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【読書のおと vol.15】

月のぶどう  寺地はるな  ポプラ文庫  2018年

以前に買った著者の本がとても面白かったので、他の作品もと思い図書館に予約していたものがやっと届いた。

以前に読んだ作品とは違った感じだが、大阪弁がところどころに出てきて親しみがわく。休憩時間に少しずつ読んでいたのだが、たまに涙ぐんでいたかもしれない。

ワイナリーを営む母が他界した。そのワイナリーで母のような女性になろうとする姉と、それまで家を出てアルバイトをしながら暮らしていた双子の弟の物語。

私は、双子って性格も似ていて、いつも一緒、仲がいいという風に思い込んでいた。

この物語の双子は、仲はいいのかもしれないが、性格が真逆。

周りから常に比較され、ちょっといじけた感じの弟の方がなぜか好感が持てる。

自分がもし双子だったら、弟のようなタイプだったかもと思うから。比べられるものが身近にあるとこうなるよね。心が強くないと平気でいられない。周りにはわからないだろうし。

物語は、ほのぼのとしていて、いい感じの読後感。あんまりひねったところがないのも、読み進めるとどっぷりと世界に浸れる。軽快な大阪弁の会話と、ところどころにじわっとくるストーリーが、自然と涙腺を緩める。休憩時間がもう少し長ければと思う日も度々合った。

登場人物も個性があって面白い。こういう物語に出会うと嬉しい。


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