に戻ってきちゃう。選手のコメントにも「やっぱ実家は落ち着くわ〜」みたいなトーンで4-4-2への安心感がにじみ出てくる。その繰り返し。

待っているのは、継続か再びの破綻か。

現時点での完成度もまるで低い。この試合、描いた通りの攻め方でどれだけチャンスを作れたか。まだまだ全然でしょう。キャスティングも定まっておらず、本当にやりたいことを実践できるようになるにはしばらく時間がかかりそう。

その間にガマンできるか?

前線が機能不全に陥っている間は、うまくバランスも取れずそれなりに失点を覚悟しなければならないだろう。序盤の過密日程の間、勝点をロクに積めない可能性だって考えられる。産みの苦しみ。

ここを乗り切れなければまたローリスク現実路線に逆戻り。できればもう辿りたくはない道である。何としてもモノにしてほしい4-3-3。

■ それにしても相変わらず強い川崎フロンターレ

それにしても相変わらず強い川崎フロンターレである。日テレの中継で中村憲剛氏がしきりに4-3-3の有用性について語っていたが、もう完全に自分たちのモノにしてる。ちょっとでもギャップやマークのズレが生まれたら確実にそこ突いてくるし。1点目なんてちょっと三浦が深追いしたらその簡単にそのスペース使われた。
で、また三笘薫。もういいって。キレッキレのドリブルに冷静なフィニッシュ。弱点とかないのか。「意外とハゲ始めるのが早いかも」とかそんなんしか思いつかない。
パス交換にもズレがないし、毎ターンしっかりやりたいことをやり終える。取られたら高速チェックで取り返す。「攻撃は最大の防御」とはまさにこのこと。

間違いなく今季も優勝争いの大本命。連覇を阻止するのは限りなく難しいと感じるが、せめて直接対決ではまず一つ勝ちたい。

■ リーグ戦開幕に向けて

この試合を見た限りでは「期待3:不安7」くらいの気持ちでリーグ戦は開幕する。しばらくは苦労しそうだが、理想の形でなくても勝点を積んでいくことが求められる。幸い東口は変わらぬハイパフォーマンスを見せてくれたし、パトリックも調子は良さそう。レアンドロ・ペレイラも噂通りの迫力を見せる場面があった。得失点に直結するプレイヤーがしっかり仕事をしてくれそうなのは良いこと。

続けるために、形を作るために。最低限を積み重ねていくことが序盤のミッションになりそうだ。

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