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【読書のおと vol.17】

明るい夜に出かけて  佐藤多佳子  新潮文庫  2019年

何でこの本を借りたんだろう。記憶を辿るが思い出さない。

図書館からメールが来てタイトルを見た時、初めにそう思った。

まあ、文庫サイズなので休憩時間に読むにはちょうどいい。

一人称というのか、主人公の語り口調で物語が始まる。

こういうの、自分にははじめての経験。状況がつかめない。難しい本に出会ってしまったか。なんか若者言葉だし、なんか抱えてそうな主人公だし。なんかこの文章まで影響を受けている感じ。

地名が出てくる。実在なのか?関東の方なので私にはわからない。

「接触恐怖症」という病名が出てくる。本当にあるのか、こんな病気が。でも大変だよな、見た目にわからないし。

ラジオの深夜放送。私はほとんどラジオを聞いたことがないのでこれも実在なのかわからないが、実在する芸能人の名前が出てくる。

でもこの辺でやっと物語が頭に描けるようになってきた。

面白い!単純に物語に引き込まれていく。登場人物の個性的なのもいい。

これはいい本に出会った。(あとがきまで読んで、実際の放送をもとにフィクションで書かれているということがわかった。)

タイトルの意味も気になるのだけれども、想像もできないまま読み進めていく。休憩時間しか読まないので(私の勝手ではあるが・・)物語の世界と現実を毎日行ったり来たりしながら楽しんだ。

結局のところ、個性あふれる若者たちの物語なのだけれども、それぞれの個性が現代の若者そのものなのかと想像できる。何も目標がなく日常を過ごしている、やりたいことがわからない。いや、自分もそうではないか。

でも、最後にはやりたいことを見つけるんだ。青春小説だ。爽やかな読後感だ。


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