【2-18】女王誕生(~481日目)
七夕生まれの姫
苦労した採蜜から、およそ一ヶ月。
あーでもないこーでもないと、移虫した王台の成長を観察しつつ、ミツバチ達と向き合う日々。
山の師匠たちのところに挨拶がてら、様子をうかがいに行くと、
「分けてやるから、巣箱持ってきな~」
とお声がけいただく。
…車に巣箱が2箱。
これじゃあタイミング良すぎて、まるで群れを分けてもらいに行ったみたいではないか。
本当にたまたまなんです…。毎日巣箱を積んで歩いてるわけでは、決してないのです…。
と心の中で呟きつつ、ご厚意をありがたく受け取ることにした。
働きバチを運び込んでから、羽化直前の王台をそのあと引き取りに行き、巣箱の中に仕込む方法。
王台をお預かりして、早速巣箱に仕込む。
二日後。
女王が誕生しているか、期待で胸膨らませつつ、巣箱を開ける。
王台が破られている。ということは、産まれたての女王がいるはず。
おった~!!!!頭が完全にお花畑状態になる。
鼻息交じりの空気をミツバチ達に吹きかけながら、女王を観察する。
これから、女王は外の世界に飛び出し、交尾をし、巣箱に戻ってくる。
そして、その後は一生卵を産み続ける。
このことについて、私はまだ自分の中にしっくりくる言葉や感情がみつからないんだけど、今はとにかく共に生きよう。
七夕産まれの姫たち、無事に戻ってきたら、来年までどうぞよろしく。
素手で作業をすること
私は刺されるとかなり腫れる体質なので、ほんの少し巣枠を触る時以外、本格的に作業をするときには、ゴムの厚手の手袋をつけていた。
手袋をつけていると、刺されても針は貫通しないけど、指先の感覚がわかりにくいし、ミツバチを指でつぶしてしまったりするので、手袋越しに刺されて、怒らせてしまう事が多い。
なにより、ゴム手袋は中が蒸れて汗で臭くなる。
そんなに安価でもないので、一回使うごとに裏返して洗う作業も面倒極まり無い。
今年の採蜜を終えて、悩んだ結果、私も素手で作業をすることに決めた。
ミツバチは、一匹が怒って針を刺してしまうと、他のミツバチたちも攻撃的になってしまう。
ミツバチ達の怒りは伝染する。
とにかく、最初の一匹を怒らせないこと。
静かに、集中して、ミツバチと向かいあう。
巣枠を持つときにうっかり潰して驚かせてしまったりしないように、ゆっくり丁寧に作業をする。
素手で触ると、神経を使う。
自分ではそんなつもりはなかったけど、今までかなり乱雑な扱い方をしていたと気が付いた。
それにしても、作業中じゃなくて、遠巻きに観察していた時に、プスリとやられた。
気が抜けているときに限って…💦
これじゃ、クリームパンだ。
カブトムシ
業務連絡だと思ってLINEを開いた瞬間、飲んでいたお茶を吹き出しそうになった。
去年の10月、畑の草を集めておいた場所で、大量のカブトムシの幼虫を発見した。
【32】10/17~10/22 今年一番の成果はカブトムシなのかもしれない |はちみつ屋こっち (note.com)
あれから、およそ9か月。
カブトムシのことなど完全に忘れて、上からジャンジャン草を積み上げたり、踏んづけたりしていたので、もしかするとダメかもな~と思いつつ、早速見に行ってみた。
上に覆った草をどかして、土をソロっと削ってみると、ポコッと穴が開いている。
おやおや…??
おおおおお!!いるぞ~。蛹になっている!
ツンツンすると、返事をするみたいにピクピク動く。
起こしてしまってごめんよ~。
なんて、優しげなことをいいつつも、上からネットをかぶせる。
出てきたところを一網打尽大作戦。
そもそも、カブトムシなんて、小学生のころ捕まえに行ったかもしれないくらいのかすかな記憶と、大人になってから迷い込んだやつをギリギリ捕まえたくらいで、親戚の子が楽し気に育てていたのだって、できれば見せてほしくないくらいのもんだったわけで。
ところが1年を超える山暮らしで、昆虫や草木は相当身近にあって、興味の対象となっているのだ。ムカデは相変わらず大嫌いだし大の苦手だけど…。
知らないことは、怖い。
知らないものは、怖い。
人間どうしでも、相手のことをよく知らないと、自分の中の思い込みが膨らんで、時に勘違いをしたり、さらには憎んだり嫌悪してしまったりする。
理由がわかれば、大丈夫な事は案外多かったりする。
知ることは、強いし楽しい。
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